2021/01/14LROニュース(7)

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  • 2021.01.15 UP
    2021/01/14LROニュース(7)
    • 【1】 南シナ海で米中の「グレーゾーン」の争いが激化する可能性
      • 【1】軍事的対応に至る手前の所謂「グレーゾーン」における活動を米中両国が強化する中、米国沿岸警備隊(USCG)は、米海軍及び海兵隊と共同で次の10年間の海洋戦略「Advantage at Sea」を昨年12月に発表し、南シナ海でプレゼンスを高める中国に対抗するため、海上におけるすべての戦力の統合と同盟関係の強化を図るとしている。同戦略は機動的で最終手段に至らない方法としてUSCGの活用を意図しており、より効果的に中国の活動を抑止することが可能になると専門家は分析している。USCGは海軍や海兵隊と異なり平時は国土安全保障省に属することから、米中対立のはざまで立場を鮮明にすることに躊躇してきた東南アジアの国々にとっても、行動を共にする場合にさほど敏感にならずに済む。米国は南シナ海での活動に正当性を与えるため、沿岸国当局の職員が法執行を目的にUSCGの船艇や航空機に同乗して巡視活動を実施することを可能とする乗船協定(shiprider agreement)の締結を進めており、違法な漁業活動の取締りを目的に2010年以降11の太平洋島嶼国と乗船協定を締結している。一方でグレーゾーンの争いは明確な規則が存在しない場合は軍事衝突のリスクを高めるとの指摘もあり、不測の事態を回避するための規範の策定を求める声もあるが、具体的な進展はない。
      • 原文 January 9, 2021, South China Morning Post (若林健一)
    • 【2】 米国運輸省海事局がギニア湾の海賊・武装強盗に関する勧告を更新
      • 【2】米国運輸省海事局はギニア湾における海賊・武装強盗事件に関する勧告を更新したが、その概要は以下の通り。①米海軍情報部(the Office of Naval Intelligence)が公表しているWebサイト「Shipping Threat Reports」によると、2020年のギニア湾における海賊・武装強盗事件の年間報告件数は12月22日時点で97件に達したが、これは前年比で24%の減少であり誘拐や乗っ取り事件の報告も16%減少した。②窃盗目的での侵入事案が最も多いが、乗っ取りや誘拐が絡む事件が全体の約3分の1を占めている。③全体の約51%がナイジェリア沖で発生しているが前年の71%と比較すると減少しており、賊がより遠方で犯行に及ぶようになったことを表している。④誘拐事件は27件、誘拐事件と乗っ取り事件が同事案で発生したものが3件、乗っ取り事件が2件発生している。⑤海賊・武装強盗事件はギニア湾に面する9カ国の沖合で様々な船種を標的に発生しており、賊は母船を使用して200海里もの沖合で活動しており、襲撃の際に銃器の発砲を伴うケースも珍しくはない。⑥誘拐事件に関しては、船長などを含め一度に2~6名の船員が誘拐される傾向にあり、過去数年間で見ると一度に10名以上の船員が誘拐された事件も数件発生している。誘拐された船員は通常身代金を目的にナイジェリアのデルタ地帯に連行される。⑦ギニア湾を航行する船舶はMDAT-GoGやNATO Shipping Centreのウェブサイトを確認して同海域での脅威や具体的な助言に関する情報を収集すべし。また、自船で定めたセキュリティ計画に従い、ベストプラクティス集も参考になる。
      • 原文 January 9, 2021, 米国運輸省海事局 (若林健一)
    • 【3】 マースクとThe Ocean Cleanupがパートナーシップを延長
      • 【3】世界の海洋からプラスチックごみを一掃することを目指しているオランダの環境NGO・The Ocean Cleanup(OC)は、2040年までに海洋に浮遊するプラスチックごみの90%を削減することを目指している。マースクは2018年から、OCの船舶運航及び洋上計画の管理を支援するパートナーシップを結んでいるが、この度契約を更に3年間延長し、新たに物流面で包括的な支援を行うことを決定した。また取り組みの一環として、同社は海洋を浮遊するプラスチックごみを地図化するための科学センサー技術を自社の船団にも搭載し、最終的に海洋を漂う有害なプラスチックが集中している場所を地図化し、OCがより活動に専念できるよう支援する。OCは2018年に最初の海洋プラスチックごみ回収装置・System001を用いて、世界最大の海洋プラスチックごみの集積地である太平洋ごみベルトでのミッションを行い、現在は回収したプラスチックの重量に耐え、長時間活動することが可能な後継機の開発に取り組んでおり、2020年12月にはマースクと共に北海沖で試運転を行った。
      • 原文 January 13, 2021, Offshore Energy(植木エミリ)
    • 【4】 アジアを襲った寒波の影響でLNG輸送費が過去最高に
      • 【4】LNGの輸入業者が在庫の縮小とタンカー不足への対処を迫られている中、今冬アジア・欧州全体を襲った大寒波によって電力需要がひっ迫し、LNGをはじめとするガス燃料の価格が高騰しているが、1月12日には米国からアジアへのLNG輸送費が過去最高を記録した。加えて、中国がオーストラリアからの石炭の輸入を禁止したことによって、中国の輸入業者によるアジア向けのLNG輸送船の需要に拍車がかかり、同国ではこうした需要を満たすため、新造のLNGタンカーが就航している。一方LNGの主要な生産国である米国は、パナマ運河経由でアジアへのLNG輸送を行っているが、パナマ運河ではかねてより米国産LNGを積載したタンカーによる渋滞が発生しており、天候の乱れや予想以上のLNG輸送量の増加、同じく運河を通行しようとしていたLPG輸送船による混雑で更に悪化し、現在7日から10日以上の通行待ち期間が発生している。
      • 原文 January 13, 2021 Saferty4Sea(植木エミリ)
    • 【5】 豪産石炭を積載したインド籍貨物船が船員交代実施のため中国の港を離れる
      • 【5】豪中間の外交関係が悪化する中、豪産の石炭を搭載し昨年6月に中国の京唐港に到着したインド船籍のばら積貨物船Jag Anandは、着岸を認められず、また、中国の港湾当局がコロナ対策を理由に船員の交代を規制していることから、乗船しているインド人船員23名の交代もできないまま沖合で待機が続いていたが、同船を所有するGreat Eastern Shippingは、船員交代を行うため同船が同港を離れ千葉港に向かうことになったと発表した。同社は、同船の積荷に関しては用船者から指示を待っている状況だが、現在乗船している船員を家に帰すことを最優先事項とし、これに必要なすべての許可を得ることが出来たと説明している。今回Jag Anandが中国の港を離れることが出来た一方で、京唐港の沖では少なくとも21隻のばら積貨物船が約400名の船員を乗せ、同様の理由により現在も待機を強いられており、この中には最近船員が自殺を図った船も含まれる。また、他の中国の港を含めると、同様の理由により待機を強いられている船舶の数は70隻に及び、これらの船舶に乗船する船員の数は約1200名とされている。
      • 原文 January 11, 2021, Seatrade Maritime News (若林健一)
    • 【6】NY州とEquinorが新たに2.5GW規模の洋上風力発電計画を実施
      • 【6】ニューヨーク州は2020年7月に、米国内の再生可能エネルギー契約の中でも最大級となる2.5GWの洋上風力発電計画を発表し、パートナー企業の公募を行っていたが、同州知事は1月14日、北欧のエネルギー企業・Equinorおよび戦略パートナーとしてBPを選出したことを発表した。当該計画では、最大89億ドル(約9243億円)の追加投資を行い、マサチューセッツ沖のBeacon Wind1で1,230MW、ロングアイランド沖に既に建設されているEmpire Wind1を拡大したEmpire Wind2で1,260MWの洋上風力発電を行うための開発を行う。契約の締結はNY州エネルギー研究開発局との売買契約を経て最終決定となるが、Equinor社は、既に同州と契約して816MW規模のEmpire Wind1の開発を進めているため、新たな契約により同社が供給する洋上風力発電量は3.3GWとなり、2035年までに9GWの洋上風力発電を行うという同州の目標の1/3を占めることとなった。また同社は取り組みの一環として、South Brooklyn Marine Terminalとアルバニー港を同州の洋上風力発電のハブとなる大規模な洋上風力発電産業施設への転換を行う。
      • 原文 January 13, 2021, Green Tech Media(植木エミリ)
    • 【7】 いまだイングランドの半数の地域で感染率が上昇
      • 【7】イングランドでは3度目となる全国的なロックダウンが先週発令されたが、英国公衆衛生庁が1月13日に発表したデータによると、イングランドの315地域のうち半数の159地域で感染率の減少が見られた一方で、約半数の154地域で感染率がいまだ上昇を続けており、2地域で変化が見られなかったことが分かった。このデータは各地域の1月9日までの1週間における人口10万人当たりの感染者数を表すもので、北西部のノウズリーでは前回の797人から1,399人に、リバプールでは前回の612人から1,048人に激増している。また、最も感染率が高いのは首都ロンドン東部のバーキング・アンド・ダゲナム地区で、前回の1,635人から若干減少したものの1,505人と依然として高い値で推移している。英国内の1日当たりの新規感染者数は若干減少傾向にあるが、1月13日には1日当たりの死者数が過去最多の1,564人に達しており、専門家は「医療機関にとっての最悪の状況はまだこれからだ」と述べている。

        ※1/13の英国の感染者数:47,525人(日本4,527人の10倍、緊急事態解除基準47人の1,011倍)
        ※1/13の英国の死者数:1,564人(日本51人の31倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 January 14, 2021, METRO (若林健一)
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