2020/09/16LROニュース(7)

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  • 2020.09.16 UP
    2020/09/16LROニュース(7)
    • 【1】CLIA: 2020年環境技術施策報告書を発表
      • 【1】9月8日、クルーズ事業者国際協会(CLIA)が標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①クルーズ船から排出される排気ガスを削減し、運航効率を高めるための新技術と環境にやさしい新燃料に対応するために、スクラバーやLNG燃料等に対し、クルーズ事業者はこれまでに累計で235億ドル(約2.5兆円)を投資してきた。②CLIAの加盟事業者は、海運業界を先駆けて、2030年までに対2008年実績比で、CO₂排出量を40%削減することを公約している。③新造船の49%は主機関の燃料をLNGとし、クルーズ船全体に占めるLNG燃料船の数は、対2018年比51%増加した。④クルーズ船全体の69%がスクラバーを採用し、LNG燃料船以外の新造船の96%はスクラバーを採用している。⑤現在建造中の新船の99%は改良型排水処理装置(AWTS)を装備する予定で、既存船を含む全クルーズ船の70%がAWTSを装備している。⑥新造船の75%が岸壁に停泊中に陸上の電源から給電を受けられる設備を装備し、クルーズ船全体の32%が同様の設備を装備し、全世界の14港において、少なくとも岸壁の一つからは給電を受けられるようになっている。
      • 原文 September 8, 2020, CLIA(長谷部正道)
    • 【2】DNV GL: Energy Transition Outlook 2020を発表
      • 【2】DNV GLが発表した標記報告書の概要は以下のとおり。①コロナにより世界のエネルギー需要は8%減少する。②交通を含むエネルギー消費から発生するCO₂排出量は、コロナによって2019年がピークとなった。③市場規模の適切な拡大に応じ、太陽光・風力・バッテリー関連の開発技術は順調に発展する。④製鉄業・住宅暖房・航空・海運等の分野における脱炭素化の動きは鈍く、水素・CCSなどの技術や市場原理だけでは足りず、政策・規制の強化が不可欠。⑤最終エネルギーとしての電気の需要は2050年に倍増し、2032年までに世界の乗用車の半分は電気自動車になる。⑥電力生産における太陽光・風力発電のシェアは共に首位を独占し、再生可能エネルギーによる電化の促進により、世界のエネルギー消費量は2032年にピークを迎える。⑦2020年代に、エネルギーの種類別では、天然ガスが最大のエネルギー供給源となり、2050年まで首位を保つが、同年においても天然ガスの使用の18%しかCCSを用いた脱炭素化がされない。⑧エネルギー消費量の増加が止まり、再生可能エネルギーの割合が拡大しても、現状では今世紀までに地球の気温は2.3℃上昇し、パリ協定の目標達成は困難で、更なるエネルギー転換促進に向けた投資が必要。
      • 原文 September, 2020, DNV-GL(植木エミリ)
    • 【3】GARD: IMO 2020規制適合油への転換に関する検証
      • 【3】GARDが標記検証を発表したところその概要は以下のとおり。①GARDに最も多く報告された規制適合油(VLSFOs)の問題点は、高い数値のTotal Sediment Potential (TSP)と硫黄含有分の超過が挙げられた。②運用上の問題としては、油洗浄機やフィルター内のスラッジの増加だが、重大な故障やエンジン損傷の発生には今のところ至っていない。③燃料油が原因で発生した機関故障に関する保険金請求数は、2020年上半期は、過去2年間の上半期と比べても少なかった。④同上半期の燃料油の供給に関する契約上の係争数は例年と同レベルであった。⑤今後の一般的な勧告としては、燃料購入の際は信頼できる燃料供給事業者を選定すること、また燃料油がMARPOL の基準を満たしていない場合、直ちに当局に届け出ること。⑥当局はIMOを通じてGISIS プラットフォームに情報共有を行うこと。⑦用船契約を結ぶ際には、用船契約中の燃料油に関する規定が適正なものであるかを確認し、用船契約中の燃料油に関する条項によって自分がどのような責務・リスクを負うのか理解すること。⑧燃料油給油供給証明書(BDN)に署名する前にBDNに記載されている情報が正確であることを確認すること、船主と用船者が連携して問題を解決することなどが重要である。
      • 原文 September 10, 2020, GARD(植木エミリ)
    • 【4】自律運航船の自律のレベルごとのセキュリティ分析
      • 【4】自律運航船の開発は衝突事故の防止や航海の効率性の向上などの利益をもたらすが、自動運航技術の利用はそのレベルに応じて様々なセキュリティ上の課題が存在することを理解する必要がある。自動運航技術の第一段階は自動操縦や高度なレーダーシステムなどの技術の導入であるが、この段階では現在運航している船舶との差はあまりなく、想定される最大の脅威は海賊行為で、サイバー攻撃は乗組員による対処が可能であると考えられることから第2の脅威と位置付けられる。自動運航技術の第二段階は陸上からの遠隔操縦技術の導入であるが、第一段階と同様に乗組員の乗船が想定されることから、依然として身代金目的の海賊行為が大きな脅威である。しかし、遠隔操縦のための陸上との通信がサイバー攻撃による脅威を増大させると考えられる。自動運航技術の第三段階は乗組員も乗船しない完全な遠隔操縦技術の導入であり、もはや身代金目的の海賊行為に対する脅威は存在しない。しかし、防御システムによっては積荷や船舶自体の窃取は依然可能である。また、この段階では乗組員による直接の対応がとれないためサイバー攻撃やハッキングの危険度が最も高い状況と考えられる。自律運航技術の第四段階は遠隔操縦技術も必要としない船舶の運航や意思決定の完全な自動化の導入であり、陸上との通信頻度も減少するためハッキングによる被害は減少すると思われる。しかし、乗組員も乗船せず遠隔操縦もできないことから、一度ハッキングされると対処は困難となる。
      • 原文 September, 2020, ARX(若林健一)
    • 【5】米国:再生可能エネルギーにどれだけの投資が必要か?
      • 【5】カリフォルニア大学バークレー校Goldman公共政策院が発表した報告書によれば、電力料金を引き上げずに、2035年までに米国の電力需要の9割を再生可能エネルギーで賄うためには、再生可能エネルギーを大規模に強化する強い政策的なイニシアティブが必要なことが判明した。具体的には、上記目標を達成するためには、平均して毎年新たに75GWの再生可能エネルギー発電施設と蓄電施設を建設し、2035年までに合計で1200GW分の施設を新たに建造する必要がある。2005年から2019年までの過去15年の新規発電所の建造実績は、年間で新設発電量の平均は23GWで、合計で338GWの発電施設しか建設されていないという過去の実績と比較すると、2035年までの上記目標は3倍以上野心的なペースで新規発電所の建設を実現しないといけないことがわかる。これを投資金額でみると、年間1000億ドル(約10.6兆円)、合計で1.7兆ドル(約180兆円)もの投資が必要であると報告書は見積もっている。
      • 原文 September 9, 2020, Forbes(長谷部正道)
    • 【6】ロシア北極圏の山火事により記録的な量のCO₂が排出。
      • 【6】今年に入ってから、ロシア北極圏では、史上最高の猛暑が記録され、永久凍土が融解して、貯油タンクから油が流出する事故が起きたなかで、山火事も記録的な速度で広がり、既に2019年1年間に焼失した面積以上に山火事が拡大しているが、根本原因となっている地球温暖化対策についてロシア政府の取り組みは鈍い。EUのコペルニクス大気観測サービスによると、グリーンランド・アラスカ・カナダも含む北極圏全体で発生している山火事によって、今年に入ってから既に2.5億トンのCO₂が放出されており、この量は2019年1年間に排出されたCO₂の量1.8億トンの4/3に達している。7月に北極圏で観測される山火事の数の2003年から2018年の平均は約100件で、2019年は400件に急増したが、今年はさらに約600件の記録的な山火事が観測されている。ロシアでは、4つのシベリアの地域で非常事態が宣言され、プーチン大統領は山火事の沈下のために軍を出動させた。
      • 原文 September 9, 2020, Bellona(長谷部正道)
    • 【7】検査体制の不足により医療サービスの提供維持が困難となるおそれ
      • 【7】コロナウィルスの検査の需要増加に検査体制が追い付いていない問題により、医療従事者やその家族が検査を受けることができなかった結果、医療従事者が自主隔離をせざるを得ない状況が発生しており、職員の数が不足する医療機関も出てきている。政府は検査数の不足を解決するためには今後数週間を要するとしており、医療従事者などはこのままでは医療サービスの提供の維持が困難になると訴えている。

        ※9/14の英国の感染者数:2,621人(日本441人の5.9倍、緊急事態解除基準47人の56倍)
        ※9/14の英国の死者数:9人(日本3人の3倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 September 15, 2020, Reuters (若林健一)
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