2019/12/11LROニュース(6)

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  • 2019.12.12 UP
    2019/12/11LROニュース(6)
    • 【1】 FAOとIMOが海運・漁業起源の海洋ゴミを削減するために途上国支援
      • 【1】12月5日、国際食糧農業機関(FAO)とIMOが連携し、ノルウェー政府からの資金を得て、途上国が海運・漁業起源の海洋ごみを防止・削減し、プラスチック製の漁具などを再利用・リサイクルすることを支援するGloLitter Partnership Projectが始動した。事業はさらに海運・漁業から発生するごみを港湾で受け入れる施設の整備状況を検討し、また、漁具に識別番号を入れて、漁具が海洋投棄されたときに、その漁具の持ち主が分かるようにすることなどを漁業従事者に奨励する。船舶起源の海洋プラスチックごみを削減するための様々な施策については、IMOが2018年に策定した行動計画の中で明らかにされているが、この新事業では、船舶から漁具などのプラスチックごみを海洋投棄することを禁じたMARPOL条約第V附属書など既存の規制を途上国が実施するのを支援するための説明文書や人材訓練に必要な教材の整備も進めることとしている。
      • 原文 December 5, 2019, IMO(長谷部正道)
    • 【2】 海洋保護区をどこにつくるべきか?
      • 【2】国連持続可能な開発目標によれば「2020年に全世界の沿岸・海洋域の10%を海洋保護区(Marine Protected Areas: MPA)に指定する」こととなっているが、実際にどの海域をMPAに指定するかについて各国間の合意形成を図ることは容易ではない。米の研究者達は、議論のたたき台とするために、10の異なる国連機関や自然保護団体が作成した保護すべき海域の地図を、同一の地図に落として、どこの海域がより多くの団体によって保護すべき海域と考えられているか、当該海域が既にMPAに指定されているかなどについて調査した。その結果、世界の海洋の55%が少なくても一つの組織から保護すべき海域とみなされ、さらに二つ以上の組織から保護すべきと推奨されている海域は、世界の海洋の14%にあたることが分かり、そのほとんどがまだMPAに指定されていないことが分かった。これらの海域は主として地中海・カリブ海・マダガスカルとアフリカ南部・Coral Triangleと呼ばれる太平洋西部に存在することが分かった。
      • 原文 October 25, 2019, Frontiers(長谷部正道)
    • 【3】 北極海北航路の管理指令センターが来夏にムルマンスクで始動
      • 【3】ロシア政府から北極海北航路(Northern Sea Route: NSR)の管理を任された国営原子力企業のロスアトムは、子会社で原子力砕氷船を運航する国営アトムフロートのムルマンスクの本社ビルの中に、NSRの管理指令センターを建設中で2020年夏から運用を開始するとセントペテルスブルグで開催中の北極関係の会議で発表した。センターはNSRを航行する船舶やその船主に対して、NSR上の海氷の状態や、海氷の状態に応じた推奨航路などの情報を提供する。ロスアトムはNSRの開発や関連する規制の制定に関する権利も授与されている。旧ソ連時代にはNSRを東西に2分割してそれぞれの管理指令センターがあったが、ロスアトムはムルマンスクで航路全体を一括して24時間管理する。
      • 原文 December 6, 2019, The Barents Observer(長谷部正道)
    • 【4】 永久凍土の融解に伴いグリーンランド最大の国際空港が使用不能に
      • 【4】グリーンランドのカンゲルルススアーク国際空港は、グリーンランド最大の国際・国内航空のハブ空港として年間25万人の乗客が利用しているが、空港の地盤となっている永久凍土の融解により誘導路が痛み、大規模補修をするか滑走路を短縮するか等の選択を迫られていたが、このほど2024年までにグリーンランド航空が運航する国際線大型機の大部分をまだ完成していない他の空港に移転する決定がなされた。この事例はほんの一例で、今後30年間で、北極圏の道路・建物・空港島のインフラの約7割が永久凍土融解の影響を受けるという最近の研究も発表されている。インフラばかりでなく、アラスカのフェアバンクス大学の研究では、北極圏の永久凍土融解の影響を受ける地域に360万人の人々が暮らしている。特別に危険が高いとされるHigh Hazzard地域だけでも、2050年までに3万6千棟の建物、1万3千kmの道路、100の空港が影響を受けるとされている。
      • 原文 December 5, 2019, High North News(長谷部正道)
    • 【5】 COP25: NDCsの共通見直し期間について合意できず
      • 【5】パリ協定の下では、加盟国は自国のGHG削減目標(NDCs)の適用を2020年から開始するが、NDCsの目標期間については、5年から15年までとばらばらとなっている。そこで、COP24では、2031年以降各国は同じタイミングでNDCsを見直すことにより、各国のNDCsの進捗状況を比較しやすくし、さらに高い目標に同時に進むことで合意した。小島嶼開発途上国(SIDS)・発展途上国(LDC)や環境NGOは、この見直し期間を5年と短くすることで、気候変動対策の促進につなげたいと考えているが、日本とロシアは10年とすることを主張し、ブラジルは加盟国が5年または10年の見直し期間を選択できるようにすることを提案している。この見直し期間の問題は、国際的な排出権取引制度と並んで、パリ協定のrulebookの中で未定となっている最後の部分だが、各国代表は交渉優先順位を排出権取引制度におき、見直し期間については優先順位が低く、特にEU代表は見直し期間を何年にすべきか意見すら表明しておらず、今次会合において共通の見直し期間について合意に至る可能性は薄くなってきている。
      • 原文 December 4, 2019, Climate Change News(長谷部正道)
    • 【6】 インド・太平洋島嶼国における海洋安全保障の強化
      • 【6】オーストラリア戦略政策研究所(Australian Strategic Policy Institute:ASPI)は、インド・太平洋島嶼国における海洋安全保障の強化に関する特別報告書を発表した。本報告書は、インド・太平洋島嶼国が海洋安全保障上の課題に対して如何にして対応し、また、優先的に取り組んでいるのかについて調査している。特に、インド・太平洋島嶼国が直面している多くの海洋安全保障上の脅威や危険性はその度合いを増しているとして、その理由として、効果的な洋上安全保障が全般的に欠如していることを指摘している。また、本報告書は現在インド・太平洋島嶼国を取り巻く地政学的な環境について説明し、島嶼国という面から洋上安全保障を我々が如何に理解するべきかについて説いている。さらに、インド・太平洋島嶼国が抱える海洋安全保障上の懸念の核心に迫るとともに、その共通性と相違点について考察している。本報告書は、インド・太平洋島嶼国と豪やその同盟国のように島嶼国とより効果的な連携を望む国にとって、鍵となる助言を提供している。
      • 原文 December 5, 2019, ASPI(若林健一)
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