2020/12/24LROニュース(7)

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  • 2020.12.24 UP
    2020/12/24LROニュース(7)
    • 【1】 パンデミックによって船舶/船員の放棄が急増
      • 【1】船舶の放棄は物流・環境面での問題ばかりでなく遺棄された船員にも大きな苦痛を与えるが、放棄した船主が訴追されることはまれである。船主が船舶を保守管理する責任を放棄した船舶は、何年も港湾に放置され、燃料や廃棄物が漏れ、場合によっては、錨泊中に沈没する船舶まである。先進国においては、企業が倒産したとしても、労働者は保護され、必要に応じ政府も介入するが、外航海運の国際的な性格を悪用すれば、例えば、船主はA国籍で、B国で海運会社を設立し、船舶はC国籍で、海事労働条約を批准していないD国で船舶を放棄した場合、船主は法的責任を回避しやすい。IMO法務部の船舶放棄問題の専門家は、船舶放棄を行う船主はこうした法的管轄権の間隙をついて計画的に船舶放棄を行っていると解説する。国際労働機関(ILO)によれば、2020年入ってからこれまでに放棄された船員の数は1千人以上にのぼり、国際運輸労連によれば、放棄された船舶数も昨年の40隻から76隻に急増している。このほかにもこうした機関に報告されない事例も多く、国際運輸労連のアラブ諸国担当者によれば、今年に入ってから既に170件以上の船舶放棄事件に関与し、船員への未払い賃金は約600万ドル(約6.2億円)にのぼり、事件数は2019年比で約40%増加している。
      • 原文 December 18, 2020, American Journal of Transportation(長谷部正道)
    • 【2】 石炭火力発電所を太陽光発電等に転用することの経済的メリット
      • 【2】(論説)世界的なエネルギー転換の観点から、償却を終えた石炭火力発電所は閉鎖する必要があるが、解体コストや石炭火力発電所で働く労働者の失業問題等によって、閉鎖が一筋縄で受け入れられないことが多く、エネルギー経済・財政分析研究所(IEEFA)は、発電所を解体せずに太陽光発電等に再利用すれば、石炭火力発電の終了について多くの理解を得ることが可能であると提案している。具体的なメリットとしては、①プラントの一部を残せるので、完全に解体した際の環境的な復旧コストの一部を節約できるうえに、土地/発電機/変電所/送電系統の部分的な再利用によって解体コストを節約できる。②同一の場所に再生可能エネルギー発電施設を建設するコストを削減できる。③都市部や準都市部では、転用の用途は多岐に渡り、経済の多様化と産業の活性化に繋がって、雇用と地域経済を維持できる。④操業停止後無用の長物になっている発電所に対し、経済的な出口戦略を提供することができる。⑤ターボ発電機等の発電設備の転用により、再生可能エネルギーの増加に対応するために必要な電圧調整を行う交流電力の発電機能を維持することができる。
      • 原文 December 16, 2020, IEEFA(植木エミリ)
    • 【3】 米連邦準備理事会がGreen Financeを標榜する中央銀行の会に参加
      • 【3】米連邦準備理事会(Fed)は12月15日、「気候変動リスク等に係わる金融当局ネットワーク(Network of Central Banks and Supervisors for Greening the Financial System : NGFS)」への正式な参加を全会一致で決定したことを発表した。NGFSは、金融分野における環境や気候変動に関するリスクをどのように考慮すべきかを把握するため、各国の中央銀行間で意見交換/研究/ベストプラクティスの共有を支援することを目的に結成され、FRBは1年以上前から非公式に参加していた。FedのNGFSへの参加を巡っては、民主党が積極的であり、共和党が懐疑的であったため、Fedも参加決定を先送りにしていたが、今回の決断は、政治的な思惑に関わらず、頻度を増す異常気象によって、金融制度の安定に及ぼされるリスクが拡大していることを中央銀行が考慮し始める必要があるという認識の表れである。
      • 原文 December 15, 2020, The New York Times(植木エミリ)
    • 【4】 ナイジェリア沖でマースクのコンテナ船を海賊が襲撃・乗船
      • 【4】12月19日午後2時ごろ、ナイジェリアのボニー島の南西約118海里の海上を、ガーナのテーマからカメルーンのクリビに向け航行していたマークスのコンテナ船が、複数の海賊による襲撃を受けた。乗組員の安否に関する詳細については現在のところ確認できていない。ギニア湾では過去5週間で海賊事件の発生件数が増加しており、ギニア湾の高危険海域(HRA)のリスク評価は11月11日に海賊事件が毎日発生する可能性が高いことを示す「CRITICAL」に引き上げられており、付近を航行する船舶は最大限の警戒態勢を維持するとともに、ベストプラクティス集「BMP West Africa」に従った予防策を励行することが求められる。
      • 原文 December 19, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【5】 英国で17.3GWの過去最大の風力発電量を達成
      • 【5】英国では、4月に太陽光発電の発電量が9.6GWに達し、この結果、石炭火力による発電の必要がない期間が6月まで続くという記録を達成した。風力発電も、電力需要が対前年比で20%以上減少したことにより、8月には全体の電力消費量のうち過去最高となる約60%を占める記録を達成していたが、これに続いて、12月18日の午後には、全国的な強風によって英国内の総風力発電量が過去最大の17.3GWを達成した。発電量のシェアでも風力発電は40%以上を達成し、この日は石炭と天然ガスによる発電の割合は20%を切った。このような、再生可能エネルギーの発電量増加とロックダウンによるエネルギー需要の減少が相まって、3月には発電単位当たりのCO₂排出量が143g/KWhと月間としては最低記録を達成し、2020年全体で見ても発電単位当たりのCO₂排出量は過去最低の年となる見込みである。
      • 原文 December 19, 2020, The Guardian(植木エミリ)
    • 【6】 英国のGreen Ships計画の概要
      • 【6】英国の海運は、同国が2050年までに炭素中立を達成するためにカギを握る分野であり、IMOが2050年までに船舶から排出されるCO₂の半減を目指すのよりはるかに高い、2050年までのゼロエミッションを同国の目標に掲げている。しかし、海運分野は、船舶の償却期間が長く、長距離の外航海運に利用できる代替燃料が未だないという点において、他分野より脱炭素化が難しく、多額の投資が必要となる。先日同国政府が発表した脱炭素化達成のための10大政策の中では、海運については、2千万ポンド(約28億円)をClean Maritime Demonstration Programmeに投資し、ティーズサイドに水素燃料供給港を建設するとの計画が発表された。2019年に発表された「クリーン海事計画」では、多くのクリーン海事クラスターを建設し、英国の船舶登録制度が世界のクリーン海運を主導し、英国を世界のゼロエミッション海事部門の拠点とするなど、同国の海事産業の2035年と2050年までの野心的な目標が示されている。その他にも同国政府は、道路交通等においてバイオ燃料の使用の拡大を図るために導入されている「再生可能交通燃料義務」制度をどのように海運の分野に導入できるかなどを検討している。
      • 原文 December 17, 2020, Herbert Smith Freehills(長谷部正道)
    • 【7】 12月26日からイングランドのさらに多くの地域がロックダウンに
      • 【7】英保健相は12月23日記者会見を行い、コロナウィルスの変異種による感染が驚異的な速さで拡大しているとし、これまで実施してきた3段階の警戒レベルに応じた対策では、この変異種による感染拡大を抑えることはできないと述べた。また、南アフリカからの入国者2名が、これまでに確認されていた変異種とは異なる新たな変異種に感染していることが確認されたことから、過去14日間に南アフリカへの渡航歴がある人やその濃厚接触者に対して、直ちに隔離措置を実施することも明らかにした。政府はイングランド各地域の警戒レベルを12月30日に見直す予定としていたが、これを前倒して12月26日からサセックス州やノーフォーク州など南部や東部を中心にさらに多くの地域に、ロックダウンに相当する最高の警戒レベル(Tier4)を適用するとともに、その他の多くの地域においても警戒レベルの引上げを実施すると発表した。

        ※12/22の英国の感染者数:36,804人(日本1,804人の20倍、緊急事態解除基準47人の783倍)
        ※12/22の英国の死者数:691人(日本44人の16倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 December 23, 2020, BBC (若林健一)
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