2019/12/18LROニュース(6)

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  • 2019.12.19 UP
    2019/12/18LROニュース(6)
    • 【1】 インド連邦議会が船舶解体法を承認
      • 【1】12月9日、インド連邦議会は船舶解体法を議会承認したが、インドのグジャラート州のAlang-Sosiyaの船舶解体場を対象に行われた作業場労働者の労働・居住・健康・安全に関する中立的な実態調査の結果が公表されたところその概要は以下のとおり。①トーチランプを使用した大きな船舶部位の解体などを含む危険な船舶解体作業により、死亡事故が継続して発生している。②聞き取り調査をした作業員の過半数は、過去1年間に作業中に負傷し、そのうち約4割の人間は雇用主からいかなる医療措置も受けられなかった。③1983年から2018年にかけて公開されている情報だけでも522名の作業員が死亡し、2014年から2018年の間だけでも52名が死亡している。④多くの船舶解体事業者は安全規制を無視し、事故による死傷者数も公表されない。⑤聞き取り調査を行った103名の作業員のうち、36%は安全装備の質に満足しておらず、16%は作業上の安全装備を一切支給されていない。
      • 原文 December 10, 2019, New Indian Express(長谷部正道)
    • 【2】 EMSA: 2020-2024年にかけての5年間の戦略を公表
      • 【2】12月9日、欧州海上安全庁(European Maritime Safety Agency:EMSA)は2020年から2024年までの5カ年戦略(EMSA 5-year strategy)を発表し、海洋に関連するすべての政策分野の中で欧州委員会(European Commission)が優先すべき事項を促進するというEMSAの重要な役割を反映し、EMSAは今後5年間で以下の5つの事項に優先的に取り組むとともに、サービスの提供者、信頼できるパートナー、国際的な参照機能や情報の中核としての役割を果たしていくとしている。①持続可能性:海洋環境を保全し、気候変動や新たな環境問題に対応するための能力を強化することにより、持続可能な海上輸送分野の発展に貢献する。②安全の確保:海上における惨劇や人命の損失の減少に貢献することを目的に、海上における安全の確保に対する新たな課題を予期し、知識に基づいた解決策を提供する。③治安の確保:欧州地域だけでなく欧州諸国の利益が存在する世界各地域の海上における治安の確保を強化する。④海上輸送の効率化:情報のデジタル化や情報共有のシステム化を支援することで、欧州における海上輸送に係る手続の簡素化等を促進する。⑤洋上監視:EMSAの洋上監視に関する情報管理の中核としての機能を強化する。
      • 原文 December 9, 2019, EMSA(若林健一)
    • 【3】 欧州委員会がEuropean Green Dealを発表
      • 【3】12月11日、欧州委員会がEuropean Green Deal (EGD)を発表したところその概要は以下のとおり。①EU諸国はGHG排出削減に既に積極的に取り組んできており、1990年から2018年にかけて、GDPは61%増加した一方で、GHG排出量を23%削減している。②EGDは交通分野をはじめとしてエネルギー・農業・建築などすべての分野を対象とする。③EGD実現のため欧州委員会は100日以内に欧州気候変動法(European Climate Law)案を作成するほか、今後、生物多様性戦略2030・循環経済行動計画と新産業戦略・持続可能な食料生産のための地産地消(Farm to Fork)戦略・環境汚染のない欧州(pollution-free Europe)を実現するための提案などを発表していく。④2030年までの気候変動とエネルギー転換目標を達成するためには、毎年2億6千万ユーロ(2018年のGDPの1.5%)の追加投資が必要となる。このため、欧州委員会は2020年の早い段階で、持続可能な欧州投資計画を発表する予定であるが、EUの長期的予算の最低1/4は気候変動対策に充てる必要がある。⑤今後、欧州議会と欧州理事会がEGDを承認すれば、欧州委員会はEGDロードマップに従って具体的な施策を進めていく。
      • 原文 December 11, 2019, 欧州委員会(長谷部正道)
    • 【4】 CMA CGMがUN Global Compactに参加
      • 【4】CMA CGMはCOP 25を機に持続可能な開発に寄与する世界最大の自主的なイニシアティブである UN Global Compactの「海洋のための事業者行動プラットフォーム」と「海事関係の技術的ネットワーク」に参加すると12月2日発表した。これを受けて以下のような環境対策を進めていく。①2022年までにLNGを燃料として使用する船舶を20隻導入する。②北極海の環境保全のため北極海北航路を使用しない。③IKEA等と連携して、野菜油と木材残滓を使用したバイオ燃料(生産から使用までの全過程で80%のGHG排出削減)の利用促進。④船舶のエネルギー効率化推進のために、流体力学上の効率性の向上のための船首の形状の最適化・燃料消費削減のためのプロペラとエンジンの開発など、エコ技術開発を推進。⑤船舶運航の効率化・安全運航・燃費最適化を総合的に実現するための運航航路の最適化を図るため、グループの運航する506隻の船舶を365日・24時間管制するFleetセンターの創設。
      • 原文 December 2, 2019, CMA CGM(長谷部正道)
    • 【5】 ReCAAP ISC: 11月海賊報告書
      • 【5】アジア海賊対策地域協力協定情報共有センター(ReCAAP ISC)が発表した11月の月間海賊報告書によれば、計8件(既遂6件・未遂2件)の武装強盗事件が11月に同センターに通報されており、このうち5件はシンガポール海峡を航行中の船舶で、2件は比のバタンガス港に錨泊中の船舶で、1件はインドネシアのベラワン港に着岸中の船舶で発生している。既遂事件6件は、重要度3(賊は武装するも乗組員にけが人なし)及び重要度4(賊は武装せず乗組員にもけが人なし)がそれぞれ3件ずつとなっている。海賊事件、スールー海・セレベス海やサバ州東部沖合での船員の誘拐事件は報告されていない。本年1月から11月までの合計件数は、武装強盗事件68件、海賊事件が2件の計70件(既遂61件・未遂9件)で、前年同期の73件と比較して4%減少しているが、既遂事件(前年同期59件)は3%増加している。本年1月から11月までにバングラディッシュ、インドネシア及びフィリピンの港や錨地で発生した事件数が減少している一方、シンガポール海峡で発生した事件数は前年同期の8件に対して23件と急増しており、ReCAPP ISCは、海運業界や船舶に対して警戒の強化、追加的予防措置の適用、最寄りの沿岸国に対する速報を求めるとともに、沿岸国に対して合同巡回、最新状況や犯罪グループに関する情報共有の推進などを求めている。
      • 原文 December, 2019, ReCAAP ISC(若林健一)
    • 【6】 ブーゲンビルのPNGからの独立を後押しする中国
      • 【6】約2万人の死者を出した10年に及ぶパプアニューギニア(PNG)軍とブーゲンビル革命軍(Bougainville Revolutionary Army:BRA)との内戦の末、2001年に実施が約束されたブーゲンビル自治区の独立を問う住民投票が2週間にわたり行われ、97%以上のブーゲンビル島民が完全なる独立を求めて票を投じたが、選挙結果は法的拘束力を持たず、12月12日PNG首相は、選挙結果を受け入れると表明しつつもブーゲンビル自治政府(Autonomous Bougainville Government:ABG)との協議を通して平和的な残留への道筋を整えると述べ、独立をもくろむ他の地域への影響も懸念し、ブーゲンビル自治区の完全な独立に対しては強硬に反対する姿勢を見せている。一方で、BRAは完全なる独立を求めており、選挙結果が国会で承認されるまでに時間を要すればPNG政府とABGに対する島民の不満が蓄積し、新たな混乱を招くことになると懸念する声もある。ブーゲンビル島には1989年に閉鎖されたパングナ鉱山があり、その価値は580億米ドルに及ぶとされている。中国はブーゲンビル島を新たな独立国として一帯一路政策に取り込みたい狙いがあり、また、11月にはかつてのBRA指導者が、中国政府がブーゲンビル島での空港、高速道路、橋等のインフラ整備を含めた総合的な計画を持っていると明かしており、ソロモン諸島も含め影響力を増す中国に対抗したい豪やニュージーランドにとっては、ブーゲンビル自治区を巡る政治的膠着状態や不安定化の見通しにより落ち着かない状況が続くことになる。
      • 原文 December 12, 2019, Asia Times(若林健一)
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