2018/1/11 LROニュース(13)

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  • 2018.01.11 UP
    2018/1/11 LROニュース(13)
    • 1】 無人・自律運航船に関するP&I Clubとしての法的検討点
      • 1】 P&I ClubのShipowners Clubが「無人・自律運航船に関するP&I Clubとしての法的検討点」を取りまとめたところその概要は以下のとおり。岸から遠隔操縦され乗組員のいない無人船は、既存の法令上船舶の定義に比較的当てはまりやすいが、地上からの遠隔操縦なしに、事前に設定されたプログラムに従い、アルゴリズムを利用して運航される自律運航船は簡単には既存の船舶の定義にあてはまらない。具体的には、国連海洋法(UNCLOS)、海上人命安全条約(SOLAS)、国際海上衝突予防規則(COLREG)等の主たる海事条約の船舶の定義に照らして検討する必要がある。例えば、COLREGの第2条は船長と乗組員の規則順守義務を定めるが、陸上で無人船を遠隔操縦している人員を船長又は乗組員と見なせるか等々の検討が必要となる。船主責任制限条約(LLMC)においては、責任制限の主体が「船主と救助者」になっているので、幸い無人船や自律運航船にも適用があるが、他の第三者損害賠償責任に関する条約では、無人船や自律運航船を念頭に置いて条約が起草されていないし、適用の有無はそれぞれの締約国の裁判所の判断に最終的に委ねられることとなる。経済面では、P&I Clubに保険金請求される事例の38%が乗組員の過失に基づくものであり、また約42%が乗組員の人的損害に関する請求であることを踏まえると、無人船・自律運航船が普及すれば、Clubの保険金支払い負担は減るので、保険料も低減し、船主にとっては人件費の削減と合わせて経済的なメリットとなる。
      • 原文 Dec. 7, 2017, Shipowners Club (長谷部)
    • 2】 「排気ガスの少ない交通に関する欧州の戦略」を欧州議会が採択
      • 2】 12月14日、欧州議会が「排気ガスの少ない交通に関する欧州の戦略」を採択したところ、海運に関する部分の概要は以下のとおり。①IMOにおいて外航船舶から排出されるGHG削減に関する検討が行われていることを踏まえ、IMOが遅滞なく明確なGHG削減目標と期限を採択することを求める。もし、IMOにおいてパリ協定と同じレベルの合意ができない場合には、EUの港湾における船舶から排出されるGHGについては、2023年からEU排出権取引制度の対象とする。②天然ガス・LPG・水素といった代替燃料の使用を促進するための条件を策定し、海事分野における電池・太陽光発電・風力発電などの再生可能なエネルギー技術の統合を促進することを欧州委員会に求め、こうした環境に配慮した船舶(green fleets)の促進のための財政的支援を欧州委員会及び加盟国に求める。③EUの燃費消費実績報告制度(MRV)を、透明で検証可能な実際の情報に基づきつつ、IMOの新たな燃料消費実績収集制度(DCS)との整合性が図られるよう改正する。
      • 原文 Dec. 14, 2017, 欧州議会 (Dafnis)
    • 3】 ノルウェー船主協会のCEOが国連Global Compact担当の国連特別顧問に就任
      • 3】 国連Global Compact(UNGC)は1999年の世界経済フォーラムにおいて、当時のアナン国連事務総長が提唱したイニシアティブで、企業に対して、人権・労働権・環境・腐敗防止に関する10原則を順守するよう呼び掛けているが、このほどノルウェー船主協会のCEOのHenriksen氏がUNGC担当の国連特別顧問に任命された。同氏はビジネス界と政府間の国際協調を支援し、世界の海洋の持続可能な開発を促進することとなる。同氏は任命にあたり「海洋の将来は、世界のあらゆる人間が責任を分担すべき課題であり、ビジネス界も積極かつ適切に負担すべき課題である。ノルウェーは世界を代表する海洋国家として、海運・海洋エネルギー資源の開発・漁業・生物資源調査・北極海・資源管理の分野で広範な能力と経験を有しており、このような観点からUNGCの国際的な連携活動に貢献していきたい。」と語った。
      • 原文 Dec. 2017, ノルウェー船主協会(長谷部)
    • 4】 カナダの港湾に輸入貨物を奪われる米国西岸港湾
      • 4】 海運情報のDrewry社の統計によれば、昨年1月から10月までのアジアからの輸入貨物量の実績として、対前年同期比で、米国西岸の港湾の取扱実績は1.4%の微増にとどまった一方で、米国東岸の港湾は6.6%、バンクーバー港やプリンス・ルパート港といったカナダ西岸の港湾は18%の驚異的な伸びを見せており、米国西岸の港湾はカナダ西岸の港湾に貨物が流れるのを防ぐために躍起となっている。米連邦運輸委員会(FMC)は①米国の港湾においてメガコンテナ船の荷役をこなすだけのトラックシャーシが不足していること②カナダの港湾の方が中国等のアジアの港湾からの所要時間が短いこと③カナダの港湾からシカゴや米国中西部に向けての鉄道網が発達していること等を原因と分析している。アジアから米国に向けての貨物量は10月までの過去一年間の実績で5.7%伸びており、2016年の4.6%の増加を上回るペースで伸びている。
      • 原文 Dec. 18, 2017, The Load Star (長谷部)
    • 5】 HSMSハッキングに対する注意喚起
      • 5】 サイバーセキュリティを専門とするPen Test Partners社は、船内ネットワークに侵入して船体応力監視システム(HSMS)の応力データを操作し、故意に積荷のアンバランスを生じさせ船体に過大な応力を生じさせることで、ハッカーは乗組員に気付かれることなくばら積み船を沈没させることができるとして注意喚起を行っている。従来、船舶は海上ではインターネットから隔離されており、悪意を持った船員がHSMSを操作して自船を沈没の危険に晒すことは想定されなかったが、今日では衛星通信を利用してインターネット経由で遠隔からHSMSにアクセスできるのである。
      • 原文 Dec. 18, 2017 World Maritime News (武智)
    • 6】 ギニア湾で海賊襲撃により船員10名が行方不明
      • 6】 IMB(国際商業会議所国際海事局)海賊情報センターの情報によれば、2017年12月14日、ナイジェリアのブラスの南約32マイルを航行中のばら積み船(船名不詳)が、小型船に乗った6人の海賊の侵入を受けた後、同ばら積み船の乗員10名が行方不明となっている。10名は身代金目的に誘拐されたと見られる。現場付近では同日、木造船に乗った4,5人の賊が貨物船に接近、侵入を試みるも貨物船の回避行動により難を逃れるという別の事件が発生している。
      • 原文 Dec. 18, 2017 World Maritime News (武智)
    • 7】 ICCTが2015年における世界の海運活動から排出された黒色炭素に関し調査
      • 7】 クリーンな交通に関する国際評議会(International Conference on Clean Transportation: ICCT)が2015年における世界の海運活動から排出された黒色炭素と燃料の使用量について調査報告書を発表したところその概要は以下のとおり。この調査は自動船舶識別装置(Automatic Identification System: AIS)から得られた情報と、HIS Fairplay社による個々の船舶の性能をもとに調査を行った。この結果、2015年において世界の海運活動から排出された黒色炭素(煤)の量は、6万7000トンに達し、過去20年間に船舶から排出された二酸化炭素総量の20%に匹敵する地球温暖化効果があったことが判明した。コンテナ船が全体の26%の黒色炭素を排出していたが、1隻あたりでみればクルーズ船がコンテナ船の約3倍にも上る1隻辺り年間10トンもの黒色炭素を排出していた。ICCTは黒色炭素削減のためのいくつかの対策も提言している。
      • 原文 Dec. 15, 2017, ICCT (長谷部)
    • 8】 デンマークで船上における3Dプリンター使用実験が開始
      • 8】 海運からの排ガスゼロを目標として、デンマーク海事庁(DMA)、デンマーク船主協会、マースク等の有志企業で構成されるGreen Ship of the Future(GSF)は、3Dプリンターを製造するCreate it REL(CIR)社と連携し、デンマーク海事基金の資金で、船上において3Dプリンターを使用する試験事業を開始する。船上で3Dプリンターを使用できれば、船舶に常備しなくてはいけない予備部品数を削減し、船上で必要な修理点検を行うことを可能とする。さらに、使用されていた古い部品をそのままの部品に単に置き換えるだけでなく、部品交換の際に当該メーカーが現在製造している最新の改良された部品に簡単に置き換えることが出来ればさらに望ましい。現在は必要な修理部品を通船やヘリで、故障が生じるたびに、船舶に輸送しており、船上3Dプリンターで部品を製造することが出来れば、時間・コストの面でもGHG排出削減の面でも大きな効果が期待できる。
      • 原文 Dec. 14, 2017, Green Ship (長谷部)
    • 9】 韓国の北極海戦略
      • 9】 北極海経済委員会は当初は北極評議会の正式メンバーである8か国からしか参加できなかったが、北極評議会の正式加盟国ではない国からは初めて、韓国船主協会の参加が認められたのは既報のとおり。韓国は2013年に北極評議会のオブザーバーステータスを認められたが(我が国にも同年オブザーバーステータスが認められている。)、2013年以前にもロシアの北極海沿岸の港湾と韓国との間の物資の海上輸送は行われていたが、2013年に韓国の船社の現代グロービス社がスウェーデン籍船を初めてチャーターして欧州から北極海北航路を通って韓国に達する航海を実現し、2017年になって始めて韓国船が35日間でセントぺテルスベルグ港から北極海北航路を通って韓国の光陽港までの航海を実施した。北極海航路を利用するとスエズ運河経由に比べて、14日間程度航海日数を短縮できるものの、夏季においてさえ、ロシア砕氷船の支援が必要となる場合もあり、また欧州との間の輸出入貨物量のバランスが全く取れないという問題点がある。
      • 原文 Dec. 15, 2017, Arctic Now (長谷部)
    • 10】 EU競争当局がマルタのトン数標準税制を承認
      • 10】 2012年に欧州委員会はマルタのトン数標準税制について詳細調査を開始したが、いくつかの非課税措置がマルタの住民にしか適用されないこと、海運に従事していない船舶についてもトン数標準税制が適用されていることなどが、EUの国家支援に関する規則に違反すると認定し、マルタ政府に是正を求めた。マルタ政府は欧州委員会の指摘を受け入れて、指摘に沿って制度を改善したため、欧州委員会はマルタのトン数標準税制をEUの国家支援に関する規則に適合するものとして今後10年間認定することを12月19日決定した。マルタのトン数標準税制は、旅客・貨物運送収入、一定範囲内の運送関連収入、曳船・浚渫事業からの収入に適用される。船主がトン数標準税制の適用を申請するにあたっては、運航する船舶の相当程度を欧州経済地域(EEA)の諸国に登録しなくてはならない。
      • 原文 Dec. 19, 2017, EU (長谷部)
    • 11】 ReCAAP情報共有センター週間報告書 (12月12日‐18日)
      • 11】 アジア海賊対策地域協力協定情報共有センター(ReCAAP ISC)が12月12日から18日の間の週間報告書を発表したところ、当該期間中に発生した(報告された)アジア海域における事件の概要は以下のとおり。なお、このほか、ナイジェリア沖での侵入未遂事案1件と、ナイジェリア沖での船舶間油荷役中の荷油窃盗未遂事案1件が報告されている。①12月6日午前3時頃、バングラデシュのクタブディア島の西約4.47マイルをタグボートが艀を曳いて航行中、高速ボートに乗った賊が艀に横付けし、艀から係留索や航海灯などを盗んで逃走した。②12月8日午前1時38分頃、マニラ港錨地に錨泊中のコンテナ船に3人の賊が錨鎖を伝って侵入。侵入に気付いた乗員が警報を作動させ、賊は海に飛び込んで逃走したが、コンテナ船から空気呼吸器、空気ボンベ、防火衣などが無くなっていた。③12月10日午前4時頃、マニラ港錨地に錨泊中のコンテナ船で、巡回中の乗員が船首楼倉庫が荒らされているのを発見し、確認したところ空気呼吸器、空気ボンベ、防火衣が無くなっていた。④12月11日午前0時1分頃、マニラ港錨地に錨泊中のコンテナ船で、巡回中の乗員が甲板倉庫からイマーションスーツ、電気やすりなどが無くなっていた。⑤12月13日午後8時頃、シンガポール海峡分離通航帯を東航中のタンカーにナイフを持った4人の賊が船尾から侵入、タンカー乗員1名を殴打して、補助エンジンの予備品を盗んだ。
      • 原文 Dec. 19, 2017 ReCAAP (武智)
    • 12】 週間海上保安情報(12月19日)
      • 【12】 バングラデシュ:12月16日午後2時50分頃、コックスバザール州Nidaniaの西約14マイルで曳航されていた艀に人数不明の賊が侵入、窃盗のうえ逃走した。船員は無事である。バングラデシュ沖では船舶に対する窃盗は多くは通報されておらず、実際は頻発しているので、錨泊中であると航海中であるとを問わず警戒が必要である。 ナイジェリア:12月14日、ブラスの南約32マイルで6人の海賊が小型ボートを用いてマーシャル籍ばら積み船に侵入した。ばら積み船の乗員10人が行方不明となっている。ナイジェリア沖では2017年中旬以降誘拐事件が急増しており、米国はこの地域を航海する船舶に対して警報を発出している。 ベトナム:12月16日、カム・ファ港のHon Net錨地に錨泊中のばら積み船に10~12人の賊が侵入した。賊はばら積み船に横付けしていた艀から係留索を伝って侵入しており、塗料缶を盗もうとしているところを乗員に見つかったため、ばら積み船の備品を盗んで逃走した。 シンガポール:12月13日、シンガポール海峡を航行中のタンカーにナイフを持った4人の賊が侵入した。賊と出くわしたタンカーの機関員が襲撃されたが、タンカー側が警報を作動させたため、賊は機関の予備品を盗んで逃走した。 インドネシア:12月7日午前5時頃、ガラン錨地でナイフを持った4人の賊が補給船に侵入したが補給船乗員に見つかり、何も盗らずに逃走した。東南アジアでは船舶強盗が頻発しており、ナイフで武装したものも多くみられるが、多くは発見されるとすぐ逃走する。他方、近年は暴力的な強盗が増加しており、乗員を縛り上げて予備品などを盗む場合もみられる。 リビア:12月16日、リビア沿岸警備隊は同国北西沿岸で250人以上の欧州向け不法移民を摘発した。リビアの西海岸は欧州を目指す不法移民の主要な出発地となっているが、国連の支援を受けたリビア政府の取締りにより最近はその数が減少している。 チュニジア:12月12日、チュニジア税関はトルコから輸入された、アルジェリア向けコンテナに隠匿された20kgの爆発物を押収した。チュニジアでは密輸が頻発しているが、爆発物の押収は稀である。
      • 原文 Dec. 19, 2017 Protection Vessels International (武智)
    • 13】 米国、北朝鮮制裁違反の10隻を入港禁止対象に追加提案
      • 13】 米国は北朝鮮に対する制裁に違反して貨物を輸送しているとして、10隻の貨物船を入港禁止対象に追加するよう国連安全保障理事会に提案することが明らかになった。これら10隻は、瀬取りにより北朝鮮船舶に石油精製品を引き渡したり、北朝鮮から石炭を輸送したとされている。12月21日午後までに15か国の安保理理事国から異議申し立てがなければ米国の提案が承認され、これら10隻は世界的に入港が禁止される。対象となる10隻の船籍の内訳は、香港籍1、トーゴ籍1、パナマ籍3、北朝鮮籍4、船籍不明1である(本文中に船名の記載あり)。
      • 原文 Dec. 19, 2017 Reuters (武智)
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