2020/04/15LROニュース(7)

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  • 2020.04.16 UP
    2020/04/15LROニュース(7)
    • 【1】ABBとHDFが大型船舶用メガワットクラスの燃料電池の開発に合意
      • 【1】ABBは4月8日、高度な水素技術を持つHydrogène de France (HDF)社と共同でメガワット規模の発電能力を有する燃料電池プラントを組み立て・製造するためのMOUを締結した。ABBは2018年6月にプロトン交換膜(PEM)燃料電池の世界的な生産者であるBallad Power Systemと協力関係を締結しているが、当該新システムは、ABBとBalladが共同開発したメガワット規模の燃料電池の技術をベースに、ボルドーにあるHDFの新工場で生産される。燃料電池は、再生可能エネルギーによって製造された水素を原料に使用するため、エネルギーチェーン全体をクリーンにすることが可能になる。世界全体で排出されるGHGガスのうち、2.5%を海運業界が占めていることから、海運業界に対しより持続可能な動力源への移行を求める声は高まっており、同グループはこのゼロエミッション技術を舶用の動力源として利用可能にするための第一歩としてMOUを締結した。舶用の燃料電池は既に、短距離の小型フェリーや、大型船舶の補助機関として実用化されているが、大型船の主推進機関として開発されるのは初となる。
      • 原文 April 8, 2020, ABB(植木エミリ)
    • 【2】HRAS: 船員と乗船の機会のある海事関係者にPPEの支給を
      • 【2】英国のNGOの「海上における人権(Human Rights At Sea: HRAS)」は船員を含む海事関係者にコロナウィルスに対する「個人保護装備(Personal Protective Equipment: PPE)」の十分な支給を求める声明を発表したところその概要は以下のとおり。①多くの船員から、船員及び船員と船上で接触する可能性のあるサーベィヤー・船舶代理店関係者・水先人・港湾労働者等の海事関係者にPPEを支給して欲しいという要望がHRASに寄せられている。②2006年の海事労働条約の規則4.3は「加盟国は自国船籍船の乗組員に対して業務上の健康と人命が保証され、船上で安全で衛生的な環境で作業・訓練をうける権利を保障しなくてはいけない。」と規定している。③世界的にも各国の港湾管理者が船員にPPEの装着を義務付ける規制が増えている。④英国港湾協会の理事長によれば、英国のいくつかの港湾においては消毒液やマスクといった基本的なPPEでさえも底をついてきており、この結果、港湾におけるコロナウィルスの大規模な感染が発生することが懸念されるとしている。⑤バングラデシュのチッタゴン港では、船長が乗組員と現地のPPEをしない未検疫の港湾労働者との接触を懸念して、乗組員に適正なPPEが供給されるまでは荷役作業を拒否するという事例まで出ている。
      • 原文 April 13, 2020, Human Rights at Sea(長谷部正道)
    • 【3】中国海軍空母「遼寧」が南シナ海で演習を実施
      • 【3】日本の防衛省や台湾メディアは4月11日に、空母「遼寧」、052D型ミサイル駆逐艦2隻、054A型ミサイルフリゲート艦2隻及び補給艦1隻から成る艦隊が4月10日に宮古海峡を通過していると伝えていたが、中国海軍は4月13日正式に、空母「遼寧」が率いる艦隊が訓練を実施するために、宮古海峡及びバシー海峡を通過して南シナ海に入ったことを発表した。中国海軍は、今回の行動は年間計画で定められたもので国際法や国際条約に沿ったものであると主張しており、空母艦隊の組織的な戦闘能力を向上させるため引き続き同様の訓練や演習を計画に従って定期的に実施していくと述べた。今回の「遼寧」率いる艦隊の行動は、米軍の空母艦隊が新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け不在のなか、中国が台湾を武力により統一する動きに出る可能性があるという台湾メディアの憶測を呼んでいる。
      • 原文 April 13, 2020, Global Times(若林健一)
    • 【4】NASAの海氷観測衛星を浅い海の地形図作成に活用
      • 【4】NASAのICESat-2衛星はもともと極圏の海氷の高さの変化を観測するために、2018年後半から運用を開始したが、南太平洋のビキニ環礁を観測した際に、海面下のサンゴ礁の地形も衛星画像で把握できることが分かった。この発見を機会に、4月初めからアリゾナ州立大学の研究者達が、世界の海岸沿いの浅い海底の地形図を作成する事業を開始した。衛星からの緑レーザーは水深40mのまでの水深を測定することが可能で、サンゴ礁の全体像や健康状態までモニターすることが可能である。深海底の大部分について海底地形図がないことは指摘されてきたが、沿岸部の水深5m以下の浅い海についても、観測船からのソナーを使用した海底観測をすることができないことからwhite ribbonと呼ばれ、従来海底地形図の空白地帯となっていた。浅い海域の海底地形図ができれば、船舶運航の安全性の向上につながるだけでなく、USCGや米国家地理空間情報局(NGA)も当該情報の利用に関心を示している。
      • 原文 April 14, 2020, Science(長谷部正道)
    • 【5】コロナウィルスの影響でIMO 2020規制の遵守状況の確認が手薄に
      • 【5】(論説)英国海事沿岸警備庁(MCA)は、海上輸送の円滑化のため、IMO2020規制の遵守状況を確認する検査を一時的に停止すると最近発表した。(当該規制違反の通報を受けた場合等検査が必要と認められる場合は検査を実施する。)世界の港湾当局もコロナウィルス感染対策と海上輸送の円滑化を優先する中で、規制の遵守状況の確認は優先順位が下がっているのが実状である。規制適合油に関しては、残滓が発生する可能性のあるブレンド油などを除いて、事前に懸念されていたような問題は指摘されていないが、スクラバーの設置については、中国の造船所における改修工事がコロナウィルスの影響で大幅に遅れていることに加え、原油価格の暴落により重油燃料と規制適合油の価格差が縮まっており、この状況が長引けば、スクラバー設置の経済的合理性は疑わしくなる。いずれにせよ、このパンデミックが終息するまで、IMO2020規制の遵守状況と、規制順守を担保するための検査の有効性について包括的に評価することは難しいだろう。
      • 原文 April 15, 2020, Hill Dickson(植木エミリ)
    • 【6】ECSAとETFが欧州委員会に各加盟国の船員交代規制の整合化を要請
      • 【6】欧州船主協会(ECSA)と欧州交通労連(ETF)は、欧州委員会の交通担当コミッショナー等に対して、EU加盟国の船員交代に関する措置の整合性をとるよう要請する文書を共同で4月14日発出したところその概要は以下のとおり。①両組織は欧州委員会が4月8日に発表した「乗船中の船員・旅客等の健康保全・帰国に必要な移動手段の調整に関するガイドライン」の内容を支持する。②このガイドラインによって、ガイドラインに適合しない各国の一方的な移動規制措置が是正され、乗船中の船員が帰国できない問題や交代要員が乗船できない問題が解決され、また船員がコロナウィルスに感染するリスクが軽減されることを期待する。③このガイドラインに従って、欧州委員会が船員交代に関する政治的な合意案を作成し、理事会に提案することを要請する。④欧州対外行動庁(EEAS)が、海外や公海上の船舶に取り残されているEUの船員の帰国に必要な支援を行うとともに、EUから出国できない非EU諸国の船員の帰国を支援することも要請する。
      • 原文 April 14, 2020, ECSA(長谷部正道)
    • 【7】新型コロナウィルス感染による死者数が全死者数の5分の1を占める
      • 【7】英国政府の発表によると、4月12日時点の英国国内の新型コロナウィルス感染者数の累計は前日から5,252人(315人)増えて93,873人(7,645人)、前日からの死者数は778人(7人)で死者数の累計は12,107人(109人)となった。英国統計局(ONS)の報告によると、4月3日までの一週間のイングランド及びウェールズにおける新型コロナウィルス感染による死者数は3,475人に達し、これは全死者数の5分の1以上を占める結果となっている。通常この時期はインフルエンザ感染者が減少することに伴い死者数は減少傾向を辿るが、通常より6,000人多い16,000人という記録的なレベルに達し、ONSが調査結果の公表を開始した2005年以降最多となった。新型コロナウィルス感染による死者数は増加した6,000人のうち半数余りの3,475人とされているが、他にも感染を確認できなかったケース、外出禁止措置の影響により通院を控えたことや精神疾患となったことが原因となったケースが影響している可能性があるとして、さらなる調査を求める専門家の意見もある。※括弧内の数値は厚生労働省発表による日本国内の4月14日正午時点の発生状況
      • 原文 April 14, 2020, BBC(若林健一)
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