2021/03/29LROニュース(7)

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  • 2021.03.30 UP
    2021/03/29LROニュース(7)
    • 【1】スエズ運河に座礁した大型コンテナ船の離礁作業が成功
      • 【1】3月23日にスエズ運河で座礁した2万TEUの大型コンテナ船Ever Givenの離礁作業が成功し、スエズ運河は再開に向けて準備を開始した。同船の船舶自動識別装置(AIS)のデータによると、現在同船はスエズ運河の中央を0.5ノットの速力で北上しており、堪航性の検査と応急修理を実施するためにグレートビター湖に向かっている。同船を用船しているEvergreenは、検査の結果を踏まえて同船の航海を再開させるかどうかを決定し、同船の船主や他の関係者が本件の調査報告を完了させたのちに、その後の問題に対処するために船主と調整を行うことになると説明している。同船の管理を担当するBSMも現地時間の29日15時に同船の安全な離礁に成功したことを認めている。同船の航海の再開は今夜遅くになると予想されているが、他に運河の通航を優先させる船舶があるか否かについては明らかになっていない。28日の時点で運河を通過するために待機している船舶の数は372隻に及んでおり、コンテナ船にあっては80隻が待機しているが、週末にかけてアジア・EU間の輸送路を中心に運河を迂回する動きが加速しており、すでに数十隻の船舶が航路を変更している。
      • 原文 March 29, 2021 Lloyd’s List (若林健一) 
    • 【2】NOCが大西洋での気候変動に関する研究活動を延長
      • 【2】1985年から36年間に渡って、英国立海洋学研究所(NOC)の研究チームは、アイルランド南西の観測所Porcupine Abyssal Plain Sustained Observatory (PAP-SO)において、海洋の長期的な変化を理解する上で重要な観測活動を行ってきたが、この度この研究活動が再度延長されることが決定され、王立研究船Discovery号は3月25日、PAP-SOに向けてサウザンプトンを出航した。研究チームは様々な水柱や海底のサンプルデータの収集を行い、イングランド唯一の深海の海洋保護区であるWhittard峡谷内の堆積現象や海流の長期的な観測を行う。研究チームは全長5kmのブイを使用して、大西洋の風速/風向き/相対湿度/海水温/気温/気圧/大気中のCO₂/波の高さ/周期などの測定を行うともに、海中の塩分/温度/CO₂/酸素/酸性度/植物性プランクトンの色素/栄養素/日光を計測するセンサーも搭載しており、これらの測定値は海洋の自然な変動を研究するために使用される。別のブイには、表層から深海に炭素を運ぶ沈降粒子の季節的な変動を観測する装置が搭載されており、炭素の追跡によって、どれだけの炭素が海洋に吸収されているのかを把握することが可能になる。また水柱と海底堆積物の広範なサンプリングに加えて、遠隔操作車両(ROV)を利用して海底の撮影を行い、粒子状有機物とそれを餌にするナマコやイソギンチャクといった野生生物の記録を行う予定である。
      • 原文 March 26, 2021 NOC(植木エミリ)
    • 【3】比が南シナ海の中玉漁船団を監視するために戦闘機を派遣
      • 【3】約220隻の中国漁船が南シナ海の南沙諸島のウィットサン礁(牛軛礁)付近に留まっている問題に関して、比国防相は3月27日、これらの漁船を監視するために現場海域に毎日軍用機を派遣することを発表した。比国防相は、比は自国の主権を防衛し海洋資源を保護するために必要な準備はできており、主権を守るための巡回と南シナ海における自国の漁業者の保護のために、比海軍や沿岸警備隊の現場海域での活動頻度が増えるだろうと述べ、また、比空軍が同じ任務のためにAS-211戦闘機を毎日飛行させると説明した。AS-211戦闘機はSIAI-Marchetti社により製造された小型練習機であるが、比空軍ではこれに照準器や50口径機関銃を装備してアップグレードを図っており、戦闘機として二次的な役割を負っている。比海軍によると、コルベット艦と巡視船が巡回活動を実施するために現場に派遣されており、新造のフリゲート艦2隻も準備が整い次第追加で派遣される予定であると説明している。比軍によると、中国は同礁に約220隻の海上民兵を乗せた漁船を配置しており、比政府が公表した写真には現場で一直線に連なり停泊する漁船の姿が捕らえられている。中国は、天候は良好に見えるが、これらの漁船は悪天候を避けるため同海域に停泊していると主張している。
      • 原文 March 29, 2021 The Maritime Executive (若林健一) 
    • 【4】ICS:船員への優先的なワクチン接種を求める国連機関の要請を歓迎
      • 【4】国際海運会議所(ICS)は、3月26日にWHO/ILO/IMO/ICAO(国際民間航空機関)/IOM(国際移住機関)の5つの国連機関が共同で発表した、船員および航空乗組員に対しコロナウィルスワクチンを優先的に接種することを求める共同声明について歓迎する意向を示した。各国連機関は、船員はコロナ禍において国際貿易を動かし続けるための重要な役割を担っていることを改めて強調するとともに、未だに乗船・下船できず「船員交代の危機」に晒されている多くの船員の存在について認識しており、パンデミックからの社会経済的復興のために重要な船員を支援するため、各加盟国に国や地方レベルで保健・移民・国境管理・海事当局が協力しながらこの問題に対処するための緊急の行動を取ることを強く推奨している。ICSはこの声明を受けて、各国政府に国連機関のこうした呼びかけに耳を傾け、船員がコロナ禍における影のヒーローであることを認識するよう求めている。サプライチェーンの維持という重要な役割を果たすため、船員は定期的な国境の行き来が必要であり、そのためにはワクチン接種が不可欠である。またこの共同声明では、船員が日常的に国境を越えて活動できるようにするため、陰性証明書の相互運用可能なグローバルシステムの必要性についても言及されている。
      • 原文 March 26, 2021 ICS(植木エミリ)
    • 【5】 仏がナイジェリア海軍の海図作成能力の向上などに対する支援を表明
      • 【5】駐ナイジェリアの仏防衛駐在武官は、3月24日にナイジェリア海軍の水路測量学校(NNHS)を訪れ、ナイジェリア海軍はギニア湾で最も優勢な海軍であり、仏の支援を受けてギニア湾の安全を確保するために必要なものを有しているとして、良好な二国間協力に非常に大きな関心を持っていると述べた。また、同氏は、ナイジェリア海軍が過去数年間で仏企業から約17隻の艦船を調達したことを称賛し、最先端の水路測量船が4月16日に仏を出発しナイジェリアに配備されることに触れ、この水路測量船はナイジェリア海軍がギニア湾の安全性を高めるためにより適切に海図を作成することを可能にすると述べた。NNHSの司令官は、同校が西アフリカ地域で唯一の海軍の水路測量学校であると語り、職員の訓練を後押しするための小規模な気象観測所の設置への支援を仏に求めた。また同氏は、同校での仏語教育に対する支援、実践的な面で訓練を強化するための小型艇、海洋学や海図作成における能力の向上、海上安全情報に関する訓練などでの支援の可能性についても話し合われたとしている。同氏は、要求が認められた場合には、ナイジェリア海軍による海図作成能力を大幅に強化することができると期待を示している。
      • 原文 March 29, 2021 ARX MOULDINGS (若林健一)
    • 【6】ノルウェーで自動荷役装置を搭載したゼロエミッション船の建造計画が始動
      • 【6】ノルウェーの船社Egil Ulvan Rederi(EUR)は、半年間に及んだ入札競争の末、水素と風力を動力源とし、自動荷役装置を搭載した新たなばら積み船の開発/建造/運航を行う契約を獲得した。EURはNorwegian Ship Design(TNSDC)との協力の下、新造船のコンセプトデザインを行っており、当該船舶の発注を行った二社の荷主企業やDNVの専門家との複数回にわたる会合を通じて、エネルギー効率と燃料費の削減に焦点を当てた技術的ソリューションを提示し、自然本来の力を直接利用することが海運業界のCO₂排出削減に重要な役割を果たすとの考えに基づき、本プロジェクトは「With Orca」- Powered by Natureと名付けられた。新たに建造される船は風力で推進する2枚のローターセイルを有し、水素を燃料とする内燃機関が搭載され、船上の水素は圧縮水素の形で貯蔵される。また当該船舶の竜骨は、漂流を防ぐため特別に開発されたものを使用する予定である。本船は風の条件が風力推進装置の利用に適した北海外洋を主に航海し、船舶を発注した荷主企業のそれぞれの貨物であるコンクリート骨材と穀物の輸送を行う予定である。今後の予定としては、年内に当該船舶の全面的な開発および最適化を行い、2024年初頭には運航開始することを目指している。
      • 原文 March 29, 2021 Offshore Energy(植木エミリ)
    • 【7】イングランドのロックダウンが緩和される
      • 【7】3月29日、イングランドのロックダウンが緩和され、必要不可欠な理由以外の外出を規制する措置が撤廃され、屋外であれば社会的距離を保ちつつ同居しない人と6人まで会うことが出来るようになった。また、テニスやゴルフなどのアウトドアスポーツも再開される。一方でジョンソン首相は、ロックダウンは緩和されるが、欧州では新規感染者数が増加傾向にあり、ウィルスの変異種がワクチン計画を脅かしているとして、国民に対して引き続き規則を遵守することを求め、手洗い、マスク着用、社会的距離の確保などを励行し、ワクチン接種を積極的に受けるよう呼びかけている。今回の緩和措置は3月8日の学校再開に続く第2段階で、2週間後の4月12日にはさらに美容院や飲食店の屋外営業が再開する予定である。

        ※3/28の英国の感染者数:3,862人(日本2,037人の1.9倍)
        ※3/28の英国の死者数:19人(日本人33)
      • 原文 March 29, 2021, BBC (若林健一) 
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