2018/11/12 LROニュース(6)

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  • 2018.11.13 UP
    2018/11/12 LROニュース(6)
    • 【1】 マースクがその場で予約を確定できるコンテナオンライン予約システムを開発
      • マースクは、航空券のオンライン予約と同様に、顧客が航路の選択や空きスペースの状況を参照しながら、コンテナの輸送を予約しその場で確認を受け取れるシステムの導入を進めている。従来は予約の確認が取れるまで最大で2時間程度顧客は待たなくてはならず、平均して全体の申し込みの約1割が断られたり、ルートの変更を求められたため、こうした同社と顧客の間の予約確定をめぐるやり取りのために、多くの電話やチャットや月間20万通を超えるemailを処理する必要があった。新たなオンラインシステムの導入によって、顧客の利便性が向上するばかりでなく、従来のような電話・メールをやり取りするコストも削減できる。マースクのアプリをダウンロードすることにより、携帯からも同様の予約を行うことができる。
      • 原文 Nov. 1, 2018, Maersk(長谷部正道)
    • 【2】 ITF:欧州委員会にコンテナ船の独禁法の一括適用除外措置を延長しないよう要請
      • 欧州委員会は定期船のコンソーシアムに対して独禁法の一括適用除外を2020年4月まで認めているが、OECDの交通政策を担当する国際交通フォーラム(ITF)は、11月2日、欧州委員会に対して、一括適用除外措置を2020年4月以降認めないように要請した。今回の申し入れは、ITFが同日発表した「コンテナ海運におけるアライアンスの影響」という報告書の分析結果に基づくところ、その概要は以下のとおり。①コンテナ海運の寡占化が強まっており、2018年には上位4社で世界全体シェアの60%、トップ企業だけで19%の巨大シェアを持っている。②アライアンスの市場支配力は強大で、例えばアジアー欧州航路では、アライアンスに参加しない船社の市場参入がアライアンスによって阻害されている。③アライアンスは港湾やターミナル管理会社に対しても強い需要独占(monopsony)力を持っており、港湾使用料の引き下げを要求したり、船社によるターミナル管理会社の垂直統合を進め、船社が支配するターミナル会社は2001年には18%に過ぎなかったのが、2017年には38%と倍増している。
      • 原文 Nov. 2, 2018, Splash 24/7(長谷部正道)
    • 【3】 船主は2020年末までにEU規則に従った有害物質一覧表(IHM)を用意する必要
      • (論説)10月25日、IMOではMEPCと並行して国際海運会議所(ICS)の主催で船舶リサイクルに関する業界の作業部会が開催された。MEPCでは、燃料油中硫黄含有分2020年規制やバラスト水といった話題が中心的に議論されているが、その陰で多くの船主は、2021年1月1日から発効するEUの船舶リサイクリング規則に基づき、船内の有害物質についてEU規則に従った適正な一覧表(Inventory of Hazardous Materials: IHM)がなければ、船舶はEU域内のすべての港湾に入出港できなくなることを放念している。船舶のリサイクルに関する香港条約に準拠したIHMでは足りず、正確にEU固有の規則に従ったIHMが要求されることに留意するべきである。香港条約においてもEU規則においても「可能な限り現実的な(as far as practicable)」IHMと規定されているが、何をもってpracticableと解釈するかについてIMOとEMSAのガイドラインの解釈が同じであるという確証がなく、この問題は欧州委員会・EMSA・EU加盟国間で早急に検討される必要がある。いずれにせよ船主は手遅れになる前にIHM作成の準備を進めるべきである。
      • 原文 Oct. 26, 2018, The Marine Professional (Julie Harper)
    • 【4】 豪がパプアニューギニアの海軍基地再建に協力。中国の影響力拡大が背景
      • 豪のモリソン首相とパプアニューギニアのオニール首相がシドニーで会談し、パプアニューギニアのマヌス島にある海軍基地を共同で再建することに合意したと11月1日に豪政府が発表した。南太平洋地域への中国の影響力拡大に対抗するもの。両首相は声明で、本合意は周辺諸国の軍同士の相互連携を促進するとともに、豪海軍のパプアニューギニア訪問の機会増につながると述べた。モリソン首相は、太平洋諸国との連携を強化していく考えを示す一方、豪は最重要同盟国である米国と、第一の貿易相手国である中国の間の高度な戦略的競争をうまく誘導する必要があるとも述べた。両国の合意に対し中国外交部報道官は定例ブリーフィングで、中国と太平洋島嶼国との関係はあらゆる憶測を捨てて客観的に評価されるべきであり、豪パ両国は冷戦的な思考を捨てるべきと批判した。太平洋諸国では、今年5月に中国がバヌアツに軍事基地建設を検討しているとの報道があり、当時のターンブル豪首相が中国に対し、強い懸念を有していると警告していた。
      • 原文 Nov. 1, 2018, The Washington Post(武智敬司)
    • 【5】 中国の借金漬けの罠の次の標的は東チモールか?
      • 東南アジアの中で最も新しく最も貧乏な国である東チモールにとって、地域的に最も緊密な国は依然、豪と旧宗主国のインドネシアであるが、同国は中国と香港から今や1億6000万ドルを輸入しており、貿易相手国として、中国はインドネシアに次いで第2位に急浮上している。また最近、高電圧送電網や同国南部の高速道路の建設を含む大規模インフラの建設契約を中国企業が相次いで受注しており、さらに中国港湾工程はTibar湾に大規模なコンテナ港湾を建設する下請け契約を受注している。中国は、インドネシアからの独立を目指した東チモールの独立軍に対して、1975年以来資金と武器を供給してきた数少ない国であり、2002年に同国が独立を果たした時に国家として最初に承認したのも中国であった。一方、豪は同国に対して累計では中国より多くの開発援助を与えてきたが、チモール海の海底資源開発をめぐって、2004年には豪外務省による東チモール首相府の盗聴事件なども発覚しており、豪の同国に対する影響力は弱まってきており、中国に付け入る隙を与えている。
      • 原文 Nov. 2, 2018, Asia Times (長谷部正道)
    • 【6】 硫黄分規制:石油業界は恩恵を受けるも小規模精製業者と船主は損失の可能性
      • 世界の大手燃料供給事業者は、船舶燃料の2020年硫黄含有分規制を商機と捉え、着々と準備を進めており、企業の中にはスクラバーの搭載を希望している船主に融資を行い、低硫黄適合油の供給と燃料価格のヘッジ取引とをパッケージ化した商品提供の売り込みを行っているところもある。燃料価格の急騰が見込まれる中、地域間の燃料輸送を効率的に行うことで、燃料供給事業者は大きな利益を生むことができると見られている。また、石油精製事業者についても、高硫黄の石油を低硫黄燃料油に精製可能な設備を有する業者は規制強化により恩恵を受けるとされる。しかし、そのような設備を有していない業者は生き残り競争に負けるリスクがある。船主については、2020年に追加燃料コストが300億米ドルかかる可能性があり、現在、国際海運全体の燃料コストが約1000憶米ドルであることを考えると巨額の追加経費である。将来的な軽質油と重油の価格差が1バレルあたり約40米ドルと推計されていることは、スクラバーの搭載に大きなインセンティブを与えると言える。
      • 原文 Nov. 2, 2018, Reuters(野口美由紀)
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