2020/05/13LROニュース(7)

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  • 2020.05.13 UP
    2020/05/13LROニュース(7)
    • 【1】MDAT-GoG週間海賊報告書(5月1日から8日報告分)
      • 【1】英国海軍及びフランス海軍が共同運営するギニア湾海洋状況把握(Maritime Domain Awareness for Trade – Gulf of Guinea:MDAT-GoG)が公表した5月1日から8日までの週間海賊報告書によると、5月3日午前5時ころ、ガボン共和国のリーブルビルの西約20海里の海上および北西約36海里の海上で、それぞれトロール漁船1隻に対して複数の賊による乗船事案が発生している。付近では13人の賊が乗船した小型艇が目撃されている。MDAT-GoGの迅速・的確な対応を可能とするため、MDAT-GoGは航行船舶の船長等に対して事案発生を認知した場合は可能な限り早期に詳細な情報を報告するよう求めている。
      • 原文 May 11, 2020, MDAT-GoG(若林健一)
    • 【2】ギニア湾で増加し続ける海賊事件
      • 【2】4月30日ガボン共和国のリーブルビル沖の海上で、小型艇に乗船し武装した複数の海賊がタンカーを襲撃し乗組員10名を誘拐する事件が発生し、5月3日にも同海域において同様の手口で2隻のトロール漁船が襲撃を受け、それぞれ乗組員3名が誘拐される事件が発生している。犯行現場はナイジェリアを基地とする海賊の犯行が多発している海域で、昨年12月には、同様に小型艇に乗船し武装した賊がパナマ籍の上陸用舟艇を襲撃して船長を殺害し、その後中国籍トロール漁船2隻を襲撃して乗組員4名を誘拐し、最終的にエチオピア籍貨物船を乗っ取って逃走するという事案が発生しており、本件事案も同じ犯人グループによる犯行の可能性も捨てきれない。ガボン共和国の沖合は交通量も少なく、ナイジェリアのデルタ地帯の沖合と比較して事件発生件数もかなり少ないが、昨年から今年にかけて徐々に増加している。今回のタンカー襲撃事件は今年に入りナイジェリアの排他的経済水域内で発生した7件目の事例であり、今年の西アフリカ地域での海賊事件の発生件数は2019年とほぼ同じ傾向を辿り増加している。
      • 原文 May 5, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【3】欧州議会議員説明資料:コロナウィルスと人流・物流
      • 【3】欧州においてコロナウィルス禍が交通に与えた影響や各分野別の支援策を取りまとめた欧州議会議員説明資料を入手したところその概要は以下のとおり。(海運分野の個別事例については既に報告済みのもので新情報は無)①3月初旬、コロナウィルスの自国内への流入を回避するため、EU加盟国はシェンゲン協定加盟国間の国境管理を開始し、3月17日には、EU首脳会合において、EU域外からの必要不可欠でない旅行を共同で暫定的に制限することに合意した。②以上のEU域内・EU域外との旅行制限は全ての交通モードにおいて大幅な交通量の減少をもたらした。③3月13日、欧州委員会が発表したコロナウィルスに対する共通の対策の中で、ウィルス蔓延防止対策に加え、交通・観光分野など社会経済的に大きな影響を受ける分野の救済について取り組むことを表明。④欧州委員会は、EU域内における食料・医薬品・個人防護具(PPE)の円滑な流通を確保し、医療従事者や交通関係労働者などの自由な移動を保証するための対策を既に実施。⑤経済的な打撃を抑えるために、交通事業者等に対する国家支援の条件の暫定的な弾力化を欧州委員会は既に承認。
      • 原文 May 11, 2020, 欧州議会(長谷部正道)
    • 【4】ロッテルダム港:水素の欧州ハブ港湾を目指してインフラの整備を推進
      • 【4】ロッテルダム港湾庁は、最近発表されたオランダ政府の「水素活用の展望(Hydrogen Outlook)」に従い、同港において水素を製造・輸入・使用・転送するためのネットワークを構築する事業を様々な企業と連携して実施しているが、この度シェルが2023年にもロッテルダム港のMaasvlake 2地区において持続可能な方法で水素を製造するプラント(green hydrogen plant)を整備すると発表したが、ここで製造された水素をPernis地区のシェルの石油精製プラントに輸送するパイプラインをロッテルダム港湾庁とガス輸送事業者のGasnieが共同で建設すると発表した。ロッテルダム港は現在石油製品流通の欧州のハブとなっているが、21世紀のエネルギーである水素についても同港が欧州の中核ハブとなることを目指している。
      • 原文 May 7, 2020, ロッテルダム港(長谷部正道)
    • 【5】ReCAAP ISC: 4月月間海賊報告書
      • 【5】アジア海賊対策地域協力協定情報共有センター(ReCAAP ISC)が発表した4月の月間海賊報告書によれば、4月に同センターに報告された海賊事件は1件、武装強盗事件は8件で、船員の誘拐事件の発生は報告されていない。しかし、スールー海やセレベス海、東サバ州沖において発生する身代金目的での船員の誘拐事件や、継続的に発生するシンガポール海峡を航行中の船舶に対する違法乗船事件は、依然として深刻な懸案事項である。シンガポール海峡での違法乗船事件は4月16日から30日までの間に3件発生し、ReCAAP ISC は4月30日に同海峡を航行する船舶に対して警報を発表している。2020年に入り同海峡で発生した違法乗船事件は、前年同期が4件であるのに対し12件に達し、このうち11件は東航レーンを航行中の船舶が被害にあっている。また、インド、バングラディッシュ及びフィリピンにおける事件数の増加もあり、2020年1月から4月までに報告された海賊・武装強盗事件は計38件となり、前年同期の14件と比較して2.5倍以上増加している。
      • 原文 April. ReCAAP ISC(若林健一)
    • 【6】米海軍:冷戦後初めて北極海の定期的哨戒を開始
      • 【6】米軍の第6艦隊に所属しスペインのロタ港を基地とする駆逐艦3隻が、英海軍のフリゲート艦1隻とともにバレンツ海において哨戒を行い、冷戦終結後初めて北極海における定期的な哨戒任務を開始した。また、米海軍は欧州に配備する駆逐艦の数を4隻から6隻に増やすことを計画しており、北極海においてさらに多くの作戦行動が行われることが予想される。その大部分が露の排他的経済水域に含まれるバレンツ海において、米海軍は2018年に空母を、2019年には艦隊を哨戒任務のため派遣しているが、冷戦後長期間にわたり活動を行ってこなかったことが露の潜水艦による行動を自由にさせており、対潜水艦の最新装備を備えた駆逐艦3隻を今回派遣したことは露に対しバレンツ海を自由にさせないという意図を示す狙いがあるとみられる。露は北極海を安全保障及び経済活動の両面で重要視し、巡航ミサイルを備えた砕氷艦の建造、軍事基地や軍事施設の増強を進めており、また、露の排他的経済水域を通る北極海航路を通航する船舶に対し露の水先人を乗船させ通航料を課すことを画策しているとされ、中国による南シナ海での行動と同様に航行の自由の確保が問題となっている。
      • 原文 May 11, 2020, Defense News(若林健一)
    • 【7】英国でのコロナウィルス感染による死者数が既に4万人を突破
      • 【7】英国政府の発表によると、5月12日時点の英国内の感染者数の累計は前日から3,403人(50人)増えて226,463人(15,874人)、前日からの死者数は627人(22人)で死者数の累計は32,692人(643人)となった。しかし、英国統計局が公表したデータによると、イングランド及びウェールズでのコロナウィルス感染による死者数は5月9日までに35,044人に達しており、これにスコットランド及び北アイルランドでの死者数及び直近までの死者数を合計すると、英国全体での死者数の累計は40,496人となり、4万人を突破したことになる。他の欧州諸国の死者数はイタリアが30,739人、スペインが26,744人、フランスが26,604人、ドイツが7,661人となっており、欧州において英国が如何に最悪の状況にあるかが分かる。一方で、同データは、パンデミック以降初めてイングランド及びウェールズのすべての地域で死者数が減少したこと、イングランドのケアホームにおけるコロナウィルス感染による死者数が2週連続で減少したことなど、改善の兆しも示している。
        ※括弧の数値は厚生労働省発表による日本国内の5月12日時点の状況
      • 原文 May 12, 2020, The Guardian(若林健一)
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