2021/03/03LROニュース(7)

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  • 2021.03.04 UP
    2021/03/03LROニュース(7)
    • 【1】 Wood Mackenzie :燃費性能規制でIMOの2030年目標は達成可能

      • 【1】Wood Mackenzieの最新の報告によると、2030年までに国際海運全体の燃費効率を少なくとも40%改善するという国際海事機関(IMO)の目標は、6月に開催される第76回海洋環境保護委員会(MEPC76)で新造船の燃費性能規制(EEDI)および既存船の燃費性能規制(EEXI)に関する修正案を採択することで達成できるとしている。また同社は、改正案は2023年以降に適用されるが、これにより国際的な船舶燃料の需要は2030年までに現在の見通しと比較して1日あたり約37万バレル減少し、燃料消費量の削減がエンジン出力制限のみによって満たされる場合、全体として6%を超える速度の削減が必要になると分析している。さらに、LNGはこの10年間で着実に成長し、2030年までに1日あたり約70万バレルの石油燃料に取って代わると予想されるが、LNGは船舶からの総排出量の9%を占め、将来の温室効果ガス(GHG)削減目標の達成における役割は限定的であとして、LNGの成長は2030年代まで加速するものの、ゼロ炭素燃料が普及するにつれて2040年以降は減速すると分析している。同社は、2050年までに国際海運からのGHG排出量を半減させるというIMOの目標を達成するためには、2050年までに低炭素およびゼロ炭素燃料への大幅なシフトが不可欠で、EEDI規制に関してはフェーズ3を超える野心的な新たな目標を設定する必要があり、2050年の目標を達成できた場合、現在の見通しと比較して2050年までに1日あたり約90万バレルの石油燃料の需要が減少するとみている。
      • 原文 March 1, 2021 SAFETY4SEA (若林健一)
    • 【2】NOC:画像により生物種を特定するための新たなガイドラインを作成
      • 【2】海洋生物多様性の観察方法は、従来のサンプルベースの方法ではなく、遠隔操作技術を利用する方法への移行がますます進んでおり、研究者達は膨大な数の画像や動画を分析/識別する必要があるが、英国立海洋学研究所(NOC)を始めとする複数の研究機関から成る研究チームは、生物多様性のデータ収集を向上させるため、画像ベースの生物種特定方法に向けた新たな独自のガイドラインを作成した。筆頭研究者によると、画像に基づく生物多様性の研究はより一般的になっているが、種の同定における確実性のレベルには常に限界があり、特にほとんどの生物があまり知られておらず、新種に出会うことがまれな深海調査においては特に重要で、オープンな分類学的命名法を使用するための明確なルールを開発することにより、生物多様性データの明確性・精度・比較可能性が向上するとコメントしている。この新たなガイドラインは、海洋生物種の同定において、分類学的命名法と画像分析を融合させたものとしては史上初のものである。標準化された手順によって識別情報をより理解・共有しやすくすること可能で、他の研究者/環境管理者/政策立案者にも利用しやすくなる。またこのガイドラインは各識別レベルで使用される用語を決定するのに役立つ簡単なフローチャートを提供すると共に、オンラインデータベースへの入力や、特定の地域における動物相のカタログを作成する際に推奨される用語の使用例を提示している。
      • 原文 March 1, 2021 国立海洋学研究所(植木エミリ)
    • 【3】 英国港湾協会が政府に対して陸上電源インフラへの支援を要請
      • 【3】英国港湾協会(BPA)は新たな報告書のなかで、陸上電源のインフラに政府が投資することによりCO2排出量と大気汚染を大幅に削減できる可能性があると指摘している。これによると、陸上電源のプロジェクトは投資回収期間が長く、投資収益率(ROI)も不確実であることや、複雑な規制構造に加えて地域の電力量の不足によって制約を受けることもよくあるなど困難を伴い費用も嵩むため、何らかの形で政府が支援を行わない限り前進することはほぼない。一方で、環境へのメリットは非常に明確で、健康に有害なNOxや粒子状物質などの大気汚染物質を削減するのに効果的であり、また、英国は洋上風力発電の容量を急速に拡大しており、電力が持続可能な供給源であると仮定した場合、船舶の脱炭素化にもつながる。報告書は、英国政府が間もなく発表する輸送脱炭素化計画(Transport Decarbonization Plan)で陸上電源に対処すれば、これらのメリットを実現できると主張しており、必要な政策として、陸上電源のプロジェクトを支援するための投資ファンドを2025年までに設立すること、非課税の舶用ディーゼル燃料と競争できるように陸上電源の税率を引き下げること、港内の船舶に対する排出規制の基準を設定することを公約すること、送電網の計画や規制の変更を通じて、港の電化とスマートグリッドを可能にすることを挙げている。
      • 原文 March 2, 2021 The Maritime Executive (若林健一)
    • 【4】世界の貨物輸送の渋滞は2022年まで続く見込み
      • 【4】世界の道路/海路/空路における貨物輸送の渋滞は2022年まで続く可能性があり、輸送コストは今後も増やし続けると予想されている。米の大手貨物ブローカー企業C.H. Robinson Worldwide Inc.のCEOは、国内の貨物市場は著しく混乱しており、世界の空輸・海運市場は多大な制約を抱え、2021年中に強力な貨物市場を立ち上げる可能性があるとコメントした。これが実現すれば、トラック運送業者・空輸会社・海運会社には思わぬ利益となり、小売業者・製造業者や商品を得るために対価を支払う全ての人々は困窮すると見込まれている。長距離トラック輸送のスポットレートは昨年から35%跳ね上がっており、航空貨物の輸送費は昨年からほぼ倍増している。最も輸送費が上昇しているのは海運で、調査会社Drewryによると、香港からLAまでの40フィートコンテナの輸送費は約4倍になっているという。パンデミックによる外出禁止によって、人々が映画館や外食の代わりに小麦粉や運動マシンを求めるようになったことから物流の逼迫は深刻化し、政府による救済のあった国では、失業手当の充実によってトラックや運転手が不足し、サプライチェーンのボトルネックの原因となった。また海上輸送は需要が限界状態に達し、米国で最も忙しいロサンゼルス港では、通常時の最大キャパシティを超えてフル稼働している。
      • 原文 March 2, 2021 gCaptain(植木エミリ)
    • 【5】 艦船の派遣を計画する独に対し中国が南シナ海での主権の尊重を求める
      • 【5】独はインド太平洋政策の一環として、今年8月に2002年以来初めて艦船を南シナ海に派遣することを計画している。これに対して中国外務省報道官は3月3日、いかなる国も南シナ海における航行と飛行の自由を享受しているが、これを沿岸国の主権や安全を脅かすための言い訳として使用してはならないと述べけん制している。南シナ海では米国が海軍や空軍を頻繁に配備し、2月には仏の原子力潜水艦と支援艦が巡回活動を行うなど、中国は米国や欧州諸国からの圧力の高まりに直面している。独の政府高官を情報源とするロイターの報告によると、独の艦船は8月にアジアに向けて出港し、帰路で南シナ海を横断する予定であるが、いずれの陸域からも12海里以内を航行する予定はないとしている。専門家からは、独の艦船派遣は、独がこの地域への関与を高めるための重要なステップになるといった意見や、伝統的に軍事力の使用に慎重な独が今回派遣を決定した背景には米国やNATOとの連携を強化したい考えがあるという見解も聞かれる。一方で、今回の独の計画は中国に圧力をかけるための米国と共同した取組みではなく、独の外交及び軍事戦略の独立性が反映されているといった見解や、艦船を陸域から12海里離れて航行させるという独の決定には中国を過度に刺激したくないという意図が見え、これは独首相の対立を支持しないという方針と一致するとの見解もある。
      • 原文 March 3, 2021 South China Morning Post (若林健一)
    • 【6】UNEP FIがブルーファイナンスに関する新たなガイダンスを発表
      • 【6】国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)は、海洋分野の未来を持続可能なものにするために策を講じる金融機関を支援するものとして、ブルーファイナンスに関する新たなガイダンス「Turning the Tide:持続可能な海洋復興のための資金調達方法」を発表した。当ガイダンスは、水産物/海運/港湾/海洋再生可能エネルギー/沿岸観光という5つの主要な分野における、銀行・保険会社・投資家のための実用的なツールキットであり、どのような顧客活動をベストプラクティスとすべきか、どのような活動に挑戦すべきか、どのような活動が環境被害を及ぼすため避けるべきであるかといった詳細な内訳と共にロードマップを提供している。UNEP FIによると、当該ガイドラインには50以上の先進的な機関や専門家の意見に基づいたベストプラクティスを活用しており、欧州委員会によって資金提供を受け、2017年に欧州委員会と世界自然保護基金・Prince of Wales国際持続可能ユニット・欧州投資銀行と共同で策定した持続可能なブルーエコノミーへの資金調達のための要である「持続可能なブルーエコノミー金融原則(Sustainable Blue Economy Finance Principles)」に基づいて構築された。UNEP FIは今年2月にも、金融機関の影響力を、海洋の繁栄を再建し、生物多様性の回復および健全な海洋を再生するための活動にシフトさせるための入り口を提供するものとしてRising Tide Reportを発表している。
      • 原文 March 2, 2021 欧州委員会(植木エミリ)
    • 【7】 政府が医療・介護従事者へのワクチン接種の義務化を検討
      • 【7】英国政府は患者などを新型コロナウィルスの感染から守ることを目的に、国民保健サービス(NHS)の職員など医療や介護に従事する人へのワクチン接種を義務付けることを検討しているが、道徳的および法的な観点から疑義が生じている。関係者からは、職員へのワクチン接種を強く促す運動を行ったうえで、最終的な手段として接種を受けない職員を現場第一線から遠ざけて異なる役職に就かせるといった方法をとるべきであり、ワクチン接種を強制すべきでないとの声が上がっている。しかし、既にワクチン接種を採用の条件とする施設や、職員にワクチン接種を受けることを求め従わない場合には勤務のシフトに含めないとする施設なども出てきており、職員に対してワクチン接種を求める周囲からの圧力が強まっているとの声も聞かれ、賛否両論が起こっている。
        ※3/2の英国の感染者数:6,391人(日本699人の9.1倍)
        ※3/2の英国の死者数:343人(日本人45の7.6倍)
      • 原文 March 3, 2021, The Guardian (若林健一)
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