2018/7/9 LROニュース(7)

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  • 2018.07.10 UP
    2018/7/9 LROニュース(7)
    • 【1】 独銀行が同国では初めて船舶金融融資基準に適切なリサイクルを追加
      • 独のKfW IPEX銀行は2017年に海事産業に対して139億ユーロを貸し付けた世界の船舶金融大手5行のうちの1行だが、4月25日、融資基準として「責任あるシップリサイクル基準(Responsible Ship Recycling Standards: RSRS)」をドイツの銀行では初めて追加することを発表した。RSRSの目的は、香港条約等の国際基準に従って融資対象の船舶を解体することを義務付ける条項を融資契約に盛り込むとともに、安全な解撤を担保するために、船舶の中に存在する全ての有害物質の情報を記載した「グリーンパスポート」を船舶に設置することを義務付けている。RSRSは2017年に蘭のABNアムロ銀行とING、NIBCが策定したものであるが、現在では世界で8行が適用している。本基準が市場全体に根付くかどうかは予断できないものの、KfW IPEX銀行は、今回の融資基準の強化により持続可能なシップリサイクルの重要性の認識が高まることを期待している。
      • 原文 Apr. 25, 2018, KfW IPEX-Bank(野口美由紀)
    • 【2】 地球温暖化に伴う海面上昇で殆どの環礁島が21世紀半ばには居住不適当に
      • 4月25日、米地質学研究所の研究者たちが学術誌に発表した論文によれば、サンゴ礁からできた海抜が低い環礁が何千も存在する熱帯の海域では、地球温暖化に伴う海面の上昇率が他の海域と比較しても高いため、21世紀末までに多くの島々で浸水被害が発生すると予測されるが、海面上昇に加えて、21世紀半ばには定期的に波力によって島の表面が海水によって洪水となる結果、島のインフラが破壊され、真水をためる帯水層が失われることによって、人間が居住することが不可能になると予測され、島の放棄や移住の必要性など地政学的に不可避かつ重要な問題が発生すると予測している。
      • 原文 Apr. 25, 2018, Science Advances(長谷部正道)
    • 【3】 OECD・ITFが交通分野における国別自主的CO₂削減策の効果について報告書
      • OECDの国際交通フォーラム(International Transport Forum: ITF)が交通分野における国別自主的二酸化炭素削減目標(Nationally Determined Contributions: NDCs)の効果について報告書を4月23日に取りまとめたところその概要は以下のとおり。①NDCsはCO₂削減目標を提示しているが、当該目標達成に必要な具体的な道筋や手段が示されていない。②NDCsで提案された全ての対策を実行した場合でも2030年のCO₂排出量は2015年時点と同程度であり、温暖化を2℃未満に抑制する目標達成にはさらに6億トン以上のCO₂の削減が求められる。③排出削減のほとんどはアジアの中高所得国によるもので、その他の地域では十分な対策が取り込まれていない。④ITFの交通脱炭素化事業は、CO₂削減のための具体的な対策の有効性について検証を継続しており、この検証結果を通じて各国が効果的なCO₂削減策を採用すればNDCsに定める目標の実現可能性が高まる。⑤パリ協定に定められた目標と比較して、既存の各国の自主的な削減目標が十分な措置であるか常に検証し、パリ協定の目標達成のために必要であれば適宜NDCsの見直しを行うことが必要である。
      • 原文 Apr. 23, 2018, ITF(野口美由紀)
    • 【4】 シンガポールMPAが港内作業船の自律運航技術開発を推進
      • シンガポール海事港湾庁(MPA)は、Keppel Offshore & Marine社とシンガポールオフショア海事技術センター(TCOMS)と共同で、タグ等の港内作業船を自律運航化するための技術開発をデジタルツイン技術を活用して進めることで合意した。MPAはシンガポール港の国際競争力を維持するために、最高の安全・保安水準を充たす自律運航システムの開発に必要な試験海域を提供する。港内特殊船の設計・建造メーカーであるKeppel社は同社の遠隔船舶監視・分析システムであるVesselCareTMを自律運航技術開発の基盤プラットフォームとして提供し、様々な情報の統合、様々な状況下における船舶の監視、船舶の保守管理・分析を行う。
      • 原文 Apr. 25, 2018, World Maritime News(長谷部正道)
    • 【5】 フーシ派が19隻のタンカーを拘束か?
      • イエメン駐在のサウジ大使は、イランが支援するフーシ派ゲリラにより、19隻の石油タンカーと20万トンの原油が拘束されており、フーシ派により支配されているイエメン最大の港湾であるフダイダ港に船舶が入港できない状態が続いていると発言したが、人権団体は同港がサウジが率いる同盟軍によって封鎖されているとサウジを批難している。一方、フーシ派は紅海を航行するタンカーなどに対して攻撃を開始している。サウジの支援を受ける同国のアデン周辺を支配する暫定政府の自治大臣も、フーシ派が人道支援でフダイダ港に入港した65隻の船舶を拿捕していると同派を批難している。同国は世界で最悪の人道危機に直面しており、これらで多くの国民が死亡したほか何百万人もの国民が飢餓と病気の危機に瀕している。
      • 原文 Apr. 22, 2018, The New Arab(長谷部正道)
    • 【6】 バルチラが世界で初めて自動着岸技術を実際のフェリーで実験
      • フィンランドの舶用機関メーカーのバルチラは、Norled社が所有する船長83mのフェリーを用いて、自動着岸技術の試験を本年1月から4月まで成功裏に実施したが、同船にバックアップとして乗船した船長が自動着岸作業に介入しなくてはいけない事例は1回も発生しなかった。具体的には、着岸するバースの約2㎞手前から、自動着岸モードに切り替えられ、船舶を徐々に減速させ、完全に自動で着岸させる。離岸する際も全く反対の手順で完全自動で離岸できる。船舶のかじ取りと出力の調整は完全に自動でできるため、船員は船舶の周辺状況の確認に集中できるが、必要があればいつでも自動離着岸に介入することができる。この自動離着岸技術を採用することにより、離着岸に伴う船員の人的ミスを回避し、迅速かつ効率的に離着岸を行うことにより、荷役作業により多くの時間を回すことができる。
      • 原文 Apr. 26, 2018, バルチラ(長谷部正道)
    • 【7】 硫黄分規制強化対策としてLNGは将来のバンカーの本命か?
      • (論説)2020年からの硫黄分排出規制強化対策として、船主のとりうる対策としては①規制対応が難しい古い船舶の解体②スクラバーの搭載③低硫黄舶用ガスオイル(LSMGO)の使用④LNGバンカーの使用である。スクラバーについては船舶に装備するため約400万米ドルと高コストになるほか、スクラバーから排出される廃棄物処理の問題、将来的な規制変更のリスク等のため最近は船主にとって不人気な対策となっている。LSMGOについては上記選択肢の中では最も安易で、多くの船主が選択することが予想されるが、規制開始当初は供給不足からコストの面で割高になると考えられる。LNGについてはコスト的にLSMGOに比べて安価となるが、現状ではクルーズ船等の旅客船やLNG運搬船等限られた船種において補助エンジンのバンカーとして使用されているのにすぎず、LNGをバンカーとする船舶の建造が拡大するのはまだ時間がかかる。一方で、既存の船舶をLNGをバンカーとして利用できる機関に改造するには高額なコストがかかり、船齢15年以上の船舶では経済的に見合わない。現実的な選択肢としては、既存の船舶についてはLSMGOを選択し、新造船については順次LNG対応船を増やしていく中で、LNGバンカーを供給できる港湾の範囲を現在の北米・北部欧州・北東アジアの約60の港湾から順次全世界に拡大していくということになろう。
      • 原文 Apr. 24, 2018, Drewry(野口美由紀)
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