2020/07/29LROニュース(7)

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  • 2020.07.29 UP
    2020/07/29LROニュース(7)
    • 【1】 シンガポール・香港・マレーシア等において船員交代のための規制強化
      • 【1】7月24日、シンガポール政府はフィリッピン人船員がシンガポール政府の課した検疫に関する条件を軽視し、変造したウィルス検査証を悪用していることまであるとして、船員交代のための規制を再強化し、事実上シンガポール船籍船にしか同港における船員交代を認めないこととした。マニラでは偽造されたウィルス検査証がわずか2ドルで販売されており、比政府海外雇用庁(POEA)が直ちに介入して、こうした不法行為や関係する悪質船員手配事業者を取り締まる必要がある。香港においても、パンデミックの第3波が襲来しており、ウィルスの感染を防ぐために、7月29日から、香港で貨物の積み下ろしを実施する船舶以外は同港における船員交代が禁止される。マレーシアにおいても、船員交代のためにクアラルンプル空港に到着した船員に対し、14日間の検疫期間を義務付けることが決定された。オマーンにおいても一日当たりの感染者数が急増したため、船員交代が禁止された。
      • 原文 July 27, 2020, Splash 247(長谷部正道)
    • 【2】 フロリダで再生可能な「緑の水素」製造試験プラント建設計画
      • 【2】Next Era Energy(NEE)社は6月、同社の所有する米国最大の石炭火力発電所を2022年までに閉鎖することを発表したが、7月24日、子会社であるFlorida Power & Light社(FPL)を通じて、6500万ドル(約68億円)規模となる太陽光発電を利用した20MWの再生可能エネルギー水素(Green Hydrogen : GH)の試用製造施設の建設を発表した。当該施設は、フロリダ州規制当局からの承認を得られれば2023年までに稼働開始する予定で、北米最大手の風力・太陽光発電事業者であるNEEにとっては初のGH事業となる。GHの製造に使用される電力は、FPLが太陽光発電によって生産した余剰な電力が供給され、製造されたGHは、FPLのガス火力発電所で使用される天然ガスの一部に置き換えられる予定である。水素経済が拡大し、GHがより経済的になれば、同社はガス火力発電所の一部または全部を水素によって稼働できるよう改修する見込みである。市場としてはまだ黎明期であるものの、エネルギー供給体制を脱炭素化する実現可能な手段としてGHの構想は世界中で急速に拡がりつつあり、同社にとってGHは発電施設の脱炭素化に貢献するだけでなく、北米全体で生産される風力・太陽光による電力に新たな市場を拓く可能性も期待される。
      • 原文 July 24, 2020, Green Tech Media(植木エミリ)
    • 【3】 イラン軍が米空母の大型模型を作成してホルムズ海峡で訓練を実施
      • 【3】7月26日に米国の民間企業が撮影した衛星画像によると、イラン軍は米国の空母の大型模型を作成して、これを標的として使用した訓練をホルムズ海峡で実施していることが明らかになった。イランはペルシャ湾に米国や西側諸国の艦船が展開していることに反対しており、度々ホルムズ海峡において軍事訓練を実施している。今回撮影された衛星画像には、イラン軍の高速戦闘艇が艦載機を搭載した米空母を模した大型模型に接近する場面が収められており、2015年には米空母ニミッツを模した大型模型にミサイル攻撃を行う訓練も実施されている。2015年に締結したイラン核合意から米国が一方的に離脱し再びイランに制裁を課した2018年以降、両国間の緊張関係は高まった状態にある。今年4月イラン側は、自国の安全保障が脅かされる事態になればペルシャ湾に展開している米艦船を攻撃すると述べており、また、自国の石油輸出が阻止され、核施設が攻撃を受けるなどの事態が生じればホルムズ海峡を閉鎖すると度々警告を発している。
      • 原文 July 27, 2020, Reuters(若林健一)
    • 【4】 INTERCARGO: 船員交代実現のため根本的な対策が必要
      • 【4】7月27日、INTERCARGOは表記緊急声明を発表したところ、その概要は以下のとおり。①交代要員として乗船する船員に対する事前検査の徹底。感染した船員が乗船することによって、船上の他の乗組員や関係者に危険を及ぼす。船員斡旋事業者は交代船員に対する規則に従った検査を励行することを求める。②交代船員は出身国を出発する前と、船員交代が実施される国で乗船前に、2度検査を受けるべき。下船する船員についても上陸する前、または出国する前に検査を受けること。検査の結果が陰性であれば、検疫期間は免除されること。③交代要員として乗船する船員については、船員交代を実施する国への入国にあたり、査証免除の対象とすること。④船員交代が実施される国においては、船員の下船を認める要件として、予約済みの航空券を保有することを求めず、隔離されたホテル等で帰国便が手配できるまで待機することを認めること。
      • 原文 July 27, 2020, INTERCARGO(長谷部正道)
    • 【5】 英国:洋上風力発電の発電コストがさらに下がって消費者に還元可能に
      • 【5】これまで、洋上風力発電施設の建設を希望する事業者は、公募に入札するにあたり、生産した電力の売却価格をあらかじめ申し出ることになっており、実際に発電所が稼働した後、企業の設定価格が英国市場の卸売価格よりも高かった場合、差額を政府が補助する仕組みになっている。しかし、近年洋上風力発電施設の設置・運用コストは急激に低下してきており、例えば英国で2019年9月に実施された入札においては、落札者が提示した売却予定価格は1MWあたり約40ポンド(約5400円)で、2年前と比較すると約3割減少していた。この売却予定価格が、実際に発電を開始した時に市場の卸売価格より高くなるか低くなるかは現時点では不明だが、洋上風力発電施設の稼働期間全体で見れば、市場の卸売価格より低くなることが予想される。仮に予定売却価格が市場の卸売価格を下回った場合は、事業者は政府に差額を支払うこととなり、この差額分が還元されることによって、企業や家庭が支払う電気料金が減額されることも可能となる。
      • 原文 July 27, 2020, Independent(植木エミリ)
    • 【6】 比大統領:南シナ海問題で中国と争わない代わりに中国にワクチン供与を要請
      • 【6】比大統領は7月27日に行った施政方針演説の中で、7月23日に中国の習主席に対してコロナウィルスのワクチン供与を優先するよう要請したことを明らかにした。比では7月27日時点で感染者数の累計が82,040人、死者数の累計が1,945人に上っており、東南アジア諸国ではインドネシアに次いで2番目に多い結果となっている。比大統領は、南シナ海における権益主張の争いを巡っては、中国が優位に立っていることを認めたうえで、中国と争う余裕はないことから対立は避け、最善の手段である外交を通して問題を解決するべきであるとの立場を示した。また、比大統領は、今年初めに破棄の決定を発表するも先月になりこれを撤回した米国との訪問軍協定(The Visiting Force Agreement)については一切触れない一方で、比国内に米軍基地を再度設けることについては、仮に戦争状態になった場合には核兵器が持ち込まれ比が壊滅する結果になり得ると述べ、明確に否定した。
      • 原文 July 27, 2020, South China Morning Post(若林健一)
    • 【7】英国首相が欧州は感染拡大の第2波到来の危機に直面していると警告
      • 【7】ジョンソン首相は7月28日、欧州諸国がコロナウィルス感染拡大の第2波到来の危険に直面していると述べ、国民に対して警戒心を持つよう警告を発した。政府はスペインでの新規感染者数の増加を踏まえ、急遽7月25日に同国からの入国者に対して2週間の検疫隔離措置を再度適用することを発表したが、他の複数の欧州諸国においても感染者が増加傾向にあることから、ジョンソン首相は、必要な場合には同様の措置を躊躇なく実施すると述べている。

        ※7/27の英国の感染者数:685人(日本836人の0.8倍、緊急事態解除基準47人の15倍)
        ※7/27の英国の死者数:7人(日本0人)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 July 28, 2020, Evening Standard(若林健一)
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