2020/11/19LROニュース(8)

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  • 2020.11.19 UP
    2020/11/19LROニュース(8)
    • 【1】 AMSA: コロナに伴う海事労働条約上の特例措置を2月末で終了
      • 【1】海事労働条約上においては、船員が継続して船上で労働できる最長期間は11か月となっているが、パンデミックによる船員交代が困難になった状況を踏まえて、豪海事安全庁(AMSA)は6月26日に海事通報2020/04を発出し、船員が有効な船員雇用契約書(SEA)を保有し、旗国が承認した当該船員の帰国計画を船長が検査官に示すことができれば、最長14か月までの船上における継続労働が例外的に認められていた。しかし、船上の最長継続労働期間を持続可能で安全な水準に戻す必要があり、きちんと計画を立てれば、交代要員を確保し船員を帰国させることが可能となったこと、いくつかの旗国が自国籍船に対し、積極的に船員交代を促していることに鑑み、上記特別暫定措置を2月末までとし、3月以降は海事労働条約の規定に従った取締りを実施するとの海事通報2020/10を発表した。
      • 原文 November 11, 2020, AMSA(長谷部正道)
    • 【2】 Sea Europe/CESA: MARPOL改正案が不十分と指摘
      • 【2】欧州の造船業の業界団体であるSEA Europe/CESAが、今週開催されるIMOのMEPC75で審議されるMARPOL条約の改正案について問題点を指摘しているところその概要は以下のとおり。①現在提案されているMARPOL条約の改正案は、現在利用可能な革新的なエネルギー効率化技術や代替燃料を十分に活用することが前提とされていない。②新造船に要求されている設計基準を、既存船を改修することで適用することは技術的に可能だが、提案されているEEXIの基準は最新の船舶技術に対応しておらず、一度しか適用されない。③運用面の基準であるCarbon Intensity Indicator(CII)は、現時点までに基準の実施や検証に関する義務的な措置が決められておらず不明点が多い。④CIIの削減が順守されているか否かは、船社が独自に作成した船舶管理計画に則って船社自身が自主的に検証するだけで、基準以下の船舶への確固たる是正措置は定められていない。⑤こうした緩い検証システムの下では、まじめにCIIの削減に取り組む船主や造船所が競争上不利な立場となり、ゼロエミッション船の実現に必要な技術開発の意欲を削ぐことになる。⑥IMOは現在採用可能な技術をきちんと採用させるようなしっかりしたGHG削減戦略を策定する必要がある。⑦IMOで十分に野心的な案に合意できなければ、EUでGreen Dealに従い、海運に排出権取引制度を適用しようとする圧力はますます強まる。
      • 原文 November 16, 2020, Sea Europe(植木エミリ)
    • 【3】 豪のタスマニア島で2つの企業グループが再生可能アンモニアの製造計画
      • 【3】化学肥料に使用されているアンモニアは、今後クリーンな電源として、余剰な再生可能電力を化学的に蓄積する手段として、CO₂を排出しない舶用代替燃料として多くの役割が期待されている。アンモニアは、再生可能電力を利用して電解槽で水を電気分解して製造した水素(Green Hydrogen: GH)と、大気中から分離した窒素を利用して製造することが可能だが、豪のタスマニア島において、再生可能電力を利用して世界最大規模のGH/アンモニアの製造プラントを建造する2つの別々の計画が、11月17日豪の鉄鋼石採掘企業Fortescue Metals Group(FMG)と、エネルギー企業のOrigin Energy Ltd(OE)からそれぞれ発表された。OEは、500MW規模の水素製造プラントを建設して年間42万トン以上のアンモニアを生産する事業について320万豪ドル(約2.4億円)をかけた実現可能性調査を2021年12月までに終了し、2020年代半ばから操業開始することを目指している。一方FMGは、再生可能エネルギー事業を担当する子会社の Fortescue Future Industriesに当面250MWの水素製造プラントで年間25万トンのアンモニアを生産させることを計画しており、2021年に取締役会で最終投資決定を行うことを目標としている。両事業とも、同島のローンセストン市北西41kmのベル湾を事業の実施予定地としている。
      • 原文 November 17, 2020, Reuters(植木エミリ)
    • 【4】 TCFD: 第3次気候関連財務情報開示現況報告書を発表
      • 【4】金融安定理事会(FSB)は、気候変動に関する情報を企業が公開する方法を審議するために「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」を2015年に創設し、TCFDは、企業が整合性の取れた比較可能な情報を投資家に提供するためのガイドラインと情報公開に関する勧告を作成し、欧州委員会・英国・NZはこのガイドラインに従った情報公開を自国企業に求めることを検討している。TCFDは企業がどの程度このガイドラインに従って気候関連財務情報を開示しているか、人工知能を活用して異なる業態の異なる国の大企業1700社を対象にして、情報公開の現況を分析した年次報告書を10月29日発表したところその概要は以下のとおり。①世界の大規模な公的企業の約60%は、TCFDを支持あるいはTCFDの勧告に従って、気候関連財務情報を開示している。②TCFDの勧告に対する支持を表明している組織の数は、対前年比85%以上増加して、1500以上となった。③2019年の時点で時価総額100億ドル(約1兆円)を超える大企業の42%は、少なくても一部の情報をTCFDの勧告に従って公開している。④2019年予算年度において、TCFDの勧告に従って本来公開すべき情報のうち実際に公開されている情報の割合は、エネルギー関連企業で平均40%、素材・建設企業で平均30%だった。
      • 原文 November 16, 2020, Latham & Watkins(長谷部正道)
    • 【5】 欧州議会:IMO/MEPC合意に対する反応と今後のGHG削減戦略
      • 【5】欧州議会の3議員がEURACTIVの取材に対しコメントしているところその概要は以下のとおり。①IMOのISWG GHGで合意された船舶からのGHG削減対策は、IMOが当初目指していた2023年以前にGHG削減を開始し、可及的速やかにGHG排出量をピークアウトさせ、パリ協定の目的に適合して船舶から排出するCO₂を削減するための道筋をつけるという目的すら達成できず、EUの目指す気候変動対策からは程遠いものとなった。②従って、11月16日から開始されたMEPCにおいては、EUとしてリーダーシップを果たすべきところだが、欧州理事会がこの問題に真剣かつ迅速に取り組まなかったために、EUとしての共通の対処方針無しで、MEPCの議論に参加せざるを得ないのは残念である。③欧州議会は船舶から排出されるCO₂の監視・報告・検証(MRV)について、EUとIMOの制度の整合性を取るために、9月にEU MRV規則(EU 2015/757)の改正を承認したが、これに併せて、欧州議会は2030年までに船舶のエネルギー効率を40%改善し、海運事業者に2030年までに輸送単位当たり年間CO₂排出量を40%削減することを義務付けることを提案している。④この議会の提案がEUとして承認されれば、EU全体のGHG排出量を約1.5%削減することとなり、2030年までにCO₂排出量を60%(議会提案)削減するというEU全体の目標に貢献できる。⑤さらに、2022年までに海運をEUの排出権取引制度の対象とし、その収入の半分を利用して海洋基金を創設し、気候温暖化によって影響を受けている海洋生態系の保護・回復・より良い管理を実施する。残りの半分の収入はEU内の気候変動対策に使用される。⑥欧州議会はCO₂以外のメタンなどのGHGの削減も提案していく。⑦EUとして気候変動対策の主導権を確保するためにも、EU各加盟国はMEPCにおいて野心的な対策に合意できるよう最大限の努力をし、IMOが気候変動問題のお荷物であることを止め、世界的に責任のある対応を取れるよう指導力を発揮すべきである。
      • 原文 November 17, 2020, EURACTIV(長谷部正道)
    • 【6】 2021年のエネルギー業界の主たる投資分野は再生可能エネルギーに
      • 【6】米のバイデン新政権にとって、気候変動対策はコロナ対策に次ぐ重要課題になる見込みで、次期大統領は、発電業界の脱炭素化を2035年までに、米国全体の炭素中立化を2050年までに達成することを含む、米国経済全体の脱炭素化のための野心的なロードマップを既に発表している。この政策目標を実現するためには、既存の風力/太陽光発電や蓄電技術だけでなく、水素を燃料とする燃料電池や小型モジュラー原子炉などの最新の技術を含むGreen Energy技術に先例のない規模の投資を行う必要がある。6月にゴールドマンサックスは、エネルギー業界の2021年における投資について、再生可能エネルギー発電の分野が、歴史上はじめて、石油・ガス開発を抜いて、最大の投資分野になるとの予測を発表した。国際的な投資銀行や金融機関もClean Energy分野への投資が、化石燃料への投資を凌駕して、2030年までに16兆ドル(約1660兆円)に達すると予測している。このような大きな投資のシフトが起こる要因としては、投資決定にあたってのhurdle rate(投資のリスクを測る指標で加重平均資本コスト類似のもの)が、化石燃料関連事業の場合10%から20%なのに比べて、再生可能エネルギー関連事業の場合3%から5%とはるかに投資リスクが低いためで、このような状況は米国のみならずEUにおいても同様である。
      • 原文 November 17, 2020, Forbes(長谷部正道)
    • 【7.1】IMOがMSC 102で承認された条約(STCW/LL/SOLAS)改正案を告示 C.L. 4339-4341
    • 【7.2】 IMO/HTW 7が2月15日から19日までオンラインで開催 C.L. 4022/Rev.1
    • 【8】 英国医師会がロックダウンの解除に当たっての対策案を公表
      • 【8】政府は、全国的なロックダウンを12月2日で解除し、その後は地域ごとに警戒レベルに応じた対策を講じる方針でいるが、その詳細については明言していない。英国医師会(The British Medical Association:BMA)は全国的なロックダウンを解除するに当たり実施すべき対策の案を公表したがその概要は以下のとおり。①ロックダウンの解除前に、感染者の検査・追跡制度を改善するために十分な予算を地域の公衆衛生当局に割り当てる。②一度に集まれる世帯数を2世帯までに限定する。③異なる警戒レベルの地域への移動を禁止する。④職場や商店、バブなど人が集まる場所における感染防止対策をガイドラインではなく規則化する。⑤引き続き在宅勤務を奨励する。BMAは、政府は1回目のロックダウンの解除後に規制を急激に緩和し、感染状況の観察も不十分であったことから準備が整わないまま感染の再拡大を招いたとして、今回同じ過ちを犯せば影響はさらに大きくなると警告している。

        ※11/17の英国の感染者数:20,051人(日本952人の21倍、緊急事態解除基準47人の427倍)
        ※11/17の英国の死者数:598人(日本18人の33倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 November 18, 2020, 英国医師会 (若林健一)
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