2020/04/20LROニュース(7)

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  • 2020.04.21 UP
    2020/04/20LROニュース(7)
    • 【1】コロナウィルス経済対策として炭素税収を全て家計の支援に
      • 【1】(論説)現在、世界中の政府は、家計消費をどのように刺激し、その財源をいかに調達するかについて検討する局面を迎えており、エネルギー経済財政分析研究所(IEEFA)の研究者は、炭素税による税収を全て家計消費対策の財源として活用することを提案している。現在のEU炭素取引制度(ETS)と炭素税に基づく試算では、炭素税のコストは光熱費を通じて、一部家計に負担増とはなるが、欧州で炭素排出量1トンあたり25ユーロ(約2925円)課税し、その税収を全て各世帯に還元すれば、1世帯当たり370ユーロ(約43300円)支給することが可能で、光熱費の上昇分をはるかに超す経済的支援となる。コロナウイルス経済対策としてだけでなく、税収を家計に還元することによって、国民が炭素課税の引き上げを受け入れやすくなり、結果的にCO₂排出量の削減と炭素中立エネルギーへの移行を促すことになる。
      • 原文 April 15, 2020, energy post.eu(植木エミリ)
    • 【2】トランプ政権のエネルギー戦略と矛盾するANWRのエネルギー開発
      • 【2】(論説)ニクソン大統領以降の全ての米国大統領は、石油輸出機構(OPEC)が原油の生産量を管理して、価格を操作することに対して一貫して反対してきた。トランプ大統領は反対に、OPECに対して世界全体で協調減産して原油価格を維持するよう圧力をかけているにもかかわらず、自国の積極的な海洋資源開発には歯止めをかけず、米国の公用地や水域を石油会社にリースする動きを性急に推し進めている。北極圏国立野生動物保護区(ANWR)は、1960年代に民主党のアイゼンハワー大統領により、天然資源の開発が禁止されたが、トランプ政権は莫大なリース収入をあげられることを理由に、ANWRにおける史上初の石油資源開発を実行しようとしている。しかし、依然として多くのアメリカ国民がこの開発に反対しているうえ、昨今の原油相場の下落により、現在進んでいる二つの鉱区からのリース収入はわずか900万から1400万ドル(約9億7千万から15億1千万円)しか見込めない。世界中で石油がだぶついていることを考えても、ANWRにおける開発は、エネルギー政策として全く正当化できないものである。
      • 原文 April 9, 2020, The Hill(植木エミリ)
    • 【3】Novatek: 順調に進む北極海第2LNG事業
      • 【3】ロシア最大の民間天然ガス事業者であるNovatekが2022年末の操業開始に向けて建設を進めている北極圏第2LNG事業は、3つのLNG製造ラインで年間1980万トンのLNGを生産する予定だが、オビ湾を挟んでヤマルLNG事業所の対岸に位置するギダン半島の建設現場には、3月に世界で唯一の原子力砕氷貨物船によって、強化コンクリート・金属製の骨組み・大口径パイプなどの建設・電機資材が約2万トンがアルハンゲリスクから運び込まれた。建設工事は2016年にドックや道路の建設から始まり、その後事務所棟・居住棟・倉庫の建設などが進み、現在はムルマンスクでLNG生産工場の基礎となる重力着底構造(GBS)のプラットフォームを作成したうえで、プラットフォームを工場建設現場まで曳航して、海に着底させて、工場の基礎とする工程を進めており、建設計画より少し前倒しで建設が進んでいる。今回の輸送は原子力船の伴走が必要であったが、5月の末から6月にはオビ湾から海氷が消え、夏季は砕氷船の伴走なしで、貨物船による輸送が可能となる。
      • 原文 April 16, 2020, High North News(長谷部正道)
    • 【4】韓国与党の大躍進でGreen New Dealも実現へ
      • 【4】4月15日に行われた韓国総選挙において、現職の文大統領擁する「共に民主党」は大勝をおさめ、3月に公約として発表した、European Green Deal(EGD)をモデルとしたGreen New Deal(GND)に則り、アジアで最初の2050年までの炭素中立を目指す国として、GNDの具体化を進めていく。文大統領は、韓国とEU間の二か国間会議において、具体的な政策のすり合わせや共同で実施する事業について協議すると明言しており、GNDの具体的な内容としては、炭素課税、石炭関連の新規投資の中止、再生可能エネルギー資源への投資の重点化、水素エネルギーに関連する技術開発戦略といったEGDと同様の戦略が含まれる。欧州の環境担当大臣会合でも、コロナウイルス禍にめげず引き続きEGDを推進し、むしろEGDがコロナ復興経済対策を支える柱の一つになることについて合意している。
      • 原文 April 16, 2020, Forbes(植木エミリ)
    • 【5】2019年夏の北極圏の高気圧がグリーンランドの氷河の融解を促進
      • 【5】2019年夏に、グリーンランド表面の氷河が史上最大規模で融解したが、コロンビア大学の研究者等が4月15日に発表した研究結果によれば、原因は単なる気温の上昇だけではなく、高気圧が極めて異例に長く北極海上空に居座った結果、グリーランド上空の大気の流れと雲の形成に大きな影響を与えたのが、大きな原因であることが分かった。この北極圏に居座った高気圧により、グリーンランド南部上空で雲がほとんど発生しなかったため、降雪量も極めて少なかった。この結果、氷河の表面の雪が少なくて太陽光を反射しきれず、氷河の表面に直接太陽熱が吸収されることとなった。さらに高気圧は時計回りに渦を巻いているので、グリーンランド南部の湿気を含む暖かな空気を、グリーンランド北部にある氷河の西側に持ち上げ、熱をたっぷり含む雲をグリーンランド北部上空に形成して、氷河の融解を促進した。
      • 原文 April 16, 2020, E&E News(長谷部正道)
    • 【6】ロックダウンの影響で英国でも倉庫収納能力の上限に近づく
      • 【6】英国倉庫協会(UKWA)が会員企業に対して実施したアンケート調査によれば、コロナ対策としての小売業や製造業のロックダウンにより、国民の日々の生活に不可欠ではない一般的な商品の在庫が蓄積する一方で、既に購入契約済みの輸入貨物が続々と英国の港湾に到着しているため、回答者のうち9割の倉庫事業者では既に倉庫が満杯になって、追加の受け入れ余地がない状況になっていることが分かった。UKWAの見通しでは、英国の港湾に到着するコンテナの量は当面1週間当たり約4万5千TEUとなる見込みで、ロックダウンが解除され小売業が再開するまで、1週間当たり約75万パレット分の収納スペースが追加的に必要となると思われ、5月末には輸入量が減少することが見込まれるが、4月から5月にかけて、輸入貨物を収納する倉庫を見つけることは極めて困難になると予想している。このような状況に対処するため、UKWAはCOVID-19非常スペース登録制度をオンラインで立ち上げ、倉庫の空きスペースに関する情報を一元的に管理・共有することとしている。
      • 原文 April, 2020, 英国倉庫協会(長谷部正道)
    • 【7】ケアホームなどの施設で4,000人以上の感染者が死亡
      • 【7】英国政府の発表によると、4月19日時点の英国国内の新型コロナウィルス感染者数の累計は前日から5,850人(556人)増えて120,067人(10,219人)、前日からの死者数は596人(7人)で死者数の累計は16,060人(161人)となった。英国政府は、4月3日までにイングランド及びウェールズのケアホームなどの施設で新型コロナウィルス感染により死亡した人の数は217人としているが、高齢者支援を行う非営利団体The National Care Forumは、英国内のケアホームなどの施設で新型コロナウィルス感染による死者数が4月13日までの1ヶ月で4,040人に及ぶとの推計を公表し、急激な感染拡大を訴えている。また、感染者の治療にあたる医療従事者用の保護具の不足が問題となっており、4月19日にトルコから到着する予定であった医療用ガウン40万着の到着も遅れている。政府は4月17日に、医療用ガウンが不足した場合には再利用も含めた代替措置を講じるようこれまでの勧告を変更したが、医療従事者の命を危険に晒すことになると批判の声も上がっている。
        ※括弧の数値は厚生労働省発表による日本国内の4月19日正午時点の発生状況"
      • 原文 April 19, 2020, BBC(若林健一)
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