2018/11/13 LROニュース(6)

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  • 2018.11.14 UP
    2018/11/13 LROニュース(6)
    • 【1】 コンゴで同日に2件の海賊事件が発生
      • 10月29日にコンゴのポワントノワール沖100マイルで、パナマ籍補給タンカーが武装した海賊に乗っ取られたが、同じ日にこの海賊グループはオフショア補給船から乗員4人(インドネシア人3名、ウクライナ人1名)を拉致し、乗っ取った補給タンカーに連れ去っていたことが判明した。補給タンカーはLPGタンカーへの船舶間補給作業中に襲撃を受け、当初の情報では難を逃れたとされていた。乗員を拉致されたオフショア補給船は11月1日時点でポワントノワールに停泊しており、難を逃れた11名の船員のうちインドネシア人9名は希望により帰国する見込みである。インドネシア当局はオフショア補給船の所有者と協力して、拉致された船員の解放にむけ海賊と交渉している。今回の事件発生場所は海賊頻発海域であるニジェール川デルタ沖から数百マイル南方であるが、ここ数か月間に複数の武装強盗事件が報告されている。
      • 原文 Nov. 1, 2018, The Maritime Executive(武智敬司)
    • 【2】 MEPC73:EEDI「フェーズ3」強化に向けた見直しは次回会合に持ち越し
      • 新造船に対するエネルギー効率設計指標(EEDI)について、MEPC72における授権事項に従い、Correspondence Group (CG)が検討・作成した「フェーズ2後のEEDIの見直し」に関する暫定報告書が日本から提出されこれを基にMEPC73で議論が行われた。具体的には、フェーズ3の開始時期の適用を一部船舶に対して2025年から2022年に前倒しすること、さらにコンテナ船については効率化率を30%から40%に強化することが提案されたが、合意に至らなかったため、次回MEPC74でより完全な提案に基づき議論を継続することになった。この他に、今次会合ではEEDIの計算方法に関するガイドラインが2014年版から2018年版に更新され、承認された。
      • 原文 Oct. 26, 2018, IMO(野口美由紀)
    • 【3】 西アフリカで急増する海賊事件
      • 10月27日、ナイジェリアのボニー島沖でコンテナ船が乗っ取られ、11人の乗員が人質になった。その後オフショア補給船から4人が拉致され、コンゴのポワントノワール沖で17名乗り組みのタンカーが乗っ取られたことで、合計32名が人質になっている。従来、西アフリカの海賊はタンカーの乗っ取りを主としてきたが、近年の原油価格の下落により旨味が低下しており、タンカー乗っ取りよりも船員誘拐のほうが容易で、現地海軍の対応が遅いことを十分承知しているのである。1990年代にインド洋で海賊が頻発した際は、海運会社は民間武装警備員を雇って成果を上げたが、ナイジェリアは国内法で民間武装警備員の乗船を認めていない。現地の海軍は可能な限りの対策を実施しているというが、ナイジェリアを例にとれば、沿岸警備隊もなければ確固たる海賊対策法制も存在しない。海賊対策の鍵は情報共有と地域協力にあり、状況認識と報告、情報の共有が進めば、海賊対策全体を向上できるのである。
      • 原文 Nov. 2, 2018, The Load Star(武智敬司)
    • 【4】 気候変動対策を前進させるために各国がCOP24で取り組むべきこと
      • 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の1.5℃特別報告書を実現するために、米シンクタンクWorld Resource Instituteが、12月のCOP24で各国が合意すべき点を整理しているところ、その概要は以下のとおり。①パリ協定では各国が5年ごとに国別目標(Nationally Determined Contributions : NDCs)を強化することが求められており、各国は2019年中に強化内容を決定し、2020年までにIPCC事務局に報告することが義務付けられている。各国はさらに2050年までに脱炭素化を達成できるような長期戦略も併せて報告するよう決定されるべき。②パリ協定採択時に温暖化を1.5℃以下に抑え込む「高い野心連合(High Ambition Coalition: HAC)」がEUや米等が参加して結成されたように、COP24においても既にマーシャル諸島をはじめ30か国がHACと同様な政治宣言に参加することを表明しており、多くの国がこうした政治的な宣言に参加すべき。③マ-シャル諸島やフィジーは強化したNDCを2019年に国連事務総長が主催する「気候サミット」で1年前倒して発表することを表明する予定だが、他の諸国の大臣も2020年までにNDCを強化する国内的な手順の概要をCOP24で説明できるように準備すべき。
      • 原文 Oct. 29, 2018, World Resource Institute(野口美由紀)
    • 【5】 北極海北航路と比較した北極海北西航路利用の課題
      • (論説)ロシア沖の北極海北航路(NSR)と比較したカナダ沖の北極海北西航路(NWP)利用の問題点は以下のとおり。①NWP上には、NSRと比べて島が多い分、安全運航の妨げとなる海氷が残存しやすい。②NWP沿いには深水港が無く、事故発生時の捜査救難体制に限界がある。③カナダはNWPは同国の(無害通航権もない)内水であると主権を主張しているが、米国をはじめとする他の諸国は、国際的に無害通航権が認められる海域だと主張しており、国際法上の位置づけが明確でない。④ロシアが向こう数年内にさらなる原子力砕氷船の建造を進め、NSR沿いの港湾建設に多額の投資を行う予定であるのに比べて、カナダはハドソン湾にある深水港であるチャーチル港の再開発を進める計画があるだけで、NWP上のアラスカやグリーンランドにおいても開発が遅れている。
      • 原文 Nov. 1, 2018, BBC (長谷部正道)
    • 【6】 南西諸島防衛に関する米シンクタンク報告書
      • 米国のシンクタンクであるハドソン研究所が発表した報告書は、中国の南西諸島侵攻に対抗して日米が行うべき備えとして次のように指摘している。①中国による台湾、尖閣諸島、琉球諸島に対する行動の抑止を目的として、日米が多面的戦略を構築する。その際は自衛隊に対する憲法上の制約を考慮しなければならない。②島嶼上陸のみならず事前のサイバー攻撃までを含む中国軍の動向を予測し、作戦レベルで如何に対抗するかを検証する高官レベルの対話を日米間で維持する。③自衛隊、海上保安庁と米軍の現場レベルでのより緊密な協力関係を構築する。これは情報収集能力の向上や監視情報の共有、共同の偵察、米海兵隊と自衛隊水陸機動団の共同即応能力向上が含まれる必要がある。④台湾有事に米国が引きずり込まれる等の地域有事の際に、日本による米兵の捜索救助や在日米軍基地の警備など、憲法に抵触しない範囲での日本の支援を確立する。⑤司令部や艦艇へのリエゾンの相互派遣等によるベストプラクティスの共有や相互理解の促進を通じ、南西諸島防衛における作戦指揮統制の枠組みの統合を現場レベルで深化させる。究極的には日米合同司令部による指揮統制の仕組みを創設し、有事における即応体制の確立と、日米合同の迅速な意思決定を実現する。
      • 原文 Sep. 2018, Hudson Institute(武智敬司)
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