2020/07/22LROニュース(7)

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  • 2020.07.22 UP
    2020/07/22LROニュース(7)
    • 【1】 EU Taxonomy規則が発効
      • 【1】7月12日、科学的根拠に基づいて環境的に持続可能な経済活動を分類し、民間企業の持続可能な事業に対する投融資を促進するための枠組であるEU Taxonomy規則が発効となった。これまでの経緯としては、2018年3月に欧州委員会から「持続可能な成長への金融に関する行動計画」が提案され、計画の第一段階として持続可能な事業の分類制度の確立が求められた。同年5月、Taxonomyの規則案が提出されて以来、審議や修正が重ねられ、2019年12月18日の最終的な政治合意を経て、2020年6月18日欧州議会にて承認された。その後正式な規則として同月22日EU官報へ掲載され、20日後に発効となった。欧州委員会は今後、持続可能な金融に関する技術専門家グループ(TEG)の勧告に従い、まず「気候変動緩和策」と「気候変動対応策」に関する基準案を作成し、パブコメにかけたうえで、基準に関する委員会令を年末までに採択し、2021年12月に発効させる予定である。残る「水と海洋資源の保護」・「循環経済への移行」・「環境汚染の防止・管理」・「生物多様性の保護と回復」といった基準についても、1年遅れで2021年中に基準を作成し、2022年12月に委員会令を発効させる予定。
      • 原文 July 13, 2020, Latham & Watkins(植木エミリ)
    • 【2】気候変動と殺虫剤によりサンゴ礁に住む魚類が減少
      • 【2】気候変動による海水温の上昇と海洋熱波の影響によって、世界中で珊瑚礁の白化現象が発生しているが、グリフィス大学等の研究者達によると、こうした海水温の上昇に加え、農業用殺虫剤による汚染が珊瑚だけでなく珊瑚礁に生息する魚にも影響を及ぼすことが明らかになった。珊瑚礁に生息する魚の多くは、孵化した後外洋で幼生として発達し、再び珊瑚礁で稚魚として成長していくが、こうした最も捕食者から狙われやすい変態の過程で高温の海水に晒されたり、海中騒音や汚染物質による環境的な負荷がかかると、魚たちの行動を狂わせ、捕食者を識別したり回避する能力を低下させる。魚たちが外敵の存在を察知できる特殊な器官は変態中に発達するが、その過程はホルモンが司っているとされており、研究者達が幼生にホルモン遮断薬を投与する実験を行ったところ、感覚系の発達が遅れ容易に捕食されてしまった。更に、一般的な農業用殺虫剤であるクロルホリピスを異なる水温に異なる濃度で投与したところ、水温が高く、殺虫剤の濃度も高い環境では、幼生が外敵を避ける能力は更に低下した。珊瑚礁の魚の多くは生後早期に変態するため、こうした成長の初期段階で魚を取り巻く環境が過度に変化すると、珊瑚礁の生態系全体を危機に晒す可能性がある。
      • 原文 July 17, 2020, The Conversation(植木エミリ)
    • 【3】米海軍:2つの空母打撃群が再び南シナ海で演習
      • 【3】米国務長官は7月13日に南シナ海における中国の権益主張を完全に違法であるとする声明を発表したが、これに引き続き米太平洋艦隊は7月17日に空母ロナルド・レーガン及び空母ニミッツがそれぞれ率いる空母打撃群が今月2度目となる共同演習を南シナ海で開始したことを発表した。両空母打撃群は6月下旬にフィリピン海で合流し、その後南シナ海に進み7月4日から共同演習を実施している。東アジア・太平洋を担当するスティルウェル米国務次官補は、米国は南シナ海において航行の自由作戦の実施、空母打撃群や航空機による巡回などの物理的な行動により地域の同盟国の支援を行い、中国の悪質な戦術に対抗していくと述べた。中国は米国の動きに対抗すべく西沙諸島沖合で軍事演習を実施するとともに、中国国防部報道官は7月9日に声明を発表し、米国は南シナ海において軍事力の誇示や挑発的な振る舞いにより地域の安全や安定を脅かしており、こうした行動や中国に対する根拠のない非難を止め、地域の緊張を高めないことを望むと述べた。
      • 原文 July 17, 2020, USNI News(若林健一)
    • 【4】 デンマーク政府が船員交代のための外国人船員の出入国を許可
      • 【4】デンマーク政府はデンマーク船主協会・デンマーク金属工業(海事部門)労働組合・デンマーク技師協会と協力して、船員交代の問題を解決するために、船舶に乗下船するために同国に入国する船員に入国・通過査証を与えることを決定した。海運会社・船舶代理店等は感染を防止し、船員と一般国民との接触を避けるために、船員をホテルに隔離するなどの対応を取り、空港には船員入国のための専門窓口を設けて、他の旅客から隔離し、PCR検査を事前に受けていない船員に対しては検査を実施する。
      • 原文 July 20, 2020, デンマーク船主協会(長谷部正道)
    • 【5】米海軍:航行の自由作戦を多用しすぎることのリスク
      • 【5】米海軍は7月15日にベネズエラ沖のカリブ海で6月以降2度目となる航行の自由作戦(Freedom of Navigation Operation :FONOP)を実施した。また、米海軍は、5月には30年振りに露の沿岸に近いバレンツ海においてFONOPを実施し、南シナ海においても中国の権益主張に対抗すべくFONOPを実施している。米国本土から離れた場所で実施する如何なる作戦もその目的は米国の安全保障や国益である必要があり、不測の事態を招き軍事的衝突に至ることを防ぐためには事前にその有益性を検討する必要がある。露や中国は国際貿易への依存度が特に高く、これらの国が米国の商船も含めて海上交通を阻害することは考え難く、定期的に慎重な巡回を実施することや戦闘技術を高い水準に保つことで抑止力を維持することができる。また、地域の友好国や同盟国が自ら接近阻止・領域拒否(A2/AD)の能力を高めるように促すことで、中国の軍事力による企みを抑止することができる。FONOPは慎重かつ賢明に使用する手段であり、これを多用し過ぎれば同盟国や友好国が自国の防衛力を向上させる意欲を奪い、米軍が不必要な負担を負うことになるだけでなく、将来的に米国が戦うべきでない戦争に巻き込まれる危険性を高めることになる。
      • 原文 July 18, 2020, The Diplomat(若林健一)
    • 【6】国際気象機関:パリ協定の目標を達成するためには大変な努力が必要
      • 【6】国際気象機関(WMO)は7月8日、英国気象庁主導の下、世界の気象予測機関が共同でまとめた2020-2024年の気象予測を発表した。WMO事務局長はこの予測に基づき、今世紀中の気温の上昇範囲を産業革命以前(1850-1900)の平均気温と比較して2℃以下に抑え込むというパリ協定の目標の実現には多大な努力を要すると発言した。具体的な予測の概要は以下のとおり。①今後5年間の世界の平均気温は、産業革命以前の平均気温と比較して0.91-1.59℃の範囲で高くなる見込み。②今後5年間で、月間平均気温が1か月以上産業革命以前の平均気温より1.5℃以上上昇する可能性は7割以下で、年間平均気温が1年以上産業革命以前の平均気温より高くなる可能性は2割以下である。③今後5年間の平均気温が産業革命以前の平均気温を1.5℃以上超える可能性は3%以下と見込まれている。④今後5年間、南氷洋の一部地域を除き、世界のほとんどの地域で近年(1981-2010年)の平均気温よりも気温が上昇する。
      • 原文 July 8, 2020, WMO(植木エミリ)
    • 【7】ワクチンの開発に成功してもウィルスを完全に消し去ることは困難
      • 【7】ジョンソン首相は今月17日にロックダウン緩和の追加策を発表し、今年のクリスマスまでに日常を取戻したい考えを示した。しかし、政府の緊急時科学諮問グループに属する専門家などは、ワクチンの開発に成功してもウィルスを完全に消し去ることはできず、今後何年にもわたって人類はウィルスと共存していかなければならないとの見解を示している。また、専門家らは、現実を直視することが重要でありクリスマスまでに日常を取戻すことは難しいとも述べており、この夏に油断をすれば感染の第2波は間違いなくやってくると警告し、検査体制の強化や治療薬及びワクチンの開発の重要性を訴えている。

        ※7/20の英国の感染者数:580人(日本510人の1.1倍、緊急事態解除基準47人の12倍)
        ※7/20の英国の死者数:11人(日本0人)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる
      • 原文 July 21, 2020, BBC(若林健一)
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