2020/10/23LROニュース(7)

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  • 2020.10.23 UP
    2020/10/23LROニュース(7)
    • 【1】欧州委員会の2021年作業計画が決定
      • 【1】欧州委員会は毎年、今後1年間で実施する行動を設定した作業計画を策定し、新たな構想の提示や既存のEU法の見直しといった政策的な取組を周知している。10月19日決定された2021年の作業計画は、European Green Deal(EDG)・デジタル化への対応・人々のための経済・世界における欧州の競争力の強化・欧州的な生き方の促進・欧州に民主主義の推進といった6つの優先事項に沿って立案されている。EGD(環境政策)関係としては、2030年までにCO₂排出量を最低でも55%削減するため、「55%削減を達成するための政策パッケージ(Fit for 55 package)」を提案する予定で、具体的には、再生可能エネルギーの促進、建物や土地利用に関するエネルギー効率の向上、エネルギー課税、排出権取引等が含まれる。また近隣の非EU諸国にEU並みのより野心的な気候目標の設定を奨励し、EU域内のエネルギー多消費型産業が規制の緩い近隣諸国に生産拠点を移転するCarbon Leakageのリスクを削減し、公平な競争の場を確保するための炭素国境調整制度(CBAM)を導入する。加えて、欧州循環型経済行動計画・EU生物多様性戦略・地産地消(farm to fork)戦略の推進を推進する。
      • 原文 October 19, 2020, 欧州委員会(植木エミリ)
    • 【2】デンマークでアンモニアを燃料とする2ストローク機関の開発を開始
      • 【2】デンマークの投資機関であるInnovation Fund Denmarkは、アンモニアを燃料とする船舶の実用化のため、アンモニアを燃料として使用する2ストローク機関の開発を進めるコンソーシアムを設立した。コンソーシアムはMAN Energy Solutionが主導し、燃料システムメーカーのEltronic FuelTech・デンマーク工科大学・DNV GLが参加し、2024年までの機関の完成を目指す。MAN Energy Solution社は、これまでにメタノール・エタン・LPGなどの代替燃料を燃料とする2ストローク機関を開発してきた実績を持っている。
      • 原文 October 21, 2020, Splash 247(長谷部正道)
    • 【3】豪が日・米・印によるインド洋の大規模海軍演習に参加
      • 【3】豪・印両政府は、今年11月にインド洋で行われる日・米・印による大規模な海軍演習「マラバール演習」に豪海軍が参加することを10月19日に発表した。同演習は1992年に米・印の2カ国で実施して以降毎年行われており、日本も2015年から正式メンバーとして参加している。近年はインド・太平洋地域における様々な脅威に対処する目的でその規模を拡大しており、今回の豪の参加により日・米・印・豪の4カ国による演習の実施は2007年以来となる。この4カ国の連携はNATOのような正式な軍事同盟ではないものの、アジア・太平洋地域において拡大する中国の影響力に対抗する動きとも見られており、中国政府は反中ブロック構想でるとしてこれを批判している。豪国防相は、同演習は豪海軍の能力向上にとって重要であり、4カ国間の深い信頼関係と共通の安全保障上の利益のために互いに協力していく意思を示すものであると述べた。2007年の豪による同演習の参加は中国からの反発を招き、両国の関係は悪化を続けており、印軍も今年6月にヒマラヤの国境地帯で中国軍と衝突している。印国防相は、同演習に参加する4カ国はともに自由で開かれたインド・太平洋を支持し、法の支配に基づく国際秩序の維持に取り組んでいくと語った。
      • 原文 October 20, 2020, CNN(若林健一)
    • 【4】豪:屋根に設置する太陽光パネルの普及で低下する電力価格
      • 【4】電力料金を削減するために、恵まれた日照時間を生かして、豪の住宅では屋上に太陽光パネルを設置するのが流行っており、現在約29%の住宅が屋上設置型の太陽光パネル(Rooftop Solar: RS)を設置している。この結果、未だに石炭火力発電に発電の約6割を依存している伝統的な発電事業者は大きな影響を受け、電力の卸売り価格を押し下げている。住宅や商業施設におけるRSの設置は記録的なペースで進んでおり、例えば、9月13日には、南オーストラリア州で消費された電力の71%をRSが供給し、電力会社が供給した電力量はこれまで最低の379MWまで落ち込んだ。メルボルンがあるビクトリア州でも、同じ理由で9月6日に史上最低の電力供給を記録した。パンデミックに伴うロックダウンも重なって、豪の南東部の都市部をカバーするNational Electricity Marketの第3四半期の電力の卸売り価格は、対前年比48%下落し、これに伴い最終電力価格も低下しているので、コロナ経済不況に苦しむ家計と中小企業には恩恵となっている。
      • 原文 October 21, 2020, Financial Post(長谷部正道)
    • 【5】米国の都市別のGHG削減目標と実施状況評価
      • 【5】ブルッキングス研究所が標記について調査報告書をまとめたところその概要は以下のとおり。①米国の大都市の約半分は独自のGHG削減目標を定めており、2050年までに8割のGHGを削減するとしているものが多いが、パリ協定の1.5℃以内に気温上昇を抑えるという目標には達していない。②米国の全人口の約12%、人口で100位に入る都市の人口の総計の60%にあたる約4千万人の国民は、積極的でしっかりした気候変動行動計画を持つ45の大都市に住んでいる。③この45都市の合計で年間約3.65億MTのCO₂の排出量が削減されている。④一方で、GHG削減目標を持つ都市全体の約2/3が目標達成に必要な実績を残していない。⑤以上の問題点を解決するためには、㋐GHG削減目標を作成するにあたっては、実際にどのようにGHGを削減するかというような計画を踏まえた政治的にも持続可能性の高い目標を立てること。㋑目標の高さではなく、目標がどれだけ実際に実現されているか、それをチェックするための情報開示が行われているかが大切。㋒各都市のGHG削減政策によって実際にどれだけCO₂が削減されたか評価をするにあたっては、都市自身の政策で変更できる要因と各都市のレベルでは変更しがたい要因に分けて分析すること。
      • 原文 October 15, 2020, Brookings(長谷部正道)
    • 【6】米第7艦隊が日・豪と共に南シナ海で今年5回目の共同演習
      • 【6】10月19日、米海軍の第7艦隊と日本の海上自衛隊及び豪海軍が今年5度目となる共同演習を南シナ海で実施した。本演習では海上自衛隊の護衛艦きりさめ、米海軍のミサイル駆逐艦ジョン・S・マケイン及び豪海軍のフリゲート艦アルンタが連携して洋上演習や防空演習など様々な訓練を実施し、連携の強化を図った。ジョン・S・マケインの司令官は、南シナ海においてこの様な演習を実施することにより、インド・太平洋地域のすべての国が利益を享受できるように、透明性、法による支配、航行や飛行の自由など、同地域の安全保障や繁栄を支えるすべての原則を推進していくと述べた。また、海上自衛隊及び豪海軍の司令官も同様に3カ国による共同演習の重要性を強調した。今回共同演習を実施した日・米・豪は、来月インドとともに共同演習「マラバール演習」を実施する予定。
      • 原文 October 22, 2020, Navy Times(若林健一)
    • 【7】現在の対策では再び数万人規模の死者が発生する可能性
      • 【7】10月12日ジョンソン首相はコロナウィルス感染拡大を防止するためにイングランドを対象に新たに3段階の警戒レベルとそれに応じた制限措置を発表し、全国的なロックダウンの実施を避けて地域ごとに対策を講じている。しかし、政府の科学顧問を務める専門家からは、現在の国内の入院患者数は既に全国的なロックダウンに突入した今年3月時点とほぼ同数に達しており、現在の最も厳しい警戒レベルに応じた対策を講じても感染者の実行再生産数(R)の値は1.0以上を保って感染者数は増加を続けるとの見方を示しており、このままでは再び数万人規模の死者が発生すると警告を発している。

        ※10/21の英国の感染者数:26,688人(日本484人の55倍、緊急事態解除基準47人の567倍)
        ※10/21の英国の死者数:191人(日本3人の64倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 October 21, 2020, BBC (若林健一)
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