2020/11/30LROニュース(7)

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  • 2020.11.30 UP
    2020/11/30LROニュース(7)
    • 【1】 米国が精密誘導ミサイルや誘導爆弾を比に売却
      • 【1】米国家安全保障問題担当大統領補佐官は今週フィリピンを訪問し、精密誘導ミサイルや誘導爆弾を比に売却することを表明した。この武器売却は、今年4月に行われた米比両大統領による電話会談の中で米大統領が約1,800万ドルに及ぶ防衛分野での支援を約束したことによるものであり、表向きは比南部のミンダナオ島で活動する国際テロ組織への対応を目的としているが、実際は南シナ海で攻勢を強める中国をけん制することが目的であると考えられている。比は海軍や空軍の系統的で持続可能な近代化やミサイルシステムの開発などを通して「最小限の抑止力」の保持を目指している。中国の軍事力に対抗できる南シナ海の周辺国はほぼないが、中国が南シナ海で米国に対抗するために展開させているのと同等の接近阻止/領域拒否(A2/AD)能力を有することは可能である。今回の米国からのミサイル購入とは別に、比はインドと露が共同開発している超音速巡航ミサイルBrahMosも購入する予定であるほか、日本から哨戒機、レーダーシステム、多目的船を、また、韓国からコルベット艦や戦闘機を入手するなど、地域の他の協力国からの支援も受けている。
      • 原文 November 25, 2020, Asia Times(若林健一)
    • 【2】 サウジのAl Shuqaiq錨地で原油タンカーが海上簡易爆発物によって破損
      • 【2】11月23日紅海に面するサウジアラビアのAl Shuqaiq錨地で、マルタ籍の原油タンカーがイエメンの反政府武装勢力フーシ派が仕掛けたとみられる海上簡易爆発物(WBIED)に接触し、左舷側に亀裂が生じたとの報告があった。現時点で断定はできないものの、状況からみて本件は漂流中の機雷に接触したものではなく、意図的に攻撃を受けたものであると考えられる。本件のように船舶や港を標的としてWBIEDが仕掛けられる事例は比較的頻繁に報告されており、11月13日にはサウジアラビアのJizan港に仕掛けられたWBIEDをサウジ軍が発見し処理するという事案も発生している。また、10月3日にはイエメン南岸沖の石油施設で荷役中であったマルタ籍のタンカーが本件と同様に爆発物に触れ船体に損傷を受ける事案も発生している。一方で、紅海で発生している同種事案はほぼ全てサウジアラビア船籍の船舶かサウジアラビア南部の港に寄港する船舶を対象としており、現状では本件の発生が紅海を航行する船舶のリスク評価を根本的に変えるものではないと評価されている。
      • 原文 November 25, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【3】 ESPO: IMOに更なる野心的な取り組みを求める
      • 【3】欧州港湾協会(ESPO)がMEPC75の結果についてコメントを発表したところその概要は以下のとおり。①MEPC75における合意はあくまで第一歩であり、2050年までに海運からのGHG排出量を半減するというIMOの目標や、2050年までに炭素中立を達成するというEuropean Green Deal (EDG)の目標を達成するには、IMOでより高いレベルの合意が必要である。②IMOの目標も、2050年までの炭素中立の実現には不十分なため、2023年までにIMOが十分な成果を挙げられるかを注意深く監視・評価していくというEUの姿勢を支持し、MEPC76では、市場原理を活用したより野心的な政策が合意されることを期待する。③ESPOは国際港湾協会とともに、合意された措置の適用範囲/履行方法/削減率等が低い水準に留まっていることを遺憾とし、せめて合意内容の履行方法に関する今後の協議においては、合意された内容がしっかりと効率的に実施されることを担保する厳格な履行方法が合意されることを望む。④IMOのGHG戦略には改めて支持を表明するが、中長期的な政策に関する今後の議論においては、強固で強制力のある政策を通してより野心的な目標を設定し、国際的な市場原理に基づいた施策を提案すべきである。⑤2023年までにIMOにおいて十分野心的なCO₂削減策が具体化されない場合、EDGの目的に従い、大幅なGHG削減を可能にする地域的な手段が先行することを支持する。
      • 原文 November 23, 2020, ESPO(植木エミリ)
    • 【4】 G20: 再生可能エネルギーの増加によってエネルギー分野からのCO₂排出減少
      • 【4】11月18日、G20諸国の14のシンクタンクとNGOが共同でThe Climate Transparency Reportを発表したところその概要は以下のとおり。①2019年におけるG20諸国からのエネルギー分野からのCO₂排出量は、気候変動政策によって初めて減少に転じ、対前年比0.1%減少した。②2020年は、パンデミックの影響によりエネルギー分野からのCO₂排出量が7.5%減少する見込みで、エネルギー関連以外では、国際航空分野からのCO₂排出量が激減する見込み。③再生可能エネルギーが発電量に占める割合は、2019年は19か国で上昇してG20全体の27%を占め、2020年は28%に増加する見込み。④石炭の消費量は2%減少したが、石炭の段階的な廃止を目標に設定している国はG20中5か国のみである。⑤建物の暖房などの分野では、2019年のCO₂排出量の増加率は対前年比0.9%増と大幅に鈍化した。⑥2019年におけるG20諸国の交通分野・産業分野からのCO₂排出量は、対前年比1.5%・1.2%とそれぞれ増加が続いた。⑦パンデミックに伴うCO₂排出量の減少は一時的なもので、大気中のCO₂濃度は増え続け、今後数か月以内に、追加的な気候変動対策を政治的に決定できなければ、CO₂排出量を継続して減少させることは困難である。⑧中国/南ア/日本/韓国が相次いで今世紀半ばまでに炭素中立を達成する目標を発表したが、具体的な当面の政策的な枠組みや気候変動対策への投資額は明らかにされていない。
      • 原文 November 18, 2020, Climate Transparency(植木エミリ)
    • 【5】 USCGの砕氷船が50年ぶりに南極に行かず北極海に展開
      • 【5】米国沿岸警備隊(USCG)は、USCGの砕氷船が約50年ぶりに南極での科学的調査の支援活動を実施せず、代わりに12月に北極海に向かいアラスカ沖で自国の主権を示すとともに北極海における法に基づく秩序を強化するための作戦に従事することを明らかにした。USCGの太平洋地区司令官は10月下旬に公表した声明の中で、北極海はもはや未開拓の地ではなく、国にとって重要度を増している地域であると述べた。また、USCGの砕氷船Polar Starの船長は、今年8月にベーリング海の米国の排他的経済水域内で操業していた米国漁船が、演習の実施を理由に露の艦船や航空機から退去を命じられた事案に触れ、多くの国が活動している北極海は過去の状況とはまったく異なると述べ、今回の作戦は国家安全保障の下に実施され乗組員は過去に経験したことがない状況に順応する術を学ぶ機会を得ることができ、この経験は新たに建造する砕氷船の乗組員の訓練にとっても重要な意味を持つと語った。露の潜水艦がアラスカ沖に現れたことも米国の警戒感を強める要因となっている。
      • 原文 November 20, 2020, USNI News(若林健一)
    • 【6】 FMC: 3大アライアンスに対する報告義務を強化
      • 【6】米国連邦海事委員会(FMC)は、委員長の指示に基づき、2M/THE/OCEANの3つのアライアンスに書簡を送り、これまで四半期毎の提出を義務付けていた船社ごとの輸送実績等の情報を、毎月提出するよう指示した。FMCの貿易分析局は、通常、各海運会社から提出された機密情報と、一般に入手可能な業界の情報を基に、コンテナ航路の運賃や市場の動向を監視しているが、最近の市場の動向に鑑み、同局の経済専門家が適宜適切に大西洋航路や太平洋航路の状況の変化を評価し、結果を委員会に報告することができるように、アライアンスを構成する船社から直接かつ頻繁に情報を入手することが必要と判断した。FMCは同委員会にファイルされている300を超す協力協定の実施状況の監視を継続的に行っているが、今回報告義務を強化した3つのアライアンスはその中でも最重要な協定であるとともに、市場に対する悪影響を与える可能性が最も高く、市場競争的な運賃より高い水準まで運賃を引き上げ・維持しているのではないか、妥当な範囲を超えて意図的にサービスの供給量を抑制していないかなどについて、最も力を入れて精査している。
      • 原文 November 25, 2020, FMC(長谷部正道)
    • 【7】 ロックダウン解除後の政府の対策案に多くの議員が反発
      • 【7】英国政府は、現在イングランドで実施している全国的なロックダウンを解除した後に各地域に適用する警戒レベルを11月26日に公表したが、3地域を除くすべての地域が最も高い警戒レベル(Tier3)又は次に高い警戒レベル(Tier2)に分類されていることから、多くの議員がこの政府案に反発しており、来週行われる議会での投票では既に与党議員約70名が反対に回るとみられている。この場合、政府案が議会での承認を得るためには野党の協力が必要となるが、現時点では協力が得られるかは不透明な状況であり、政府に対して今回の対策案が正しいことを示す説得力のある証拠を求める声も上がっている。Tier2に分類された地域では同居しない人と屋内で会うことが禁止され、さらにTier3に分類された地域では同居しない人と会える場所が公園など限られた場所に制限されるほか、パブやレストランは持ち帰り又は配達営業のみとなり、他の地域との往来の自粛も求められる。

        ※11/26の英国の感染者数:17,555人(日本1,943人の9.0倍、緊急事態解除基準47人の374倍)
        ※11/26の英国の死者数:498人(日本21人の24倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 November 26, 2020, The Guardian (若林健一)
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