2020/12/16LROニュース(7)

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  • 2020.12.16 UP
    2020/12/16LROニュース(7)
    • 【1】 2021年中にGreen/Blue 水素生産への投資が急増する見込み
      • Fitch Solutionsの主要事業データベースによれば、各国で排気規制が強化される中で、2021年中に商業規模の水素生産事業数が60件に達する見込み。このうち、58件は再生可能エネルギーによるGreen Hydrogen (GH)の生産事業だが、今まではGHの生産には大量の電力が必要で価格競争力が無かったが、再生可能電力のコストが急激に低下してきたため、GH生産に対する投資意欲が高まってきている。再生可能発電施設の急激な増加、西欧主要都市における化石燃料自動車の数年後の販売禁止、GHの生産に必要な電解槽の規模の拡大や電解槽の移動の簡便化によって、水素を原料として必要とする製造業のプラントのそばにGH生産に必要な電解槽を簡単に設置することが可能となり、GHの生産需要が高まっている。天然ガスを原料とし、炭素回収貯留技術を利用して、水素生産時に排出されるCO₂を回収するBlue Hydrogen (BH)は、再生可能エネルギーに依存する必要が無い一方で、製造プラントの建造費と運用費が高いうえに、安定した天然ガスの供給と回収したCO₂を貯蔵する場所が必要なので、GHプラントと比べて、建設可能な場所が地理的に限定される。しかし、原料費を含む総コストはBHの方が安いので、水素の市場規模が拡大し、ゼロ炭素燃料としてのGHの価格競争力がつくまでの暫定的な存在として低炭素燃料としてのBHが活用される見込み。
      • 原文 December 9, 2020, Offshore Energy Biz(長谷部正道)
    • 【2】 英国:国家インフラ戦略を発表
      • 11月25日発表された標記戦略中、第3章の気候変動対策にかかわる部分の概要は以下のとおり。①再生可能エネルギー発電を拡大するために、洋上風力発電施設・洋上風力発電をバックアップする港湾施設・風力発電タービン生産施設に対し大規模な投資を実施する。②大規模な原子力発電所の建設と新たな原子力発電技術の開発に最大で5.25億ポンド(約714億円)を投資する。③4つの工業地域において炭素回収貯留施設を建設するために10億ポンド(約1376億円)を投資する。④2030年にガソリンとディーゼルを燃料とする新車の販売を禁止するまでに、電気自動車の普及を図るため、充電施設を13億ポンド(約1788億円)かけて建設する。⑤暖房部門の脱炭素化を進めるため、ヒートポンプの普及を図るとともに、水素のような新たな技術開発を行う。⑥気候変動委員会の勧告に従い、英国国内で年間3万ヘクタールの植林を実施するため、イングランドに対して財政支援を実施する。⑦気候変動による高まる洪水や海岸の浸食による危険性に対する地域社会の抵抗力を強化し、33.6万件の不動産を保護し、2027年まで52億ポンド(約7155億円)を投資する。
      • 原文 November 25, 2020, 英国政府(長谷部正道)
    • 【3】 アラブ連合海軍が紅海で爆弾を積んだ2隻のフーシ派の無人船を破壊
      • アラブ連合海軍は12月10日に会見をこない、前日の9日午後に爆弾を積んだ2隻の無人船をイエメンのフダイダから出港させて紅海南部においてテロ行為を実行しようとしたフーシ派の計画を察知し、この2隻の無人船を破壊したことを発表した。また、アラブ連合海軍は、フーシ派は国際人道法やストックホルム合意に違反して、フダイダを機雷の設置や弾道ミサイルの発射基地、武装した無人機や爆弾を搭載したボートの拠点として使用していると指摘し、アラブ連合海軍は引き続きテロ活動に対してあらゆる手段を講じるとともに、地域的および国際的な安全保障に対して脅威を与えるフーシ派のこれらの能力を無力化し、破壊していくと警告した。
      • 原文 December 10, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【4】 Navis: 「自動化 2020: コンテナターミナルの自動化の見通し/課題/機会」
      • コンテナターミナル管理者に対する標記アンケート調査報告書の概要は以下のとおり。①回答者の94%は、競争力を維持するために、今後3-5年間のうちに、ターミナルの自動化が重要であると考えている。②回答者の78%は、既存/将来の荷役機械の自動化の計画があり、うち9社がAutomated Stacking Craneを、2社がAutomated Straddle Carrierを、1社が自動タイヤ式門型クレーンを既に運用していた。③一方で、荷役機械の自動化計画があっても、実際には実施に踏み切れないターミナル管理者が多いことが分かった。④回答者の32%は自動化によって荷役機器の運用コストを26-50%削減することが可能だと考え、28%の回答者は同コストを16-25%削減できると考えている一方で、回答者の67%は自動化のための最大の課題は莫大な設備投資コストであると回答している。⑤その他の課題としては、56%の回答者が労働組合問題を、42%の回答者が自動化を実施/管理するための技能や人材不足を挙げている。
      • 原文 December 10, 2020, World Cargo News(長谷部正道)
    • 【5】 なぜ再生可能エネルギーはこんなにも早く安くなったのか?
      • (論説)現在、石炭・石油・天然ガスといった化石燃料が世界のエネルギー生産の79%を占めているが、化石燃料の燃焼によって排出されるCO₂の量は、CO₂排出総量の87%を占めるうえに、化石燃料の燃焼による大気汚染によって全世界で年間360万人が亡くなっており、この死亡者数は殺人事件・戦争・テロ攻撃で亡くなる人数の総計の6倍にも上る。以上のことから、化石燃料から再生可能エネルギー/原子力への転換が、地球温暖化や人類の健康面での安全性から見ても必要なことが分かる。しかし、化石燃料からの転換を図るためには、コスト面でも再生可能燃料が優位となる必要がある。2009年から2019年の間で、太陽光パネルと陸上風力発電による発電コストは、発電所建設のコストと当該発電所の稼働期間中使用される燃料と運転コストを併せたLCOEベースで、それぞれ89%と70%急激に減少し、あらゆる化石燃料による発電コストと比較しても安くなった。化石燃料や原子力は、燃料コストと発電所の運営コストを負担しなくてはならないが、再生可能エネルギーの場合、燃料コストがかからず、運営コストも相対的に安いため、コストとしてはプラントの建設費と技術開発費だけで済むのが利点で、さらに太陽光パネルの場合、当初宇宙衛星の電源として開発されたために非常に高価だったが、規模の経済が働きやすく、生産量が増えると価格が低下し、用途が増えて、生産量が増えるという好循環が生まれやすいのもコストの急激な削減に寄与した。
      • 原文 December 4, 2020, 世界経済フォーラム(長谷部正道)
    • 【6】 パリ協定第6条に基づく排出権取引とGreen Carbon事業
      • パリ協定の中で最も議論があるのは、炭素排出権取引市場や途上国における森林などの天然のCO₂吸収源(Carbon Sinks: CS)の保全・開発支援に係る第6条の規定である。森林の他にも、マングローブ・塩性湿地・海草藻場などの海洋性CSをBlue Carbon (BC)と呼ぶが、全世界の151ヵ国でこうした天然のCSが存在し、これらの天然のCSを適切に保全できれば、英国の年間CO₂排出量を上回る年間0.5ギガトンのCO₂を大気中から回収することができる。例えば、ケニアには61271haのマングローブと31700haの海草藻場があり、同国の年間CO₂の排出量の11倍を超える最低でも7700万トンの炭素を回収貯留しているだけでなく、沿岸住民の日常食生活を支える多くの魚類をはぐくみ、美しい海岸は世界から観光客をひきつけている。ケニアには既に排出権取引制度を利用して、これらのBCの保全活動を支援する世界的な先導事例となる仕組みが存在しており、世界の企業は自社が排出するCO₂を相殺するために、様々なBC保全事業を選択することができる。
      • 原文 December 11, 2020, The Conversation(長谷部正道)
    • 【7】 クリスマス期間中の規制緩和の方針の見直しを求める声が高まる
      • イングランド南部でコロナウィルスの感染が急拡大している状況を受け、英国政府は12月16日からロンドンなどの警戒レベルを最高のTier3に引き上げ、規制を強化することを決定した。その一方で政府は、12月23日から27日までの5日間は家族が一緒にクリスマスを過ごせるように人の移動や集まりに関する規制を全国的に緩和することとしている。この政府の規制緩和の方針に対して、国内の主要な医学雑誌であるBritish Medical Journal とHealth Service Journalの2紙は異例の共同声明を発表し、政府は多くの犠牲を伴う大失敗を招こうとしており、規制を緩和すべきでなくむしろ強化するべきであると訴え、方針を変更しなければクリスマスの後に医療崩壊を招くことになると警告している。また、野党議員やロンドン市長からも政府に対して現在の感染拡大の状況を踏まえ方針の見直しを求める声が上がっている。

        ※12/14の英国の感染者数:20,263人(日本2,387人の8.5倍、緊急事態解除基準47人の431倍)
        ※12/14の英国の死者数:232人(日本23人10倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 December 15, 2020, Reuters (若林健一)
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