2021/03/05LROニュース(7)

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  • 2021.03.08 UP
    2021/03/05LROニュース(7)
    • 【1】海運業者などがEUにグリーン水素とアンモニアの開発促進を呼びかけ
      • 【1】欧州の海運会社のDFDS、CMBおよびViking Cruises、商品取引業者のTrafigura並びに環境NGOのTransport & Environmentは、欧州委員会に共同で送付した公開書簡の中で、Fuel EU Maritimeを利用して船舶燃料としてのグリーン水素やグリーン・アンモニアの開発を促進することを求めた。同書簡によると、持続可能なグリーン水素とグリーン・アンモニアについては、海運業界の脱炭素化を実現するのに十分な量を生産することができるとし、作物をベースにするバイオ燃料は化石燃料よりも多くの炭素を排出することになり、持続可能な代替燃料にはなり得ないと主張し、EUが4月にも提案するとみられているFuel EU Maritimeにおいては、新に持続可能な再生可能エネルギーをベースとする水素やアンモニアに焦点を当てるよう促している。また、Global Maritime Forumのデータを引用して、世界の海運業界向けにグリーン水素とアンモニアを生産するには、設備投資に1.4兆ユーロ(1.67兆ドル)が必要になるとしている。
      • 原文 March 5, 2021 Splash (若林健一) 
    • 【2】2020年の国際海運のCO₂排出量は1%減少
      • 【2】スウェーデンの海運データ企業Marine Benchmarkは、IMO登録船の1時間ごとのAISデータを利用して、船舶の主機関と補助機関の燃料消費量を独自のアルゴリズムで分析しているが、同社によると、2020年の国際海運におけるCO₂排出量は、パンデミックによる海運活動の縮小によって1%減少したことが明らかとなった。タンカー・ばら積み船・コンテナ船の三大部門では、コンテナ船のCO₂排出量は2.4%減少していたものの、ばら積み船とタンカー部門の成長により相殺され、1.2%増加していた。一方クルーズ船部門のCO₂排出量は45%も減少し、フェリー・RORO・車両運搬船部門も需要薄により大幅に減少した。MBは、世界的な経済需要が回復してきていることを考えると、2021年は海運活動が活発化するため、こうした減少は一時的なものである可能性が高いとした。船舶のCO₂排出量は消費された燃料の炭素含有量から計算されるが、重油燃料はその約86%が炭素のため、燃料を1トン消費するごとに約3.15トンのCO₂が排出されることになり、舶用ガスオイルの方が炭素含有量がわずかに高いため、CO₂排出量も多くなる。船舶の実際の燃料消費量は様々な要因に左右されるが、主に船体・エンジン/プロペラの設計・排気量・速度・ファウリング・水文/気象条件などが影響する。
      • 原文 March4, 2021 Offshore Energy(植木エミリ)
    • 【3】ReCAAP-ISC:アブサヤフによる襲撃に対する警戒を求める警報を発表
      • 【3】アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センター(ISC)はフィリピン沿岸警備隊から、3月3日10時45分ころにフィリピンのタウイタウイ州のシブツ島の沖合を航行していたばら積貨物船に、3人の賊が乗った不審な高速艇が接近し、貨物船に移乗を試みるという事案が発生したとの報告を受けた。同船の船長は本件を直ちにフィリピン海軍沿岸監視本部(LMS)に報告し、犯人が武装していたか否かについての情報はない。本件が発生した海域は、スールー海を拠点とするアブサヤフ系のグループや身代金目的の誘拐を行うグループが活動している海域であり、ReCAAP-ISCは、サバ州東部沖合やスールー海・セレベス海を航行する船舶の船長や乗組員に対して、特別な警戒態勢をとることを求めている。
      • 原文 March 3, 2021 ReCAAP-ISC (若林健一) 
    • 【4】豪:船上から食品廃棄物を投棄した船に有罪判決
      • 【4】2018年に豪ブリスベンからグラッドストンに向けて航海していたリベリア船籍のばら積み船Iron Gateが、豪海域およびグレートバリアリーフ海洋公園内に位置するLady Elliot島の南東13海里沖から110リットル相当の食品廃棄物を投棄した件について、ブリスベン海洋裁判所は同船の一等航海士と、海運会社Kairasu Shipping S.A.に有罪判決を下し、約5000ドル(約54万円)の罰金を請求した。当該船舶を2月26日に起訴した豪海事安全局(AMSA)は、2018年の当該船舶の定期点検中に違反を発見し、のちに当該船舶を拘留し告発し、同局は海運からの汚染に対していかなる違反も許さない構えであると述べた。1983年に制定された豪の海洋保護(船舶からの汚染防止)法の下では、グレートバリアリーフ海洋公園の海側境界12海里以内に食品廃棄物を投棄することは禁じられている。グレートバリアリーフの最南端に位置するLady Elliot島は、カメやマンタと泳ぐことができ、国内外から観光客が多く訪れる豪有数の観光地であり、AMSAは、世界遺産にも登録されているグレートバリアリーフにごみが投棄された記録を残すことは好ましいことではないが、今回の判決によって他の事業者への注意喚起になるだろうとしている。
      • 原文 March 4, 2021 Maritime Executive(植木エミリ)
    • 【5】IMO:太平洋地域の船員の交代のためのハブ港の設置を議論
      • 【5】国際海事機関(IMO)は2月25日、太平洋島嶼国出身の船員が帰国や船員交代に関して危機的な状況に直面していることを踏まえバーチャル形式で円卓会議を開催し、豪、フィジー、キリバス、ニュージーランド、サモア、トンガ、国際労働機関(ILO)、IMO、世界保健機関(WHO)、国連世界食糧計画(WFP)、フィジーとサモアの国連駐在調整官、国際海運会議所(ICS)、国際運輸労連(ITF)、および太平洋島嶼フォーラム(PIFS)が参加した。会議ではキリバスが、320人以上の船員が現在主にブラジル、デンマーク、ドイツ、スペインで待機を余儀なくされており、20人単位でドイツやフィジーを経由して帰国させる計画があることを説明し、感染者が発生していないサモアやトンガは、船員をフィジーやニュージーランドで14日間隔離する必要があると訴えた。また、豪のブリスベン、フィジー、ニュージーランドが船員交代のためのハブ港を提供する可能性について触れ、同時に、限られた検疫施設を事前に予約する必要性、PCR検査キットなど医療関連物資の不足、船員を帰国させるための費用などに関する制約についても話し合われ、ハブ港の標準的なプロトコルを作成するという提案がなされた。さらに、船員にワクチンを優先的に接種する必要性についても強調された。海運業界の団体からは、渡航の制限により乗船できない船員が仕事を失う可能性があるとの指摘があり、船員の収入が太平洋島嶼国の国内経済へ多大な貢献をしていることが確認された。
      • 原文 March 1, 2021 国際海事機関 (若林健一) 
    • 【6】責任ある船舶リサイクルイニシアティブに新たにSEBが加入
      • 【6】Responsible Ship Recycling Initiative(RSRI)は、船舶を環境的・社会的に責任ある方法で廃棄・リサイクルするため、2017年に欧州の銀行によって発足したイニシアティブであり、この度12番目の会員として新たにスウェーデンの金融サービスグループ・SEBが加わった。RSRIは香港国際条約の基準に準拠して活動を行っており、香港国際条約はまだ正式には批准されていないものの、船舶リサイクルにおける最低基準を定めている。SEBはRSRIへの加入以前にも、2050年までに海運からのGHG排出量を2008年実績比で半減させるというIMOの目標に合わせ、CO₂排出量を融資基準に反映させる国際的な銀行のイニシアティブであるポセイドン原則にも署名を行っている。今世紀初頭に中国が世界貿易機構に加盟し、欧米に安価な商品を輸出するようになったため、大量の新造船が発注されたが、その後金融危機が発生して景気が悪化し、過去10年間は海運業界にとって厳しいものだった。現在では新造船の受注は歴史的な低水準となって、多くの場合需給のバランスがとれており、経済がコロナ危機から回復すると同時に新造船が市場に投入されることはほとんどないため、今後2年間の海運市場は比較的ポジティブなものになると予測されている。今後は経済の復興に伴い海上輸送量も増えていくため、期限内での排出削減目標の達成に向けた転換が主な課題となる。
      • 原文 March 4, 2021 Offshore Energy(植木エミリ)
    • 【7】英国政府:3月8日から海外への渡航者に宣誓書の事前作成を義務化
      • 【7】イングランドでは現在のロックダウンにより仕事など一部の理由を除いて海外への渡航が制限されており、休暇のための渡航は早くとも5月17日まで禁止されている。しかし、この制限に違反して海外へ渡航する人が後を絶たないため、英国運輸省は3月5日、今月8日から海外への渡航者に対して予め決められた様式により宣誓書を作成し、印刷物又は携帯電話により空港で提示を求めることを決定した。同省は、この様式は政府のウェブサイトでダウンロードが可能であり、事前の作成を怠った場合には200ポンド(約3万円)の罰金が科せられる可能性があり、また、渡航の目的が認められていないものであった場合には自宅に帰されたうえ、最大で6,400ポンド(約96万円)の罰金が科されると説明している。

        ※3/4の英国の感染者数:6,573人(日本1,244人の5.3倍)
        ※3/4の英国の死者数:242人(日本人68の3.6倍)
      • 原文 March 5, 2021, METRO (若林健一) 
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