2021/03/30LROニュース(7)

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  • 2021.03.31 UP
    2021/03/30LROニュース(7)
    • 【1】ノルウェー企業が2024年までにアンモニア燃料船による貨物輸送を目指す
      • 【1】アンモニア燃料を専門とするAmon Maritimeは、CO2を排出しないばら積貨物船を運航する船会社Viridis Bulk Carriers設立のため、ノルウェーの船会社Navigare LogisticsおよびMosvolds Rederiの2社と協力している。2024年に最初の貨物船団が就役する予定で、Viridisはこれを使用して短距離でのばら積貨物輸送のサービスを提供することを予定している。同社は、アンモニアを動力源とするシステムの開発についてノルウェー政府のグリーン・プラットフォーム・ブログラムから支援を受けており、2022年に建造を発注することを目指している。この貨物船は1回の燃料補給で3,000海里以上を航行することができると見込まれている。欧州近海を航行するばら積貨物船の船齢の平均は約30年であり、新造船の需要が高まっていることから、同社は、老朽化した既存の貨物船をゼロエミッションの貨物船に代替することで需要を満たすことを戦略としている。
      • 原文 March 30, 2021 Splash (若林健一)
    • 【2】CAAが黒煙排出量を削減するためのIMOの提案を非難
      • 【2】北極海での重油燃料の使用中止を求めるClean Arctic Alliance(CAA)は、先日行われた第8回汚染防止・対応小委員会(PPR8)において、船から排出される黒煙を直ちに削減するための効果的な行動ではなく、拘束力の弱い「目標ベースのガイドライン」を策定するというIMOの提案について非難した。CAAはPPR8の開催に先立ち、重油燃料からより環境に優しい留出燃料に切り替えることによって、船から排出される黒煙を最大44%削減することが可能であり、IMOに対してPPR8はこうした燃料の利用を義務付ける絶好の機会であると呼びかけていたが、目標ベースのガイドラインは事実上、黒煙排出量を削減するために各国がそれぞれの時間軸で独自のアプローチを取ることが可能で、どんな選択肢にも実施要件や強制力が伴わないことへの失望を露わにした。CAAは、最終的には全ての船舶が従来の燃料からクリーンな燃料や他の方法に移行する必要があると考えており、今回の決定がPPR8の親委員会である6月のMPECで検討される際は、IMOは黒煙排出量を削減するために緊急の行動が必要なだけでなく、こうした行動が迅速に取られる必要性を明確にすべきであるとしている。
      • 原文 March 26, 2021 Seas at Risk(植木エミリ)
    • 【3】中国が南シナ海に関する批判に対抗するため東南アジア諸国に接近
      • 【3】中国外相は、今週中国を訪問予定のシンガポール、インドネシア、フィリピンおよびマレーシアの外相と会談し、また、これとは別に韓国のカウンターパートとも会談する予定と伝えられている。シンガポール外務省は、今回の中国訪問は長年の両国間の関係の再確認が目的で、両国はパンデミック後の経済回復を強化するために協力していると説明している。米国は同盟国の結束を模索しており、南シナ海での中国の活動に対する発言は日本、インドネシア、フィリピンの支持を受けている。マニラのシンクタンクthe Asia-Pacific Pathways to Progressは、今回の会談はクワッドや西側諸国による政治的および外交的な動きを踏まえ、地域の国々との関与を深め、これらの国に安心感を与えるための中国による試みである可能性を指摘している。別のシンクタンクthe Pacific Society of Chinaは、中国外相は会談で各国外相に対して中国海警法の導入は個別の国を対象としたものではなく紛争を引き起こす意図はないと説明し安心感を与え、紛争を棚上げし共同開発を追求するという南シナ海における中国の一貫した立場を改めて表明するだろうと分析している。シンガポールのISEAS-Yusof Ishak Instituteの客員研究員は、今回の会談では、コロナ対策での協力、パンデミック後の回復、ミャンマーや朝鮮半島情勢などについて議論が行われる可能性が高いと述べ、米国による戦略的な中国包囲網についても取り上げられる可能性が高いと分析している。
      • 原文 March 30, 2021 South China Morning Post(若林健一) 
    • 【4】モザンビークでのLNG輸出計画が武装集団の襲撃により再び中断
      • 【4】アフリカ・モザンビーク北部の町パルマでは、3月24日からイスラム過激派武装集団の攻撃が続いており、仏の大手石油企業Total社の大規模なLNG輸出計画の重要な拠点であるパルマ港も襲撃を受け、同社は29日、LNG輸出計画の一時停止することを発表した。この事業計画は、モザンビーク沖の未開発資源を活用する200億ドル(約2.2兆円)規模のLNG製造プラントの建造および輸出計画であり、同社は今年1月にも治安悪化の懸念から作業を中断し、武装派集団が町を襲う直前まで再開の準備を進めていたが、この度の襲撃によって再度の後退を余儀なくされた。戦闘は今も継続中で、速報では武装集団の無差別な攻撃によって多くの民間人が亡くなったと伝えられており、数百人の外国人労働者も政府軍と武装集団の戦いに巻き込まれ、多くが緊急のボートリフトで南部へ避難した。今回の襲撃によってTotal社のガス施設そのものには直接的な影響は出なかったものの、当該事業計画に従事する契約者や職員の多くは北部の町パルマの近くに居住している。人権NGO Human Rights Watchによると、反政府軍の路上攻撃によって、パルマは過去1年間断続的にモザンビーク近隣の町から遮断され、食糧不足に陥っているという。
      • 原文 March 29, 2021 Maritime Executive(植木エミリ)
    • 【5】コンテナ船の離礁によりスエズ運河の通航が再開される
      • 【5】3月23日にスエズ運河で座礁し、約1週間にわたり運河を塞いでいた長さ400mの大型コンテナ船Ever Givenの離礁作業が成功し、29日の午後遅くに運河の通航が再開された。スエズ運河庁は、30日の早朝までに運河を通航するとみられる船舶の数は両方向で合わせて113隻になり、422隻の船舶が待機しているという状況は3日半をかけて解消される見込みであると語った。同船を用船するEvergreen Lineは、同船が運河の中央に位置するグレートビター湖で堪航性の検査を受ける予定で、初期の調査の結果限定的な航海には支障はなく、コンテナにも損傷はないと説明している。現地の報道では、運河の通航を待つ船舶には、数十隻のコンテナ船、ばら積貨物船、石油タンカー、LNG船、LPG線が含まれているが、スエズ運河庁は、待機を解消するために昼夜を問わず対応し、4日以内には通常の状態に戻したいと述べ、また、Ever Givenのような大型船の通航に関して方針を変更することはないと説明している。Maerskは、世界の海運への連鎖的な影響が解消されるには数週間から数カ月を要する可能性があると述べている。運航に遅延が生じた船舶の所有者や用船者にとっては、保険契約が遅延による損失をカバーしていないため、回収できない損失の額は少なくとも2,400万ドルになるとみられ、また、貨物の所有者も損失が保険でカバーされない可能性があるとの見方もある。Ever Givenの離礁後、Evergreenの株価は上昇した一方、石油価格は1%下落した。世界の外航船の約15%はスエズ運河を通航し、エジプトにとっては貴重な外貨の収入源となっているが、今回の閉鎖によって1日当たり1,400万から1,500万ドルの損失が発生している。
      • 原文 March 29, 2021 gCaptain (若林健一)
    • 【6】パンデミックの影響でクルーズ船の違法な解体が増える懸念
      • 【6】パンデミックにより深刻な打撃を受けたクルーズ船部門では、多くの船主が破産申請や、比較的若い船の引退といった運航費の削減措置を取らざるを得ない状況になっており、海運データベースによると、過去15か月間で少なくとも24隻が解体のため売却されている。大手クルーズ企業は、自社の船舶を責任ある方法でリサイクルすることを約束し、EUの認証を受けたリサイクル施設を利用しているが、そうでない船主達は、より収益性が高く、作業環境のリスクが高い南アジア沿岸で解体を行っている。またその際、既存の廃棄物法を回避するため、船舶を廃棄する意図を不正に隠蔽する企業もある。昨年11月に、経営破綻した英国のクルーズ会社から売却された2隻の船が解体のため印に向けて不法に出航したが、この2隻は構造上大量のアスベストを含んでいると考えられており、バーゼル条約および同等の国内法では、アスベストなどの有害物質を含んだ終末期の船を英国からOECD非加盟国に向けて輸出することは禁止されている。Shipbreaking Platform(SP)は英国当局に対し、この不法な輸出と、トルコに送られた同じクルーズ会社の別の船について併せて警告を行った。トルコはOECD加盟国の中では合法な解体先だが、今回の英国からの移動が国際廃棄物法で求められる許可手続きと事前のインフォームド・コンセントなしに行われたという懸念がある。同社が売却した4隻目の船も最近ギリシャに向けて出航しており、同船にも不法な解体の疑いがあるため、SPは今後も注意深く動向を見守るとしている。
      • 原文 March 26, 2021 Shipbreaking Platform(植木エミリ)
    • 【7】英国の人口の約半数が免疫を既に獲得か
      • 【7】英国統計局(ONS)が国内の一定の人を対象に実施している調査の結果によると、英国内の人口の約半数がウィルスへの感染又はワクチンの接種によって新型コロナウィルスへの免疫を既に獲得しており、高齢者層ではさらにその割合が高くなり65歳以上では約9割に及ぶことが分かった。英国では1回目のワクチン接種を終えた人の数は、高齢者を中心に3,000万人を超えており、大部分はワクチン接種により免疫を獲得したとみられる。3月当初の調査結果では免疫を獲得した人の割合は約3分の1であったことから、今回の調査結果は免疫を獲得した人の数が急速に増加していることを示している。また、今回の調査結果は、英国内の死者数が先週の平均を下回り、さらに例年この時期に予想される死者数も下回っていることを示している。
      • 原文 March 30, 2021, BBC (若林健一) 
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