2021/02/04LROニュース(7)

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  • 2021.02.05 UP
    2021/02/04LROニュース(7)
    • 【1】露が北極海での大陸棚の延長申請を検討か
      • 【1】昨年8月から10月にかけて、露は大型原子力砕氷船50 Let Pobedyと最新のマルチビーム音響測深装置を搭載した調査船Akademik Fedorovの2隻を北極点、グリーンランド及びカナダの間の北極海に派遣して、海底地形に関するデータの収集を行った。調査の主な目的は、露から北極点を通りグリーンランドやカナダに向かって伸びるロモノソフ海嶺で、同海嶺は平たんな海底から3700メートルもの高さまでせり上がっており、海底下に眠る天然資源に関する権利の決定を左右する性質を持っている露の調査目的は、国連の大陸棚限界委員会(CLCS)に大陸棚の延長申請を提出するために必要な海底地形に関する新たなデータの収集であると思われ、仮に申請が認められれば北極点付近からカナダやグリーンランドの沿岸から200海里を示す境界線までの海底に関する権利を露が勝ち取ることになる。露は数カ月後にはCLCSに延長申請を提出すべく準備を進めているとの情報もある。
      • 原文 February 1, 2021, HIGH NORTH NEWS (若林健一)
    • 【2】 パナマ運河のLNG輸送船の通航量と総トン数が最高記録に
      • 【2】パナマ運河庁の発表によると、1月のLNG輸送船の通航量は合計58隻、LNG輸送量は674万トンとどちらも過去最高記録に達し、アジアからの強いLNG需要がこの記録を牽引したが、同時にパナマ運河の渋滞も助長される結果となった。2020年末にはアジアでの需要増加とパナマ運河の渋滞がLNGの供給を制限したが、一部の専門家は、このパナマ運河の渋滞こそがLNG価格の記録的な高騰をもたらした主な要因の一つであると指摘している。パナマ運河庁は通行待ち期間が最大2週間になったことを受けて、LNG輸送船の待ち時間を減らすため、1月に通航スロットの事前予約制度に新たな枠を設けると共に、通航の96時間以内であれば、オークションでネオパナマックス船が通航スロットを取得できるようにした。これまでに25のオークションが実施されたが、そのうち9件はLNG輸送船が落札し、1月25日にはLNG輸送船が1日で3隻、1月31日には4隻が運河を通過した。こうした措置が功を奏し、一部の船の待ち時間は一週間に短縮したが、調査会社Energy Aspectsによると、12月に米国を出発したLNG輸送船の1/3が時間のかかる喜望峰航路を選択しており、専門家は代替策としてスエズ運河を選択するという選択肢を示唆しつつも、この渋滞は春先まで緩和されないと予想している。
      • 原文 February, 3, 2021 The Maritime Executive(植木エミリ)
    • 【3】 中国が炭素に関する排出権取引制度を導入
      • 【3】2060年までに脱炭素経済の実現を目指す中国は、温室効果ガス(GHG)排出削減を推進する取組みとして、2月1日に炭素に関する排出権取引制度(ETS)を導入した。ETSの対象となるのは全国2200社以上の電力会社で、年間のGHGの総排出量は2万6千トンを超え、EUを凌ぎ世界最大規模のETSになると予想されている。各省政府が各社に対して排出量の上限を課し、各社はカーボンフットプリント(CFP)の少ない他社から排出権を購入することができる。一方で、電力の約60%を石炭に頼っている中国は現在も石炭の生産量を拡大しており、また当初ETSの対象に含める計画であった他の7つの産業も対象から削られた。さらに排出量の上限を超えた場合の罰則も不十分で、排出抑制の効果が期待できなと指摘する声も聞かれる。
      • 原文 February 1, 2021, Euractiv (若林健一) 
    • 【4】 海洋プラスチックごみを回収して燃料に変えるヨットが開発される
      • 【4】フランスの海洋冒険家で、環境NGO・Sea Cleanersの創設者でもあるYvan Bourgnon氏は、元競艇選手として世界中のヨットレースに出場してきたなかで、年々海洋を浮遊するプラスチックごみに出くわす頻度が増してきたことをきっかけに、海洋プラスチックごみを回収して動力源とするヨット・Mantaを設計した。全長56mのMantaは、高性能の帆と電気モーターによって駆動する双胴船で、現在のところはまだ設計段階であるが、2024年には販売可能な実用的なプロトタイプにすることを目指している。ヨットが水の中を移動することによって、コンベヤーベルトが浮遊するごみをすくい上げ、分類してバーナーに送り込む。バーナーがプラスチックを溶かすと、発生するガスがタービンを駆動させ、ヨットの機関が利用可能な電気を発電する。同氏によると、プラスチックごみが発電した電気とMantaの甲板に搭載された太陽光パネルや風力タービンと併せて、必要なエネルギーの70%を自給することが可能であるという。氏は、もし400艘のボートが製造されれば、海洋プラスチックごみの1/3が除去されるとしている一方で、海洋プラスチックごみは控えめに見積もっても、2060年までに今の3倍に増えると推定している。
      • 原文 February 1, 2021 gCaptain(植木エミリ)
    • 【5】BIMCOが民間警備会社の護衛船利用に関する標準契約様式を準備
      • 【5】ギニア湾では海賊事件が継続的に発生している一方で、沿岸国に入港する場合には地域の法令や慣例によって外国の武装警備員を乗船させることが困難であり、入港地の武装警備員すら乗船させることを禁止する国もあることから、民間海上警備会社(PMSC)が地域の法令や慣例を遵守するために地元の海軍と協力して護衛船舶(SEV)によるサービスを提供している。一般的に、護衛船舶は地元の海軍の部隊を乗船させる必要があり、時折PMSCの連絡要員も帯同する。船主がPMSCの SEVによるサービスの提供を受けようとする場合、現在は標準的な契約様式が存在しないことから、両者が契約をより簡単に素早く締結できるよう、ボルチック国際海運協議会(BIMCO)はPMSCの代表者やギニア湾で船舶を運航する船主、PI保険、法律の専門家などを集め、すべての関係者の利益を公平に反映した契約様式の作成を目指す。このプロジェクトは2月下旬から3月上旬に開始し、契約条項の案を作成した段階で意見公募の手続きを行う予定。
      • 原文 February 3, 2021, BIMCO (若林健一)
    • 【6】 印:船舶リサイクル能力を2024年までに倍増させる狙い
      • 【6】インドの財務大臣は、国会での2021-2022年予算の発表にあたって、同国の船舶リサイクル能力を2024年までに倍増させ、欧州や日本からより多くの船を運び込み、約150万人の雇用につなげたい意向を示したことを地元のメディアが報じた。同国は2019年に船舶リサイクル法を制定し、同年に香港国際条約に加盟したが、財務大臣は、法律が制定されてから、同国グジャラード州の約90の船舶リサイクル施設が香港条約に準拠した証明書を取得していると述べ、現在のところ同国は世界の船舶リサイクル事業の30%を占めているが、今後少なくとも50%を占めることを目指しているとも付け加えた。しかし、日本や欧州・米国といった国々は、同国が国際条約へ批准していなかったため、これまでリサイクルのため同国へ船舶を送ってこなかった。Shipbreaking Platformの最新の報告書では、2020年はインド・パイスタン・バングラデシュの3か国で世界の約9割の船舶が解体されたとしている。世界全体で53000隻の商業船のうち、毎年1000隻がリサイクルされており、財務大臣は、解体のためインドへ運ばれる船が増えれば、船舶リサイクル事業によってGDPが現在の130億ドル(約1.3兆円)から220億ドル(約2.3兆円)に拡大するとしている。
      • 原文 February 3, 2021 Safety4Sea(植木エミリ)
    • 【7】40日以内で変異種に有効なワクチンの開発が可能
      • 【7】英国のワクチン担当相は議会で、仮に現在供給されているすべての新型コロナウィルスのワクチンが効かない変異種が出現するという最悪のシナリオに対して政府や科学者はどのように対応すうのかと問われ、仮に本当に危険な変異種が出現した場合でも30日から40日もあれば効果を発揮するワクチンを開発することは可能であると答えた。また、同氏は懸念すべき変異種は既に英国のほか米国、南アフリカ、ブラジルでも発見されており、現時点で約4,000種の変異種が地球上に存在しているとも述べ、直ちに対応が出来るようにすべての変異種の情報を維持していくと答えた。

        ※2/3の英国の感染者数:19,202人(日本2,331人の8.2倍)
        ※2/3の英国の死者数:1,322人(日本118人の11倍)
      • 原文 February 4, 2021, The Guardian (若林健一)
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