2019/10/07LROニュース(6)

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  • 2019.10.08 UP
    2019/10/07LROニュース(6)
    • 【1】米海軍水上行動群がアイスランド周辺海域に展開
      • 【1】昨年、米国海軍は、NATOの訓練の一環として30年振りに北極海へ艦船を派遣したが、北極海や北大西洋におけるロシアの活動に対抗するために再編成された米国海軍第二艦隊に所属するミサイル巡洋艦1隻、ミサイル駆逐艦3隻及びヘリ部隊1隊が、今年の9月上旬に母港のフロリダ州メイポートを出港し、現在、アイスランド周辺の北極海において水上戦闘群(Surface Action Group : SAG)を編成して一時的な訓練行動に就いている。また、第二艦隊は欧州に常設の運用司令室を持たないことから、約30名により一時的な運用司令室(Maritime Operations Center : MOC)をアイスランドのケプラビークに設置して、SAGの運用調整を試験的に行うこととしている。今年の北極評議会で演説を行った米国務長官を含め、北極海でのロシアと中国の活動に対する批判の声が米国政府内で高まるなかで、今回の訓練は、北極海において米国がより積極的な役割を果たす意思を表すものといえる。一方で、米軍は北極海における洋上での艦船の運用は潜水艦の運用に比べて経験が不足しており、また、補給や医療支援に必要な支援施設の制限や、船体への着氷など航海や通信に求められる海域特有の要件などの課題にも対処する必要がある。
      • 原文 September 27, 2019, High North News(若林健一)
    • 【2】中国の海洋調査船が今年の北極海の研究航海を終了
      • 【2】8月10日に就航した中国の海洋調査船「向陽紅 (Xingyanghong) 01」は同国10回目となる北極遠征調査を行い、9月27日に青島港へ帰還した。今回の遠征調査は、北極海以外にも東ベーリング海と北太平洋を含めたおよそ1万3千海里を航海し、北緯76度線まで北上し、49日間にわたってトロール綱を使った調査、試料採取、そして水中グライダーを使った環境のモニタリングなどを行った。
      • 原文 September 30, 2019, 環球時報(蘭潔美)
    • 【3】メキシコにおける使い捨てプラスチック規制
      • 【3】メキシコにおける使い捨てプラスチックの製造量は近年急増しており、同国内でリサイクルできる量を超過し、環境に与える影響が懸念されるところ、連邦法(General Law for the Prevention and Integral Management of Waste: LGPGIR)においては、州や市にごみの管理に関する権限を付与しているので、州や市のレベルで使い捨てプラスチックに対して様々な規制が導入されてきた。禁止の範囲・程度については州ごとに差異があるがあるものの、使い捨てのレジ袋とストローについてはほぼ全ての州で完全に製造・販売が禁止されている。連邦レベルでも現在のLGPGIR法を改正して、最近の州レベルでの規制を統一し、循環型経済を達成するため、プラスチック製品の製造基準や使用基準を定め、さらに製造者責任制度(extended liability regime)を導入し、製造者にプラスチック製品の回収・リサイクルに関する責任を負わせ、製品にエコラベルを張って正しい分別を促進することなどが検討されている。
      • 原文 September 30, 2019, International Law Office(長谷部正道)
    • 【4】気候変動による氷河の減少が中国及び周辺国に与える影響
      • 【4】先日発表されたIPCCの特別報告書によれば、氷河が溶けてなくなることによって、河川の水量が少なくなり、異常気象の頻度と程度が増し、農業生産量が不安定になる。もし地球温暖化が現在のペースで続けば、アジアの山岳地帯にある氷河は今世紀末までに64%縮小し、深刻な水不足が発生する。中国は世界の中で低緯度地域の氷河が最も集中している国で、青海・チベット高原の「第3の極地(third pole)」は北極・南極以外で最も重要な氷河地帯で、中国の長江・黄河だけでなく、プラマトラ川・ガンジス川・メコン川・サルウィン川といった国際河川の水源となっており、氷河の縮小は中国だけでなく近隣アジア諸国にも大きな影響を与える。今までは、氷河の存在によってこれらの河川の水量は一定量に保たれてきたが、将来的に氷河が消滅するとこうした調整機能も消滅し、季節的・年間の変動が大きくなって、これらの川の流域では干ばつや洪水が頻繁に起きるようになる。
      • 原文 September 27, 2019, China Dialogue Ocean(長谷部正道)
    • 【5】BIMCOがGHG削減方法としてエンジン出力の制限を提案
      • 【5】BIMCOが10月11日から開催されるGHG削減のためのIntersessional Working Group (ISWG-GHG 6)に、GHG削減の方法として機関の出力の制限が好ましいとの意見を提出したところその概要は以下のとおり。①船舶の速度は船舶からのCO₂排出量に最も大きな影響を与えることについては、BIMCOも同意する。②しかし、船舶の速度を制限することは以下の理由で理想的な規制手段とは言えない。③船舶の対地速度や海の中での速度は、潮流や気象海象条件によって大きな影響を受けるため、そうした要素を除いた船舶の純粋な速度を評価することは、規制の実施の観点から難しい。④船舶の速度は、機関の動力によって水中でプロペラが回転することにより発生するため、船舶の速度と機関の出力の間には、相当な関連性がある。⑤船舶の効率性を規制するのは、世界的に実施が可能な手段ではあるが、船舶の効率性を上げる方法は様々あり、船舶からのCO₂排出を制限するための手段としては、機関の出力の制限に焦点を絞るのが望ましい。
      • 原文 September 30, 2019, BIMCO(長谷部正道)
    • 【6】米国によるCOSCO制裁がヤマルLNGの輸送にも影響
      • 【6】米国財務省外国資産管理室(Office of Foreign Assets Control: OFAC)は、イラン原油を制裁に違反して輸送したとして、COSCOの子会社であるCOSCOタンカー海運(大連)とCOSCOタンカー海運(大連)船員・船舶管理会社を制裁対象リストに追加したが、米国の上場会社であるTeekay LNG社は中国LNG海運ホールディングスと折半で、ヤマルLNGを輸送するための合弁企業をロシアで運営している。この中国LNG海運ホールディングスの株式の半分を既に制裁が科されているCOSCOタンカー海運(大連)が保有しているため、このロシア国内の合弁企業の活動もOFACにより制裁対象リストに掲載された。この合弁事業会社は、ヤマルLNG事業のために新造され2017年の12月から運航を開始した4隻のArc7船級の砕氷LNG輸送船を既に保有し、さらに2隻が近日中に運航開始となり合計で6隻の砕氷LNG輸送船を保有することになる。ヤマルLNG事業にはこのほかに、Dynagas/MOL/Sovcomflotが運航する9隻のArc7級新造砕氷船が従事しているが、今回の制裁が長引けば、LNG輸送に大きな影響が出ることは避けられない。
      • 原文 September 30, 2019, Reuters(長谷部正道)
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