2020/06/23LROニュース(7)

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  • 2020.06.23 UP
    2020/06/23LROニュース(7)
    • 【1】 中国の北極海進出の目的
      • 【1】中国が北極海において軍拡を図ろうとしていることを示す証拠は現時点において少なく、商業目的の開発が主な目的であるように見られるが、中国が軍の支援を受けて安全保障を重視した北極海戦略を推し進め、自国の権利の強化や利益の保護を図るべく能力を向上させていることは明らかである。2006年以降、中国政府は商業目的で北極海に関して外交や科学的な努力を積み重ねてきたが、遅くとも2014年以降は軍事的な手段により権益を保護するための能力開発を継続している。中国は北極評議会にオブザーバーとして参加しているが、中国による北極海での科学的調査活動については、北極海を利用する正当な理由を与えるだけでなく、地図の作成、測量及び監視を行うための技術的な能力を与えることになり、北極圏国もその意図に対して懐疑的である。中国軍が関与する北極海での調査活動では、航行安全や衛星監視に関する技術な面を超え、中国海軍の影響力が主要課題となっている。中国は、北極海の法的地位や航路についての法的解釈をめぐっては、南シナ海や東シナ海での自国の対応とは異なり多くの国と同様に国連海洋法条約を遵守すべきとの立場をとっているが、この矛盾は今後中国にとって課題となる。
      • 原文 June 16, 2020, High North News(若林健一)
    • 【2】 独仏連携水素輸送パイプライン構想と懸念
      • 【2】水素は燃焼時にCO₂を全く排出しないので化学・製鉄業などの脱炭素化のための燃料に適し、余剰の再生可能エネルギーからも製造でき、若干の手を加えれば既存のガスパイプラインで輸送することが可能である。6月15日には、独・仏・蘭・オーストリア・ベルギー・ルクセンブルグのエネルギー大臣が共同で欧州委員会に水素利用拡大の目標の作成を求めた。独は水素を2030年までに5GW、2040年までに10GW生産することを計画しており、仏・蘭も同様の投資を検討している。また5月には、独・仏の天然ガス供給事業者の間で、既存の天然ガスパイプ輸送インフラを改修して、独の工業地帯であるザール地方と仏のロレーヌ地方と南部ルクセンブルグを連結する総延長70kmの水素パイプラインの建設に合意した。EUでは現在年間800万トンの水素が消費されているが、その95%は再生可能エネルギーからではなく、天然ガスを原料として製造されていることから、環境活動家の一部は、独仏が連携した大規模な水素供給網建設計画に必要な再生可能エネルギーを原料とした水素の生産量が十分に増えなければ、結局、天然ガスを原料とした水素が代替製造されて、化石燃料たる天然ガスの生き残りに手を貸す結果になるのではないかと懸念している。
      • 原文 June 17, 2020, Climate Change News(長谷部正道)
    • 【3】 パンデミックが一帯一路事業に与える影響
      • 【3】中国は100か国以上の国々と、一帯一路(BRI)連携協定を締結し、鉄道・港湾・高速道路等の2600件を超えるインフラ建設事業(事業規模3.7兆ドル(約396兆円))を実施中だが、このほど中国政府がパンデミックに伴う人・物の移動制限によってこれらの事業が受けている影響を調査し、6月19日、中国外交部国際経済司が調査結果を発表したところ、4割の事業は殆ど影響を受けず、3-4割の事業がそれなりに影響を受け、残りの2割の事業が深刻な影響を受け、いくつかの事業の進行が停止しているが、計画中止に追い込まれた重大事業はないと説明した。BRI事業は、2018年にインドネシア・マレーシア・スリランカ等の政府から、事業が割高かつ不必要で受け入れ国の主権を侵害するとして、事業の見直し・破棄・事業規模の縮小を中国政府に求め、中国政府がいくつかの事業の規模の見直しを行った経緯がある。
      • 原文 June 19, 2020, Reuters(長谷部正道)
    • 【4】 BP: Statistical Review of World Energyを発表
      • 【4】BPが2019年の世界のエネルギー生産・消費に関する標記報告書を発表したところ、その概要は以下のとおり。①2019年の第一次エネルギー消費量の増加率は、2018年実績(2.8%)の半分以下となる1.3%に縮小した。②増加した全エネルギー消費量の3/4は再生可能エネルギーと天然ガスによるもので、原子力を除く全てのエネルギー源の増加率は、それぞれの過去10年間の平均増加率を下回った。③国別にみると、中国が世界全体のエネルギー消費量の増加分の3/4以上を占め、インドとインドネシアが続いた一方、米・独は最大の減少となった。④エネルギーの使用によるGHG排出量の増加率は、2018年が2.1%増加したのに対し、2019年は0.5%の増加に留まり、過去10年間の平均増加率1.1%の半分以下となった。⑤バイオ燃料を含む再生可能エネルギーの消費量は、他のエネルギーと比較して最大の伸びとなり、再生可能エネルギー全体で3.2EJ増加した。そのうち風力発電が1.4EJ、太陽光発電が1.2EJの増加となった。また国別の増加量は多い順に、中国0.6EJ、米国0.3EJ、日本0.2EJであった。
      • 原文 June 19, 2020, BP(植木エミリ)
    • 【5】 アントワープ港等が連携して5G Blueprint事業を開始
      • 【5】欧州委員会は、2020年9月から、5G技術を活用した公民連携事業である11件の5G-PPP事業を開始するが、オランダのインフラ・水管理省、ベルギーのフランドル地域の移動・公共事業省、スイス・チェコ両政府、North Sea Port港湾庁、アントワープ港湾庁は民間事業者と学術機関など全部で28の機関と協力して、公民連携(PPP)組織である「5G Blueprint」を立ち上げ、EUのHorizon 2020資金から3年間で1000万ユーロ(約12億円)の資金支援を受けて、5Gインフラを活用した遠隔管理(テレオペレーション)によって、国境間港湾交通・物流を如何により効率化できるか調査を実施する。具体的には、5G技術を利用して、貨物ターミナルや物流事業者の本社とトラック・船舶の間でリアルタイムの情報を交換して、サプライチェーンを効率化し、遠隔操作でトラック・船舶を操縦することによってドライバー・船員不足を緩和することについて調査を実施する。
      • 原文 June 18, 2020, North Sea Port(長谷部正道)
    • 【6】 Climate Action Allianceの結成と英国政府のGreen Recovery政策
      • 【6】COP 26の議長国である英国は、COP 25の議長国であるチリと共同で、6月5日の「世界環境の日」にあわせて、各国政府やビジネス界のリーダー達が、「脱炭素化を前提とした復興(zero-carbon recovery)」に賛同して、Climate Action Alliance (CAA)を結成するためのRace to Zeroキャンペーンを開始した。CAAは2021年11月に開催されるCOP 26において各国が自主的なCO₂削減目標(NDCs)に、炭素中立目標を盛り込むことを目指す。CAAには既に120ヵ国、1000社以上の企業、500の大学、500の地方公共団体が参加している。英国政府は2050年までの炭素中立を目指して、2030年までに環境関連産業で働くグリーンカラーの新規雇用を200万人創出するとしている。3月に発表された予算では、環境関係では、炭素回収・利用・貯留(CCUS)技術開発や電気自動車普及のためのインフラ整備に多額の予算を計上した。さらに、英国政府はコロナ経済復興対策を検討するために5つのWGを立ち上げ、そのうちのひとつは、炭素排出ゼロ社会への移行からどうやって経済成長の契機を見出すかというGreen Recoveryについて審議することとなる。
      • 原文 June 19, 2020, Latham & Watkins(長谷部正道)
    • 【7】 ドイツでのR値上昇を踏まえ英国政府が警戒
      • 【7】英国政府は6月23日にもパブ、レストラン、美容院などの接客業について7月4日以降の再開を正式に発表をすると見られ、Social Distancingの規則についても確保を求める距離の縮小を検討している。しかし、死者数や感染者数も少なくコロナウィルス感染拡大の抑制におおむね成功しているとされるドイツにおいて、規制措置の緩和後に実行再生産数Rの値が上昇していることを受け、英国政府は、規制緩和策が新たな感染拡大を招かぬようR値を注視しており、仮に上昇が見られれば規制を強化することになると警告している。

        ※6/21の英国の感染者数:1,221人(日本65人の19倍、緊急事態解除基準47人の26倍)
        ※6/21の英国の死者数:43人(日本1人の43倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 June 22, 2020, Evening Standard(若林健一)
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