2020/09/18LROニュース(7)

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  • 2020.09.18 UP
    2020/09/18LROニュース(7)
    • 【1】中国当局が太平洋航路のコンテナ運賃と輸送量管理に介入か
      • 【1】太平洋航路のコンテナ運賃が記録的な高水準に上昇しているのを受けて、9月11日、中国政府交通運輸部は、中国から米国向け太平洋航路におけるスポット運賃のこれ以上の引き上げを承認せず、コンテナ船の欠航についても第42週から運航をスケジュール通り再開するよう海運会社に求めることを議論した。COSCOは9月15日から予定されていた運賃の引き上げ(GRI)をあきらめ、他の船社も追従する見込み。現在需要が旺盛なので、欠航の禁止は事実上大きな影響がないが、今後需要が再び減少するような局面でも、欠航が禁止されれば、海運会社の船腹供給管理能力が阻害されて問題になる。中国から米国西岸向けの運賃は7週続けて1teuあたり、3000ドルを超えて、直近では3813ドル(約40万円)に達している。スポット運賃だけでなくCCFI契約レートも、過去4週間で12%、パンデミック開始前から比較すると44%上昇している。
      • 原文 September 11, 2020, The Loadstar(長谷部正道)
    • 【2】大気中のCO₂の増加によって森林の成長が加速
      • 【2】リーズ大学の研究者等が、9月8日Nature Communications誌に発表した研究報告によれば、気候温暖化によって大気中のCO₂濃度が上昇する一方で、森林がより多くのCO₂を吸収することによって森林の成長が加速することにより、今世紀中は森林がCO₂を吸収する量は増加すると考えられる。一方で、森林の成長速度が速くなると、森林の平均寿命が短くなるので、森林によるCO₂吸収能力の増加は一時的なものに過ぎないと考えられる。こうした成長速度は上がるが、寿命は短くなるという成長と寿命のトレードオフの関係は、全世界的に、植生の違いや気候の違いに関わらず発生するものと考えられる。森林の成長速度の上昇に遅れて、森林の寿命が短くなるので、一時的に森林によるCO₂吸収量は増えるものの、森林寿命の短縮化によって最終的には森林によるCO₂吸収量は中立化され増加しないことが既存の情報からも裏付けられ、改めてGHG排出量を削減することが必要であることが判明した。
      • 原文 September 8, 2020, Nature Communications(長谷部正道)
    • 【3】ASEAN外相会議:南シナ海における自制と非軍事化を呼びかける
      • 【3】第53回ASEAN外相会議が9月9日からテレビ会議形式で開催され、ASEAN諸国の外相は共同声明で南シナ海における埋め立て工事などに対する懸念を示しつつ、国連海洋法条約を含む国際法規に従った平和的な解決策を追求するべきであると強調し、自制と非軍事化を呼びかけた。米国務長官は、中国が脅迫や環境破壊を推し進める南シナ海について法に基づく支配を主張するとともに各国の主権を尊重すると述べたうえで、法に基づく支配を求めるASEANの立場に協力する意志を表明した。米国は先月、南シナ海で軍事拠点の整備に関与した中国企業24社に対する制裁を発表したが、10日に行われた米・ASEAN外相会議で米国務長官はこれら中国企業との関係の再考を訴え、また、第3回インド太平洋ビジネスフォーラムをベトナムと共催する考えも明らかにした。中国外相はASEAN諸国の外相に対して、米国は南シナ海に干渉し軍事力の展開を図っていると訴えた。
      • 原文 September 13, 2020, The Straits Times(若林健一)
    • 【4】欧州議会環境委員会がGHG排出量を2030年までに60%削減する事を議決
      • 【4】欧州議会環境委員会では9月10日、現在審議中の2050年までに炭素中立を目指すというEUの目標に法的拘束力を持たせる「EU気候法」に関して、2030年までのGHG排出削減目標を、対1990年代比で現在の目標である4割から6割削減に引き上げることが僅差で可決された。欧州委員会は約12加盟国の支持を得て、55%への引き上げを提案する予定だが、いくつかの東欧諸国は、目標引き上げに伴う経済的影響調査が実施されるまでは、いかなる目標の引き上げにも合意するつもりはないとしている。欧州委員会は2050年までの炭素中立をEU全体として達成することを目指しているが、環境委員会では目標の上方修正に加え、EU全体としてではなく全ての加盟国で例外なく気候中立を達成することを拘束力のある目標とすることが提案されこれも議決された。同様に、EUの気候変動対策政策について勧告する独立した専門機関の設立についても議決された。環境委員会による目標引き上げ合意を受けて、排出権取引価格は約4%上昇し1トンあたり28.4ユーロ(約3550円)となった。欧州議会本会議におけるEU気候法の採決は10月の初めに実施される予定。
      • 原文 September 10, 2020, Reuters(植木エミリ)
    • 【5】自律運航研究船「メイフラワー号」の試験が始まる
      • 【5】全長15mの太陽光を動力とする三胴船であるメイフラワー自律運航研究船は海洋研究組織のProMareがIBMの全面的な技術協力のもとに進めている試験事業で、自律運航技術開発ばかりでなく、海洋の科学データーの収集も目的とされている。同船は1620年にメイフラワー号が米国に向かって出帆した400周年を記念して9月16日にお披露目されるが、その後6か月間様々な試験を英国南岸で実施した後、来年4月に、元祖メイフラワー号の航路をほぼたどって、英国のプリマスから米国のプロビンスタウンまでの大西洋横断試験を実施する予定。同船はIBMが開発したAI Captainを活用して、出発地から到着地までの気象・潮流・衝突予防規則等の様々な要素を考慮して航路を決定するとともに、レーダー・カメラ・AIS情報を活用して、他船との衝突を自動的に回避することができる。
      • 原文 September 10, 2020, CNBC(長谷部正道)
    • 【6】BP: Energy Outlook 2020を発表
      • 【6】9月14日、BPが標記報告書を発表したところ、その概要は以下のとおり。①世界的に低炭素エネルギーへの転換が進み、世界のエネルギーシステムは根本的に再構築され、顧客の要望に従い、需要が多様化し、燃料の間の競争が激化する。②化石燃料離れが進み、世界的にエネルギーの電化が進むなかで、再生可能エネルギーが急速に拡大する。③パリ協定に従い、今世紀中の地球の気温上昇を2℃以下に抑制するためには、排出権取引価格の大幅な引き上げなどの強固な政策的イニシアティブによって、CO₂排出量を2050年までに対2018年実績比で70%削減する必要がある。④今世紀中の気温上昇をさらに1.5℃以内に抑制するためには2050年までにCO₂排出量を同95%削減して、炭素中立を達成する必要がある。⑤政府の政策や技術やエネルギー転嫁への社会的な意欲が現状のペースで推移する現状維持路線でも、エネルギー分野から排出されるCO₂の量は2020年代半ばにはピークアウトするものの、目に見えて減ることもなく、2050年までの削減率は同10%以下にとどまる。
      • 原文 September 14, 2020, BP(長谷部正道)
    • 【7】英国政府:感染者の増加を踏まえイングランド北東部を対象に規制を強化
      • 【7】英国政府はコロナウィルスの新規感染者数の増加を踏まえ、新たにニューキャッスルなどイングランド北東部の7地域を対象に9月18日午前0時から、他の世帯との交流を禁止し、パブやバーの営業時間を午後10時までに制限するなど規制を強化することを発表した。対象となる地域には約200万人が生活しているが、英国保健相は早急な対応が必要であると述べ、自治体も地域全体に完全なロックダウンを発令しないための一時的な措置で必要な対応であると説明している。イングランドではコロナウィルスの検査結果を受け取るまでに長時間を要するなど、政府の検査体制の不備を指摘する声が高まっており、政府のコロナウィルス対策を評価する人の割合は3割程度にとどまるとの調査結果も出ている。

        ※9/16の英国の感染者数:3,991人(日本532人の7.5倍、緊急事態解除基準47人の85倍)
        ※9/16の英国の死者数:20人(日本10人の2倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 September 17, 2020, BBC (若林健一)
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