2019/10/08LROニュース(6)

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  • 2019.10.09 UP
    2019/10/08LROニュース(6)
    • 【1】実質的貢献のないロシアのパリ協定加盟
      • 【1】GHG排出量世界4位のロシアは2015年のパリ協定に署名していたものの、今年9月に批准した。パリ協定のGHG削減目標(Nationally Determined Contribution: NDC)として、ロシアは2030年までに1990年実績と比べGHG排出量を25-30%削減することを目標としている。この目標は一見立派な目標達成のように見えるが、ロシアは2017年に対1990年比でGHG排出量を既に32%削減しており、これはソ連時代の中央計画経済が崩壊した副産物として実現したものにすぎない。ロシアの現在のNDCに従えば、今後GHG排出量を削減するどころか増やすことさえできる。
      • 原文 October 1, 2019, Asia Times(蘭潔美)
    • 【2】米エネルギー情報局:国際エネルギーアウトルック2019を発表
      • 【2】9月24日、米エネルギー情報局が2050年までの状況を見据えた国際エネルギーアウトルック2019を発表したところその概要は以下のとおり。①先進国以外の諸国(非OECD加盟国)で経済成長が進み、国民一人当たりのGDPが2050年までに約3倍となり、世界の製造業の拠点がアフリカや南アジア諸国(中でもインド)にシフトを続ける結果、世界全体のエネルギー消費量も増加を続ける。②2050年までに世界の原油生産は44%増加する一方で、石油製品に対する需要も24%増加する。天然ガスについては2050年まで米国が世界最大の生産国となり続ける。③発電コストの低下・電気に対する需要の増加・積極的なエネルギー政策により、中国・欧州先進国・インドでは太陽光・風力などによる再生可能エネルギーの割合が増える。④エネルギーの最終消費の段階でも電力への依存が高まる。交通分野のエネルギー消費量は、2050年までOECD諸国では横ばいだが、非OECD諸国においては2倍弱と大幅に増加する。
      • 原文 September 24, 2019, EIA(長谷部正道)
    • 【3】EUと独が最初の地域海洋フォーラムを開催
      • 【3】漁業資源の管理・環境保護・持続可能な経済成長の観点から、EUにおいては地域的な海洋管理が中心的な課題となってきている。国際的なレベルでも、個別の国家間の政策の調整・国境を越えた行動が不可欠だが、国際的にはまだ地域的な連携は大きな動きとなっていない。また、海洋の直面する環境や社会面での様々な課題は、分野別縦割りの政府間の公式協議で解決するのには不適当で、持続可能な開発目標(SDGs)14の「海の豊かさを守る(Life Below Water)」をはじめとしたSDGsを達成するためには、分野横断的に様々な関係者が協力して対処する必要がある。このことから、2017年にマルタで開催されたOur Ocean Conferenceにおいて、EUと独政府は地域海洋フォーラム(Marine Regions Forum: MRF)を創設することに合意し、9月30日から、10月2日にかけてベルリンで第1回MRFが開催された。会議には200人以上の参加者が参加してお互いの経験を交換し、共通の課題について話し合われた。
      • 原文 October 1, 2019, EU(長谷部正道)
    • 【4】冬の嵐が北極海の海氷の融解を促進
      • 【4】ノルウェーの小型研究船が、2015年に5か月かけて観測した結果によれば、冬季に北極海では多くの嵐が発生し、この嵐が北極海、特に大西洋側の北極海で海氷の形成に大きな影響を与えていることが数年にわたったデータの解析で判明した。平均でひと冬の間に約10個の大変強い嵐が発生して、北極点まで到達する。嵐が発生してから収束するまでの時間は6時間から48時間と短いが、非常に強力で、嵐の発生前は氷点下40℃だった気温が、嵐によって一日で0℃近くまで急上昇し、嵐が過ぎ去るとまた氷点下30℃まで急降下する現象が観測された。この嵐によって、暖気・湿気・強い風が流れ込むことにより、北極の大気・氷雪を温め、湿気によって発生した積雪は海氷を毛布のように包み込んで冷たい外気から遮断することによりさらに海氷の成長を遅らせ、強い風によって海氷が物理的に細かに砕けることが観測された。
      • 原文 Oct. 1, 2019, The Conversation(長谷部正道)
    • 【5】冷水による洗濯:家庭で出来る地球温暖化・マイクロプラスチック対策
      • 【5】米国内の洗濯によるGHG排出量は年間1.8億トンとされ、水を温める過程でエネルギーが一番消費され、GHGが多く排出されている。高温の洗濯は、病気やスポーツ後の除菌の為には最適だが、普段の洗濯には冷水を使用することで、家庭で簡単に地球温暖化・マイクロプラスチック対策が行える。American Cleaning Instituteの代表によると、冷水洗濯には多くのメリットがあり、繊維の分解を防いでマイクロプラスチックが環境へ流出する量の軽減や、洋服をより良く、長く保つことができる。Energy Starのデータを使った計算によると、一つの家庭が1年間冷水洗濯を5回中4回行うことで、1年間およそ400キロの炭素排出が削減できる。
      • 原文 October 2, 2019, NY Times(蘭潔美)
    • 【6】「環境政策に配慮した責任ある金融原則」に130の金融機関が署名
      • 【6】国連気候行動サミット開始日前日の9月22日に、金融機関と国連環境(UNE)は「環境政策に配慮した責任ある金融原則 (the Principles for Responsible Banking)」を署名した。これには世界の1/3となる、合計47兆ドルの金融資産を保有しているおよそ130の金融機関が加わっており、参加金融機関は、パリ協定や持続可能な開発目標(SDGs)の実現に資する出融資業務を戦略的に実施することにより、各金融機関の貢献を大幅に拡大するとしている。この原則に併せて、参加金融機関がそれぞれの目標を作成・公表・実施することにより目標の達成状況を明らかにする(clear accountability)ことなどを定める「共通の実施の枠組み(common implementation framework)」というガイドラインが策定された。
      • 原文 September 22, 2019, UNEPFI(蘭潔美)
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