2018/11/1 LROニュース(6)

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  • 2018.11.02 UP
    2018/11/1 LROニュース(6)
    • 【1】 ガダニ船舶解体場の火災事故は地元規制当局にも責任
      • 2016年11月1日、死者29人以上、負傷者58人の犠牲が出たパキスタンのアダニにおける船舶解体場の爆発事故以来、パキスタン当局は廃船の輸入と海岸における解撤を共に禁じたが、事故から18か月後の2018年4月に、廃船の輸入禁止がまず解除され、屑鉄価格の高騰を受けて、ガダニの解撤事業者は22隻の廃船となるタンカーを高価で買い付けた。解撤の禁止後も少なくとも5件の火災事故が発生していたにもかかわらず、政府は8月下旬に船舶解撤の禁止も解除した。10月11日と14日に連続して発生した船舶解撤中の火災事故はともにバルチスタン州環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)が個別に船舶解撤の許可を出したタンカーで発生した。EPAは発火性の高い燃料タンクに残った燃料が解体に使用された溶接機により発火したもので、タンクがきれいに清掃されているかどうか当局が検査さえすれば事故の発生を防げたはずである。今回の火災事故で、再びガダニにおける船舶解撤が全面禁止とされ、多くの作業員が失業した。NGOのShipbreaking Platformは当局に対し、ガダニの海岸における危険な船舶解撤を禁止し、解撤事業自体を作業員の安全な労働環境と環境汚染物質を適正に管理できるインフラが整備された場所に移転させるよう求めている。
      • 原文 Oct. 19, 2018, Shipbreaking Platform(Julie Harper)
    • 【2】 スコットランド:海洋プラスチックごみ削減のための技術開発助成制度を創設
      • 複雑に入り組んだ海岸線が広がるスコットランド西部では、アイリッシュ海や河川から流れ込んだごみが風向きや潮の流れによって一か所に集積するごみ溜ができ、その量は1か所だけで毎年6万点以上に上るとされる。そのため、スコットランドの環境・気候変動・土地改革大臣は、スコットランド資源会議において、同地域における海洋プラスチックごみを回収するために総額100万ポンドの助成制度を創設すると発表した。資金は欧州地域開発基金からの資金とMarine Scotlandからの資金等で賄われ、ごみ溜の問題に取り組みまた海洋プラスチックごみを回収するための新たな技術の実用化試験等を支援する。支援対象は若手起業家が運営する中小企業を主として想定しており、若手起業家を支援するYoung Enterprise Scotlandと連携したZero Waste Scotlandを受付窓口に、11月16日まで画期的な技術提案を募集する。
      • 原文 Oct, 2018, Zero Waste Scotland(野口美由紀)
    • 【3】 北極海:多年性の海氷の減少により気候変動の影響を受けやすくなる傾向
      • 10月12日、カリフォルニア工科大学の研究者が北極海の海氷の厚さ・体積・経年数に関する観測情報を分析した研究が科学誌Environmental Research Lettersに掲載されたところ、その概要は以下のとおり。①海氷の厚さについては、潜水艇のソナーの観測情報を比較したところ、海氷面積が最小となる夏の終わりごろの平均的な海氷の厚さは、この60年で厚さにして2m、割合にして66%縮小したが、冬季においては1980年以降目立った変化はなかった。②海氷の体積については、衛星に搭載した高度計の2003~2018年の観測情報を比較したところ、減少幅は、冬季(2~3月)は2870㎦/10年、秋季(10~11月)は5130㎦/10年であり、これは、同時期に見られた記録的な海氷体積の減少と比べると穏やかな傾向と言える。③海氷の経年数については、衛星に搭載した波高を観測するための散乱計の観測情報を比較したところ、1999~2017年における北極海の多年氷の消失割合は50%以上に上り、現在の多年氷の分布域は北極海の3分の1以下にすぎず、今後も多年氷の減少が続けば、北極海における海氷の厚さや体積の変化は1年ごとにできる新しい海氷の影響を大きく受けることになり、気候変動の影響を受けやすくなる。
      • 原文 Oct. 12, 2018, Environmental Research Letters(野口美由紀)
    • 【4】 ソマリア沖でばら積み船が海賊と銃撃戦
      • 10月17日、ソマリアのモガディシオ沖約340マイルのインド洋において、ばら積み船が武装した4人の海賊が乗ったスキフの接近を受けた。ばら積み船の船長は乗員をシタデルに避難させたうえで警報を発するとともに、ばら積み船の民間警備員が対応し、民間警備員と海賊の間で銃撃戦となったことから海賊は襲撃をあきらめた。ソマリア沖海賊は2011-2012年がピークで、その後民間武装警備員の乗船や多国籍海軍によるパトロールにより大幅に減少し、近年は襲撃成功事例は報告されていなかったが、昨年から再度活発化している。
      • 原文 Oct. 19, 2018 The Maritime Executive(武智敬司)
    • 【5】 英首相が中国に国際海洋法の遵守を要請
      • アジア欧州会議(ASEM)に出席中のメイ英首相は10月19日、中国の李克強首相との会談において、国際海洋法の重要性を強調した。メイ首相は会談で、国際法に沿った航行の自由と海上セキュリティの重要性を含む、法に基づいた国際秩序を英国が重視していることを繰り返した。中国は9月に英国艦艇が南シナ海の中国が領有権を主張する島の近海を航行した際、「挑発」であるとして英国を強く批判していた。
      • 原文 Oct. 19, 2018 Reuters(武智敬司)
    • 【6】 希船主協会:適合燃料油の安定供給体制がない以上実質的な猶予期間が必要
      • 10月18日、ギリシャ船主協会(Union of Greek Shipowners:UGS)が硫黄含有分規制強化に伴う適合燃料油供給体制について懸念を表明したところ、その概要は以下のとおり。①規制実施のためには、MARPOLの基準に適合するだけでなく、SLOLASの基準にも適合する安全で、世界中どこでも、ばら積み船や不定期船を含むすべての船舶が給油できる適合燃料油の安定的な供給が最も重要である。②適合燃料油に対応するISO規格の策定が規制開始の2020年1月までに間に合わない状況下で、ばら積み・不定期貨物船は、多くの不特定の港湾に寄港しなくてはならないので、安全性の確認されていない様々な種類の混合燃料油を給油することになり、混合油に関する事故が注目されている昨今、大きな問題である。③燃料供給業者は低硫黄適合燃料油の安全性と取り扱い上の注意点について、船社や乗組員に対する詳細な手引書の作成を提案しているが、燃料供給事業者側の責任を船社や乗組員に転嫁すべきでない。④MEPC73では、2020年規制の実施方法について事実上の猶予期間(Experience-Building Phase)を設けるべきであると、主要船舶登録国等が提案しているが、ギリシャ船主協会はこの提案を支持する。
      • 原文 Oct. 18, 2018, ギリシャ船主協会(野口美由紀)