2020/04/16LROニュース(7)

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  • 2020.04.17 UP
    2020/04/16LROニュース(7)
    • 【1】 コロナ危機が欧州の気候変動対策とEuropean Green Dealに与える影響
      • 【1】欧州議会事務局が表記議員説明資料を作成したところその概要は以下のとおり。①コロナウイルス対策により、人々の移動や経済活動が劇的に減った結果、エネルギー消費量とGHG排出量も大幅に減少した。またエネルギーとGHG排出権の価格も急落したが、2009年の世界金融危機以降創設された、実際の需要に合わせて排出権の供給を自動的に調節する市場安定化留保(MSR)制度によって排出権取引額の暴落を防いでいる。③パンデミック終息後は、コロナウイルスによって落ち込んだ経済を建て直すための施策が必要とされる中で、European Green Deal(EGD)は経済復興の妨げになると考える政府もあるが、欧州委員会と大多数の加盟国は、EGDを景気回復に資する成長戦略とみなしている。④人の移動と大規模な集会の制限により、EUの関係機関がスケジュールや議題、優先順位を変更しており、EGDの立法手続きは遅れる可能性がある。⑤国連気候変動枠組条約(UNFCCC)・国際民間航空機関(ICAO)・IMO等においても、重要な会議が中止・延期されている関係で影響を受けている。
      • 原文 April 14, 2020, 欧州議会(植木エミリ)
    • 【2】 船員交代の支援についてICSとIATAが共同声明
      • 【2】国際航空輸送協会(IATA)と国際海運会議所(ICS)は、各国政府に対し、早急に船員交代のための航空便の運航支援を求める共同声明を4月15日発表したところ、その概要は以下のとおり。①各国政府の旅行規制によって、業務が終了した船員が帰国し、交代要員が乗船する港湾に移動するための航空便が運航できない状況になっている。②IATAとICSは特定の空港を利用して、船員の交替を支援するための安全で現実的な方策を共同で検討し政府に提案したい。③各国政府が船員交代のために使用出来る空港を指定し、船員が当該空港にアクセスできるよう検疫・出入国規制を変更できれば、航空会社は船員交代に必要な航空便を運航する用意がある。④以上の指定空港は主要な海上輸送ルートに近く、かつ船員の主要供給国である中国・インド・フィリッピン・東欧諸国等との間の航空路線が開設されている空港が望ましい。⑤各国が実施している乗客等を対象にした厳格な検疫措置を、自国民と接触する可能性のない、航空機のクルーや船員にそのまま適用すれば、航空会社や海運会社が世界的なサプライチェーンを維持するための不必要な支障となる。
      • 原文 April 15, 2020, ICS(長谷部正道)
    • 【3】 ICC-IMB: 2020年第1四半期海賊報告書
      • 【3】国際商業会議所の国際海事局(ICC-IMB)は2020年第1四半期における海賊・武装強盗に関する報告書を公表したがその概要は以下のとおり。①本報告書は、2020年1月1日から3月31日までにIMBの海賊情報センター(PRC)に報告された計47件(未遂を含む。)の海賊・武装強盗事件について分析している。②47件のうち37件で実際に賊が被害船舶への移乗に成功し、未遂に終わった10件のうち4件で賊が被害船舶に対して銃器で発砲している。前年同期に続いてハイジャックは発生していない。③誘拐事件は4件発生し計22名の船員が誘拐された。このうち3件がギニア湾で発生し計17名の船員が距岸45海里から75海里の沖合で誘拐されている。5名はマレーシアのサバ州沖で漁船から誘拐されている。④ギニア湾で発生した事件は21件で、このうち12件が平均して70海里沖合を航行中の船舶を対象に行われており、発表事件4件はすべてナイジェリアの排他的経済水域内で発生している。⑤ソマリア沖で発生した事件の報告はないが、引き続きベストプラクティスの励行が求められる。⑥シンガポール海峡を航行中の船舶を対象に発生した事件は5件で、数件で賊が刃物で武装していたことが報告されている。いずれの事件も場当たり的な犯行であると考えられている。
      • 原文 April, 2020, ICC-IMB(若林健一)
    • 【4】 豪の港湾等でコンテナの滞貨が深刻な状況に
      • 【4】インドでは経済活動が徐々に停止するのとともに、輸入貨物が収集されなないまま港湾等に放置されているが、世界中の他の港湾やコンテナ貨物基地でもコンテナの滞貨が進んでいる。豪でも小売店が依然閉鎖されているため、ビクトリア州では港湾内のコンテナの収容スペースがあと1か月もしないうちに無くなる危険性が指摘されている。メルボルン港の港湾管理責任者は、20便を超えるコンテナ船の欠航によって、本来中国に送り返すべき空コンテナが港内に大量に放置されているのも、コンテナ収容スペース不足の大きな一因となっており、コロナウィルスが蔓延する前に中国に発注された貨物がむこう数週間以内に同港に到着するので、同港内のスペースでは収容しきれず、港湾の外に臨時のコンテナ置き場を確保する必要があると語っている。このような港湾内の混雑の結果、コンテナ貨物の引き取りや海運会社へのコンテナの返却が遅れて、コンテナの超過保管料や返却延滞料金を海運会社から請求されないか一部の荷主や物流事業者は懸念している。
      • 原文 April 15, 2020, The Loadstar(長谷部正道)
    • 【5】 EMSA: Outlook 2020を発表
      • 【5】欧州海上保安機関(European Maritime Safety Agency:EMSA)は4月15日、新規5カ年戦略を実現するため2020年に実施する具体的な行動計画「EMSA Outlook 2020」を公表したがその概要は以下のとおり。①新規5カ年戦略のもとでは、安全、保安、監視、簡素化及び持続可能性の5つの分野を優先事項と位置付けている。②「持続可能性」の分野については、引き続き船舶からの排気ガス規制、代替燃料、船舶リサイクル等の問題についてEUや加盟国に対して専門知識を共有することにより支援する。③「安全」の分野については、操船及び船体運動に関する研究と自律運航船に関する研究を実施する予定。また、コンテナ船に関する安全対策についてのアクションプランに取り組む。④「保安」の分野に関しては、2019年に導入したTHETIS-EUの新たなモジュールを活用して加盟国に対して、実施する洋上での立入検査やEUなどと協力してサイバーセキュリティーに関するフォローアップを支援する。⑤「監視」の分野に関しては、海洋汚染や大気汚染の監視のために180日を目標に遠隔操縦無人機を加盟国の活動に派遣する。⑥「簡素化」の分野については、事務手続きの負担を軽減させるため海上運送に関する報告窓口の一元化を進め、2020年にはこれに関連する保安と相互運用性に関する2つの研究を終える予定。
      • 原文 April 15, 2020, EMSA(若林健一)
    • 【6】 化学タンカーがフジャイラ沖で海賊に乗船される
      • 【6】4月14日午後0時48分ころ、フジャイラの北東約50海里の沖合で錨泊していた香港籍ケミカルタンカーに武装した複数の賊が乗り込み、その後同船はイランの領海内に移動し現在は同船の船長の指揮下にある。同船には22名の中国人船員が乗船していた。本件に関しては、事故なのか、あるいはイランが関与しているのかなど詳細は不明であるが、同船が留まっている位置付近では商業活動が行われているという情報はない。同船は香港籍であるものの中国政府が主権侵害とみなす可能性もあり、現在も中国がイランからの石油の輸入を継続している状況からイランが関与しているとは考えにくいが、現在イランは新型コロナウィルス感染拡大、米国による制裁及び石油価格の下落により追いつめられており、現状を打開するために何等かの行動に出た可能性は捨てきれない。
      • 原文 April 14, 2020, Dryad Global (若林健一)
    • 【7】英国政府が現在の外出禁止措置を3週間延長することを決定
      • "【7】英国政府の発表によると、4月12日時点の英国国内の新型コロナウィルス感染者数の累計は前日から4,603人(457人)増えて98,476人(8,100人)、前日からの死者数は761人(10人)で死者数の累計は12,868人(119人)となった。英国政府は16日の記者会見で、現在実施している外出禁止措置をさらに3週間延長することを正式に発表した。政府は現在の措置は効果を発揮しているものの、さらに感染率を低下させる必要があるとして、現在の措置に関する如何なる変更も再び感染者の急増を招く危険があるとの考えを示した。また、政府は決定については次の5点を考慮する必要があるとした。①国民保健サービス(NHS)がこの難局を乗り切れることが確実となること②一日の死者数の減少が持続していることを示す証拠③感染率が管理可能なレベルまで低下していることを示すデータ④課題となっている検査の実施数や感染防止装備の配給などをクリアすること⑤如何なる変更も再度の感染ピークを招く危険がないこと。
        ※括弧内の数値は厚生労働省発表の4月15日時点での日本国内での発生状況"
      • 原文 April 16, 2020, BBC(若林健一)
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