2020/07/01LROニュース(7)

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  • 2020.07.01 UP
    2020/07/01LROニュース(7)
    • 【1】英国政府: 7月にコロナ感染船員交代問題に関する国際サミットを開催
      • 【1】6月25日の国際船員の日にあたり、英国政府は、7月に国連機関・政治・経済界のリーダーを集めて、世界で初めてとなるコロナ問題関連(オンライン)国際サミットを開催すると発表した。サミットでは、パンデミックによって世界の海運産業が受けている影響を分析し、政府や海運業界が世界中の船員の福祉を守るために何をすべきか議論する。現在、世界の船舶においては、約120万人の船員が実際に乗務しており、このうち英国人船員2千人を含む20万人の船員が交代を待っている。英国政府は、船員の国籍にかかわらず、7千人以上の船員が帰国できるように既に支援を行った。英国政府は同国においてコロナ対策ロックダウンが開始された3月23日に、IMO/ILO/WHOの事務局長に書簡を送り、全ての国が英国に倣って船員の国籍にかかわらず、船員の帰国の支援を行うべきだと表明した。英国は現在でも、船員がPublic Health Englandの定める規則とsocial distancingを順守すれば、帰国を含め上陸をすることを許可している。
      • 原文 June 25, 2020, 英国政府(長谷部正道)
    • 【2】EUは2040年までの気候中立達成が可能
      • 【2】Climate Action Network(CAN)/ Europe Environmental Bureau (EEB)等の環境NGOは、EUが2040年までの気候中立を達成可能とする提言を発表したところその概要は以下のとおり。①欧州の指導者たちが炭素中立を目指しかつてない努力を約束している今、今後1年半から2年の間は、clean energyに転換するためエネルギー効率を上げ、再生可能エネルギーに投資し、化石燃料からの離脱を促進する重要な機会である。②地球の気温上昇を1.5℃以下に抑制するためには、EUは2030年までにCO₂排出量を65%削減し、2040年までの炭素中立の実現を目指す戦略が必要である。③そのためには2030年までに石炭、2035年までに化石ガス、2040年までに石油の使用を中止する必要がある。④将来のエネルギー供給体制において、エネルギーの効率化と再生可能エネルギーの利用拡大は二本柱であり、エネルギーの効率化・節約だけで2050年までにEUのエネルギー需要を半減することが可能である。⑤また再生可能エネルギーによる発電量を2030年までに4倍にすると、2030年はEUのエネルギー消費量全体の半分を賄い、2040年までには全てのエネルギー消費量を再生可能エネルギーで賄えるようになる。
      • 原文 June 29, 2020, Euractiv(植木エミリ)
    • 【3】北極海における「国際的な行動規範」が必要
      • 【3】在欧米海軍司令官は、軍艦や商船の通航量が増加する北極海において、航行の自由を確保し国際的な規範や慣習を維持していくためには、単に北極海におけるプレゼンスを高めるだけでは不十分であり、より多くの対話や調整の機械を創出する新たな革新的アブローチが必要であると述べた。同氏によれば、2014年に海上での偶発的な衝突を回避するため西太平洋海軍シンポジウムで合意した海上衝突回避規範(the Code for Unplanned Encounters at Sea:CUES)は太平洋や南シナ海における不測の事態を回避するために有効に機能しており、北極海についてもロシアを除く北極圏国7カ国の学識経験者や経験豊富な海軍職員がthe Newport Arctic Scholars Initiative(NASI)を組織し、対話の機会の創出に努めつつCUESの制定を目指しているが、現状ではCUESへの参加は3カ国にとどまる。また同氏は、NATOの海上戦略は2011年の更新が最後で、北極海における作戦行動の必要性、露によるクリミア半島の併合や潜水艦の増強、北極海における中国の台頭などの現状が考慮されていないとして更新する必要があるとした上で、対話の重要性を訴えつつも、北極海における米軍やNATO軍の能力の重要性も強調した。
      • 原文 June 26, 2020, USNI News(若林健一)
    • 【4】CAT: 海運分野のCO₂排出削減状況を取りまとめた分析を発表
      • 【4】政府等のCO₂削減政策を科学的に分析するNGO、Carbon Action Tracker (CAT)は、海運分野の取組状況を分析した報告を6月25日発表したがその概要は以下のとおり。①輸送あたりの平均CO₂排出量(carbon intensity)を、2030年までに対2008年比で40%削減するという目標は十分達成される見込みがあるが、海運全体のCO₂排出量を2050年までに半減するという目標の達成目途はたっていない。②海運分野の2020年におけるCO₂排出量は、パンデミックの影響により2019年比で18-35%低下すると見込まれている。③目標達成のために有望な代替燃料は、短距離輸送には持続可能エネルギーとバッテリーの組み合わせが、長距離輸送には水素・アンモニア・メタノールが考えられる。④海運業界から過渡的な燃料として期待されているLNGは製造時点からのライフサイクルでみると重油燃料よりGHGの排出量を増やすうえに、いったんLNG関連のインフラを整備すれば、さらに低炭素燃料に移行するのが難しくなる結果、化石燃料への依存を固定化する恐れがある。
      • 原文 June 25, 2020, Climate Action Tracker(植木エミリ)
    • 【5】MDAT-GoG週間海賊情報(6月19日から26日)
      • 【5】英国海軍及びフランス海軍が共同運営するギニア湾海洋状況把握(Maritime Domain Awareness for Trade – Gulf of Guinea:MDAT-GoG)が公表した6月19日から26日までの週間海賊報告書によると、6月24日午後2時30分ころ、ベナンのコトヌーの南約60海里の海上を航行していた漁船に2隻の小型船を使用して複数の賊が乗り込む事案が発生し、ベニン当局が巡視船を現場に派遣した。同日、被害にあった漁船は本件が発生する前にも2隻の小型船から追跡を受け、その際は襲撃を回避することに成功しており、本件はこれと同一の犯人グループによる犯行と考えられる。付近海域を航行する船舶は細心の注意を払うことが求められる。
      • 原文 June 27, 2020, MDAT-GoG(若林健一)
    • 【6】コンテナ海運会社の欠航戦略に不満をためる荷主・港湾関係者
      • 【6】2MやTHE Allianceが10月まで多くの航路で欠航戦略を続ける中で、海運会社は欠航しない航路の運航経路を変えたり寄港地を増やしたりして対処しているが、この結果、コンテナの積出港や到着港の変更によって、輸出入事業者には追加コストが発生し、物流チェーンの不確実性が増している。コンテナ海運会社自体も通常とは違う港でコンテナの積み下ろしを行うために、コンテナの個数が不足するなどの問題が生じている。また予定されていた港湾と実際に積み下ろしを行う港湾の間でコンテナを転送するスポットのフイーダー輸送も増え、追加コストが発生しているが、コンテナ海運会社にとっては、こうした追加コストより、欠航によるコスト節約効果の方がはるかに大きい上に、船腹量調整による運賃水準の維持・引き上げ効果も大きい。一方で、輸出入業者ばかりではなく、港湾関係者も海運会社の運航計画の変更によって、荷役作業や岸壁の予約の変更といった対応を強いられている。輸出事業者の中には、予定されていた港湾にコンテナを持ち込んだにもかかわらず、運航スケジュールの変更によって、港湾でコンテナを長期間保管された挙句、海運会社から保管料を請求され、制約していた運賃より高い運賃を請求されることさえあり不満が鬱積している。
      • 原文 June 29, 2020, The Loadstar(長谷部正道)
    • 【7】英国政府がレスター市に対して地域的なロックダウンを発令
      • 【7】英国政府は、イングランド中部の都市レスターにおける感染者の増加を踏まえ、7月4日からイングランド全域で導入する予定のパブやレストランの再開といったロックダウンの緩和策の導入を見合わせる考えを示していたが、これに加え、少なくとも2週間にわたり、すでに再開が認められている生活必需品を扱わない商店や学校を閉鎖するなど、より厳しい措置を課すことを決定した。先週国内で確認された感染者の約1割がレスター市で発生しており、政府はレスター市民に対し不要不急の外出や移動は避けるよう求めている。ジョンソン首相は他の地域においても同様の事態が生じれば地域的なロックダウンを発令することになると警告している。

        ※6/29の英国の感染者数:815人(日本112人の7倍、緊急事態解除基準47人の17倍)
        ※6/29の英国の死者数:25人(日本1人の25倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 June 30, 2020, BBC(若林健一)
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