2018/6/20 LROニュース(3)

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  • 2018.06.21 UP
    2018/6/20 LROニュース(3)
    • 【1】 欧州外交評議会が中国の海のシルクロード政策について報告書
      • ロンドンに本拠を置くシンクタンクである欧州外交評議会(European Council on Foreign Relations: ECFR)が4月23日、「青い中国: 欧州への海上シルクロードの航海」という報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①中国の海上シルクロード(MSR)構想は中国の影響力の拡大ばかり着目されるが、中国のGDPの1割を既に占める海洋・海事経済をさらに中国が発展させようとしていることにも注目する必要がある。②海上貿易・造船・海洋経済における新規事業・中国海軍の世界的な存在感・国際的影響力競争の5分野で、欧州は既にMSRの影響を受けている。③MSRによって欧州・中国間で競争が激化している一方で、海洋経済面と特定の海上治安維持の問題で欧州と中国の間の協力の可能性も提供している。④中国は海洋経済を経済成長のけん引役として活用しており、欧州も中国を見習って海洋経済の活用を図るとともに、中国の資金力のある産業政策・研究調査に呼応するような技術革新を促進していくべき。⑤インド洋・太平洋地域における戦略的な力の均衡と法による海洋秩序の維持に欧州はより積極的に貢献すべき。
      • 原文 Apr. 23, 2018, ECFR(長谷部正道)
    • 【2】 シンガポールの海事関係者が次世代の船舶に対応した要員の育成で合意
      • シンガポール海事週間2018の行事の一つである「第3回海事人材フォーラム(Maritime Human Resource Forum: MHRF)」において、シンガポール海事港湾庁(MPA)の主導の下、シンガポール海運協会(SSA)、シンガポール海事雇用者連合(SMEF)、シンガポール船舶職員組合(SMOU)、シンガポール船員機構(SOS)の海事労使関係団体は、次世代の船舶を運航するのに必要な新たな船員の技能を特定したうえで、現在の船員教育のコースを強化し、シンガポールを船員訓練のハブにすることについて4月23日覚書を交わした。さらに、本年10月から、船舶を陸上からコントロールする要員を訓練する特別のディプロマコースを開設し、陸上から船舶を運航するための計画を作成し運航を管理するのに必要な知識と技術を持った要員を育成し、経験を持った船員や機械工学系の経験のある技術者が陸上の船舶遠隔運航管理センターの要員に転職することを支援する。
      • 原文 Apr. 23, 2018, MPA(長谷部正道)
    • 【3】 地中海のECA指定化に向けて議論が活発化
      • 地中海を大気汚染物質放出規制海域(Emission Control Area : ECA)に指定するよう求めている、独とスペインの環境団体「Nature and Biodiversity Conservation Union (NABU)」と「Ecologists in Action」が、4月にジブラルタル海峡とバルセロナで船舶から放出される大気汚染物質の測定を実施したところ、都市部の安全基準の70倍を超えたことが明らかになった。船舶から排出される大気汚染物質のうち、特にNOx、SOxについては海運の寄与度が高く、欧州委員会からはそれら汚染物質により毎年5万人の欧州人の死期が早まっているとの推計も発表されている。すでに硫黄分規制が導入されている北海・バルト海(SECA)では、最大50%大気汚染が直ちに改善され、社会的・経済的に大きな効果を上げている。そのため、Ecologists in Actionはスペイン政府に対し、SECAの導入を主導しているフランス政府と協力して汚染度の高い排気ガスを多く排出する船舶が地中海で航行するのを徹底的に制限するよう働きかけており、4月に開催された仏環境省と欧州環境団体主催の国際地中海海運会議に関係官庁のみならず、スペイン各地から大気の品質問題の専門家を招いて、本件について議論を深めた。
      • 原文 Apr. 19, 2018, Ecologists in Action(野口美由紀)
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