2020/11/13LROニュース(7)

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  • 2020.11.13 UP
    2020/11/13LROニュース(7)
    • 【1】 EU:天然ガス発電所を「持続可能」「移行期間の」投資と基本的に認めず
      • 【1】気候変動対策に貢献する持続可能な投資を分類するための基準を定めるEUの規則案が近日中に公表される見込みであり、仮に同分類から外れると、民間投資家からの投資を集めにくくなる。EURACTIVが非公式に入手した同規則案によれば天然ガス発電所が持続可能とみなされるためには、1時間に1kwを発電する際に排出されるCO₂の量を100g以下にしなくてはならないという現状では達成が困難な基準が定められており、この基準に合致しないと2050年までに炭素中立を実現するための「過渡的な」技術ともみなされない。ポーランドは老朽化しCO₂を多く排出する石炭火力発電所を、石炭火力に比べればCO₂の排気量が半分程度で済む天然ガス発電所に切り替えることを計画しているが、現在のCombined Cycle Gas Technology (CCGT)では、1kw/hの発電で300-350gのCO₂を排出するため、1kw/hの発電で300-350gのCO₂を排出するため、ポーランドのような国の投資家はCCGTへの投資を炭素中立のための「過渡的な事業」と認めてもらえないかもしれない。
      • 原文 November 11, 2020, EURACTIV(長谷部正道)
    • 【2】 ギニア湾のリスク評価がCRITICAL(毎日事故が発生)な状況に
      • 【2】過去5日間でベナンのコトヌーの南方とナイジェリアのニジェール・デルタの南において6件の襲撃未遂事件が発生するなど、ギニア湾のリスク評価は毎日事件が発生する可能性が高いとされるCRITICALな状況となっている。事件の発生場所に着目すると、これまでギニア湾の中でも海賊事件が多発してきたナイジェリアのニジェール・デルタの地域の外側で発生する事件が増加していることが分かり、また、事件が発生した場所や時刻から、もともと同じ組織から派生した2つの犯行グループの存在が浮かび上がる。未遂事件の率の高まりから犯行グループは海象が平穏となるこの時期に必死になって犯行に及んでいることが窺え、この状況はしばらく続くものと見られる。Joint War Committeeが指定する高危険度エリア内で1月から9月にかけて発生した事件数は2018年以降毎年4%から10%の割合で減少している一方で、誘拐事件の発生割合は2018年から2019年にかけて50%、2019年から2020年にかけて16%の割合で増加している。また、2018年に発生した事件の25%及び2019年に発生した事件の35%が、海象が平穏となる9月から12月にかけて発生しており、今年9月から11月11日までに発生した事件数は昨年同時期と比較して10%、2018年同時期と比較して37%増加している。ギニア湾を航行する船舶はベストプラクティス集にある対策を講じるなど最大限の警戒態勢を維持する必要がある。
      • 原文 November 11, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【3】 ノルウェーにおける自律運航船の開発状況
      • 【3】ノルウェーの肥料メーカーのYara Internationalはバッテリーを動力源とする120teuの電動自律運航小型コンテナ船の建造を2017年に発注し、ルーマニアの造船所で船体が完成した後、自律運航に必要な機器などを装備するためにノルウェーの造船所に曳航され、11月中には必要な機器の装備も完了する見込みだが、5月に同社はパンデミックを理由に開発を停止すると発表していた。しかし、同社の社長は業界誌のインタビューに答えて、事業中止の本当の理由は、自律運航船の運用に対応する陸上側の体制整備の遅れであるとし、自律運航船自体は完成したので、最終試験に必要な資金が確保出来次第、試験を実施し、早ければ来年後半からの運航開始を目指したいと述べた。これとは別に、食料品の流通会社であるASKO社もKongsberg Maritimeと契約を締結し、2隻の船舶に自律運航に必要な機器を整備する契約を締結し、早ければ2022年にも竣工させることを目指している。
      • 原文 November 11, 2020, Splash 247(長谷部正道)
    • 【4】 ホルムズ/バブエルマンデブ海峡護衛の米主導有志国連合軍が1周年を迎える
      • 【4】ホルムズ海峡やバブエルマンデブ海峡において活動する米主導の有志国連合軍(Coalition Task Force Sentinel)が任務を開始してから1年を迎えた。CTF Sentinelは2019年7月に英国、豪及び米国がペルシャ湾からホルムズ海峡及びバブエルマンデブ海峡を経て紅海に至る海域の航行の自由を確保するために立ち上げ、その後、バーレーン、サウジアラビア、UAE、アルバニアが加わり、昨年11月7日にバーレーンに共同司令センターを開設した。さらに、2020年に入りコロナ禍にも関わらずリトアニア及びエストニアが加わった。任務を開始して以降CTF Sentinelは1,100隻以上の民間船の護衛や約1万回に及ぶ民間船との無線通信を行い、艦船の配備時間は2万8千時間を超え、哨戒機による飛行時間は1万3千時間を超えている。CTF Sentinelによると、バブエルマンデブ海峡を通航する船舶の数は年間1万7千隻以上、ホルムズ海峡を通航する船舶の数は年間4万2千隻以上に及び、両海峡の閉鎖は世界経済に深刻な影響をもたらす結果となる。米中央海軍司令官兼第5艦隊司令官は、CTF Sentinelが速やかに組織されたことは、悪意を持った者から世界貿易を保護する必要性を世界が共有している証であると述べた。
      • 原文 November 10, 2020, gCaptain(若林健一)
    • 【5】 なぜ米国はUSCGの巡視船を太平洋西部に展開したいか?
      • 【5】10月23日、米国家安全保障担当大統領補佐官は声明の中で、米国や地域の同盟国の主権を脅かし地域の安定に危険を及ぼす違法・無報告・無規制(IUU)漁業の取締りなどの任務に充てるため、米国沿岸警備隊(USCG)の巡視船を戦略的に西太平洋地域に配備する方針を明らかにした。USCGは、今年8月に多国間共同演習RIMPAC2020に巡視船1隻を参加させ、今年9月には老朽化した巡視船の代替として新たに3隻の巡視船をグアムに配備した。また、昨年は2隻の巡視船を計10カ月間にわたり西太平洋地域に派遣して、北朝鮮に対する経済制裁の監視活動やインドネシア、マレーシア及びフィリピンの能力向上のための活動に従事させている。こうした米国側の動きに対して中国は反応を示していないが、今年8月に漁船による違法操業の取締りのために中国の巡視船2隻が北太平洋に向かったと報道されている。中国の船舶が活動する海域へのUSCGの巡視船の配備を米国が強化する背景には、中国の動きを常に確認するという米国の決意を中国側に示す一方で、中国が軍艦を最前線に置いていないことも踏まえてバランスを取りつつ、米海軍の艦船を派遣することによる軍事衝突のリスクを回避する狙いがあるとの見方もある。
      • 原文 November 10, 2020, Voice of America(若林健一)
    • 【6】 英:上場企業等に対して気候変動リスクの開示・報告義務付け
      • 【6】英財務大臣は11月9日、英国のGreen Finance Centreとしての信用を強化する政策として、①2021年までに英国政府としては初の緑の国債を発行する。②環境的に持続可能性がある事業活動を評価する共通の枠組であるGreen Taxonomyを実施する。③今後5年間に渡って、同国内の様々な種類の企業に対しClimate Riskの開示を義務付けることを発表した。英国政府はかねてより、金融機関等に対し気候変動関連財務情報の航海に関するタスクフォース(TCFDs)の定める報告要件に沿った同情報の開示を奨励してきたが、金融行動監視機関と年金規制庁は、気候危機の緊急性に鑑み、気候変動関連財務情報の公開を自主的な開示から法律上の義務へ強化する必要があると報告していた。TCFDsの基準に従って情報が開示されれば、経済全体における気候変動関連のリスク・機会・影響が明らかとなり、投資にあたっての判断基準を提供し、環境に優しい金融商品のための適正かつ透明性の高い市場を作ることができる。①上場企業②英国に登録された企業③銀行等金融機関④保険会社⑤資産管理会社⑥生命保険および金融行動監視機構の管轄下にある年金機関⑦職業別年金の7つの分類に従い、段階的に報告義務が適用されることとなる。
      • 原文 November 11, 2020, Osborne Clarke(植木エミリ)
    • 【7】英国政府:クリスマスを前に大学生を対象に集団検査を実施する方針
      • 【7】英国政府は、学生が家族とクリスマスを過ごすために帰省することによりコロナウィルスの感染が拡大することを防ぐために、イングランド及びウェールズの大学生を対象に、現在の全国的なロックダウンの終了に合わせて集団検査を実施する方針を明らかにした。ラテラルフロー方式の検査を行うことで検査結果は1時間ほどで判明し、陰性が確認された学生は12月3日から9日の間に移動することが強く推奨されており、残りの授業はすべてオンラインで実施される。移動期間を9日までとしている点について大学担当大臣は、検査結果が陽性であった場合や自覚症状を呈した場合でも自主隔離を終えてクリスマスまでに移動できるよう配慮した結果であると説明している。

        ※11/11の英国の感染者数:22,950人(日本1,282人の18倍、緊急事態解除基準47人の488倍)
        ※11/11の英国の死者数:595人(日本12人の50倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 November 11, 2020, BBC (若林健一)
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