2021/02/24LROニュース(7)

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  • 2021.02.25 UP
    2021/02/24LROニュース(7)
    • 【1】露がスーダンの紅海沿岸に新たな軍事基地の建設を計画
      • 【1】露とスーダンとの新たな協定案によると、露は自国の艦隊への補給を実施するためにスーダウンの紅海沿岸に海軍基地を建設し、保守や補給、乗組員の休息のために後方支援センターを設置することを計画している。計画ではスーダンは露に25年間無償で土地を提供し、さらに10年間の更新が可能であり、露は地方当局による貨物検査なしに、スーダンの空港や港から基地を運営するために必要な武器や物資を輸入することが認められる。露国営のTASS通信社は、この新たな基地の建設により、露海軍によるインド洋での活動がより容易になると伝えている。また露は、この基地に最新の地対空ミサイルシステムを配備して飛行禁止区域を設定することが予想される。露はシリアのタルトゥース港に同様の施設を有し、すでに航空基地を維持している。過去20年間、露はスーダンにとって最大の武器や装備の供給国であり、この間に約10億米ドル相当の武器が提供されたと見られ、さらに露軍はスーダン軍の訓練の支援も行っている。また、プーチン大統領に近い実業家が所有する民間軍事企業がスーダン国内で金鉱床の警備を実施している。2019年に両国は軍事協力に関する協定とスーダンにおける露軍の常駐を認める協定に署名した。露はクリミア半島の占領により課せられた経済制裁により、シリアなど同盟国との経済的連携を強める動きに出ており、国連に54カ国が加盟し、豊富な天然資源を有し、軍事品の潜在的な市場であるアフリカへの関心を高めており、本件はNATOや米国に対抗するための手段として、中東・北アフリカ地域において権限の主張を強める露の動きであると理解すべきである。
      • 原文 February 23, 2021 Dryad Global (若林健一) 
    • 【2】アンモニア燃料船プロジェクトに新たな2団体が参画
      • 【2】マレーシアの海運企業MISC Berhad・韓国の造船会社Samsung重工業(SHI)・独のエンジン製造会社MAN Energy SolutionsとLloyd’s Registerが2020年1月に発足したアンモニアを燃料とするタンカーの共同開発計画(JDP)について、先日開催された船舶燃料としてのアンモニアに関するウェビナーの中で、新たなパートナーとしてシンガポール海事港湾庁(MPA)とノルウェーの肥料製造会社Yara International ASAが加わり、正式名称もThe Caster Initiativeとなることが発表された。LRは、Yaraは海事産業の脱炭素化を促進するためMISC/LR/SHI/MANと共にアンモニア燃料船の開発に取り組み、MPAはバンカーハブや旗国としての経験を活用して安全性やアンモニアのバンカリング手順に関する知見を集め、2つの組織の参画によって、海事産業のあらゆる分野からの知見が結集し、各パートナーの経験や専門知識は、構想から実現に至るまで、当該イニシアティブの成功の核になるとしている。JDPはこれまでに、2020年9月にLRがSHIにアンモニアタンカーの設計に原則承認(Approval in Principle)を与えており、SHIはその後船舶の詳細な設計同様関連する燃料ガス供給システムの開発を進め、2025年までに実用化することを目指している。
      • 原文 February 23, 2021 Lloyd’s Register(植木エミリ)
    • 【3】米国などが南シナ海における中国の動きに圧力を強める
      • 【3】新たに発足した米国のバイデン政権は、南シナ海の南沙諸島や西沙諸島周辺において駆逐艦による航行の自由作戦(FONOP)を実施し、2つの空母打撃群による合同訓練を実施するなど、中国による南シナ海に関する主張への対抗姿勢を強めている。また、米国務省は中国が最近可決した中国海警法を非難し深い懸念を示した。米国は中国による動きを、第二次世界大戦後に米国の統率により築かれたグローバル・ガバナンスへの直接的な攻撃と捉え、中国を最大の脅威であると位置づけており、バイデン政権は前政権による中国に対する積極的な対抗姿勢を概ね継承している。中国による主張が地域の安全に及ぼす影響を懸念して、他の主要な米国の同盟国も南シナ海などへ艦船を派遣する動きに出ている。今月初めには仏が攻撃型原子力潜水艦を南シナ海に派遣したことを明らかにし、英国や独も今後数カ月のうちに中国に隣接する海域で大規模な演習を実施する予定を明らかにしている。また、これとは別に、加海軍の艦船も、米・豪・日との合同演習に向かう途中で台湾海峡を航行している。豪戦略政策研究所(ASPI)所長は最近、中国海警法の成立により中国は海警局に対して海上における「戦狼」になり中国の利益を主張するために致命的な武力も含めその力を行使することを求めていると述べて警告を発しており、同法成立後には中国海警局の船舶が東シナ海の尖閣諸島周辺の海域に侵入しており、日本政府は中国の動きに対し国際法に違反すると述べ、尖閣諸島は日本固有の領土であると説明している。
      • 原文 February 23, 2021 ASIA TIMES (若林健一) 
    • 【4】東地中海の油濁汚染でイスラエルの海岸に大量のタールが漂着
      • 【4】東地中海沖で発生した油濁汚染の影響で、イスラエルでは高波によって全長195kmに及ぶ海岸線ほぼ全体に1000トン近い黒い球体状のタールの塊が打ち上げられると共に、黒いスラッジにまみれたウミガメの子供や魚が発見され、有毒ガスを吸い込んだ市民ボランティアが入院するなど深刻な被害が出ている。同国の環境保護大臣は2月21日、海岸の清掃作業には多額の費用を要し、汚染の責任がある船の保険会社との訴訟も検討していると発表した。油を流出させた船はまだ特定されておらず、調査団は衛星画像などを使用して選択肢を絞っていくつかの疑わしい船の調査を行っている。19日に南イスラエルの海岸に漂着し、大きな手掛かりになるのではないかと期待されたたナガスクジラは、解剖の結果油性の液体が見つかり、確実に関係しているとは言えないものの、クジラの死亡時期の分析によって油の流出時期が特定できる可能性があるとしている。しかし同国の裁判官は22日、該当船舶を特定する可能性のある調査の詳細な情報について箝口令を敷いており、既に船を把握しているにも関わらず、外交や企業間のセンシティブな理由によって公表を差し控えている可能性もある。またイスラエルの北に位置するレバノンの首相は、流出した油が同国南部の海岸にまで達していると報告しており、絶滅危惧種のアカウミガメやアオウミガメの巣があるタイレ市近郊の自然保護区の海岸で油性の残留物が発見されている。
      • 原文 February 22, 2021 The Guardian(植木エミリ)
    • 【5】遠隔操作で運航可能なタグボートの開発プロジェクトが始動
      • 【5】タグボートを運航するSvitzer社はKongsberg Maritime社と米国船級協会(ABS)と契約を締結し、世界初の完全な遠隔操作により運航できるタグボートの共同開発を目指す。Recotugプロジェクトと名付けられたこのプロジェクトは、すべての操作を遠隔で行い完全な曳航作業が実施できるタグボートを開発し、Svitzer社がデンマークのコペンハーゲンにおいて商業ベースで運航できるようにすることを目的とし、今後数年間をかけて進められる予定。Svitzer社のCOOは、完全に無人で遠隔操作が可能なタグボートの運航を商業ベースで実現するにはまだ数年かかるが、高度な自律運航技術の開発が海事業界全体で急速に進んでいることは間違いないと述べた。また同氏は、プロジェクトは1隻のタグボートから初めて、その技術を最大限に活用して安全性と効率性を改善し、将来的に信頼性や費用対効果が高いサービスを求める顧客のニーズを満たす方法探りたいとしている。このプロジェクトでは、Svitzer社が必要な運航経験、新造のタグボートと乗組員やタグ特有の技術的な問題に対する解決策を提供し、Kongsberg Maritime社は遠隔操作システムと自律運航技術を提供し、システムと技術の統合を主導する。さらにABSは、規制当局の承認を得るために必要なガイダンスや専門知識を提供する。
      • 原文 February 24, 2021 Seatrade Maritime News (若林健一)
    • 【6】世界各地で船上での食中毒事例が報告される
      • 【6】2月に入ってから、それぞれ異なる場所で運航中の3隻の船から船員間での食中毒事例が報告され、これまで少なくとも2人が死亡している。原因は偶然か、ノロウイルスの可能性があると見られているが、食中毒で死に至るのは稀である。最初の事例は2月初旬に発生し、豪からスリランカに向け航海していたタイのばら積み船は航路を変更してモルディブに医療支援を要請した。船は9日にマーレに到着し、18人の船員のうち13人の船員が病院に搬送されて食中毒であると判明したが、乗船していたコックはモルディブ滞在中に死亡した。当該船舶は船員を交代して11日に出航し、当局は原因の究明調査を続けている。同時期にカナダに到着したシンガポール船籍のばら積み船も医療支援を要請し、カナダの保健当局によると17人の船員が胃腸障害で治療を受けているとのことだが、原因は解明されていない。最新の事例は19日、トルコに向けて航海していたパナマ船籍の小型貨物船が5人の船員が体調不良であるとして医療支援を要請し、そのうちの1人が死亡した。ロシア海上運河庁はのちの報告で、こうした体調不良の原因は化学物質の漏洩や貨物の燻蒸を除くと食中毒であると疑っており、アルコール中毒の可能性もあるとしている。また本件では2人の船員は体調不良でなかったと報じられており、当局は体調不良になった船員とそうでない船員の行動について調査している。
      • 原文 February 23, 2021 Maritime Executive(植木エミリ)
    • 【7】英国首相:7月末までに国内すべての成人がワクチンを接種できると明言
      • 【7】英国では昨年12月に新型コロナウィルスのワクチン接種が開始され、これまでに1,700万人以上が接種を受けているが、ジョンソン首相は、英国のすべての成人が7月末までに1回目の新型コロナウィルスのワクチン接種を受けることができると述べた。また、首相はワクチンの接種をさらに加速させ、ウィルスに脆弱な人々をより早期に保護し、ロックダウンによる規制の緩和を後押したい考えを示した。ウィルスに対して脆弱とされる人々へのワクチンの迅速な接種は、死者数を減らし、国民保健サービス(NHS)への負担を緩和するために重要であり、NHSイングランドの最高責任者は、ワクチン接種が入院患者数の減少に寄与していることを示す初期の兆候が見られたと述べている。政府は当初、9月までにすべての成人に1回目の接種を実施することを目標としていた。

        ※2/23の英国の感染者数:8,489人(日本741人の11倍)
        ※2/23の英国の死者数:548人(日本人55の10倍)"
      • 原文 February 21, 2021, BBC (若林健一)
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