2020/03/18LROニュース(7)

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  • 2020.03.19 UP
    2020/03/18LROニュース(7)
    • 【1】 主要国際海運業界団体がIMO 2020規制実施状況について意見交換
      • 【1】BIMCO/INTERCARGO/ICS/INTERTANKOの国際海運4団体から構成される国際海運円卓協議会(RT)は2月、ローマで事務局長会議を開催し、IMO2020規制の実施状況について意見交換を行った。当該規制の実施によって、IMOは船舶からのSOxの排出量が77%(850万トン)減少すると予測しており、国際海運関係4団体は、規制導入から2ヶ月が経過し、船主が規制を遵守することについては、慎重でありつつも楽観(cautionusly optimistic)しているが、VLSFOの使用は船主にとっては前例のない規模の世界的な変更のため、新たな経験の積み上げが必要であるとした。規制の円滑な実施のためには、海運業界ばかりではなく、燃料供給事業者が規制適合ブレンド油の基準を作成すること、旗国が問題点についてIMOに適切に報告すること、寄港国がPSC検査官の教育・訓練を適切に行うことなど関係者全ての協力が必要である。またこれまでに旗国からIMOに報告された規制適合油調達不能証明書(FONAR)の数は少ないものの、これは全世界的に規制適合油が適切に供給可能であることを示すものではなく、船舶が規制適合油を調達するまでに必要以上の時間がかかったり、供給を受けるために寄港地を変更しなくてはならないなどの問題点が存在することを指摘した。
      • 原文 March 9, 2020, BIMCO(植木エミリ)
    • 【2】 コロナウィルス:東京MoUが検査の延期等についてガイダンスを発表
      • 【2】東京MoUは、2006年海事労働条約(MLC 2006)やIMOの関連条約の適用にあたり、同MoUに加盟するPSC当局が、船員の雇用期間の延長や法定の次回検査・監査期限の延長を含む、現実的・柔軟な対応をとるためのガイダンスを、3月12日発表したところその概要は以下のとおり。①コロナウィルスの影響による特例措置の延長は、個々の申請に基づいて、ケースバイケースの原則のもとに、各PSC当局が判断することがあくまで原則であること。②特例申請にあたり旗国・認定代行機関(RO)・(必要に応じ)関係する船員機関の合意を得て特例申請をすべきことを、PSC当局は船社に対して要請する。③特例申請をする船社は、特例申請にあたり、COVID-19の影響に対する今後の対処方針と、3か月以内の検査・監査等の延期を認める旗国・ROによる適用除外承認書を提出すること。
      • 原文 March 12, 2020, 東京MoU(長谷部正道)
    • 【3】 EU: 漁業補助金の削減の可否が大きな争点に
      • 【3】EUにおいては、2004年に漁業資源の保全のために、漁船建造費補助金が禁止されたが、2019年から、この禁止措置の見直しが議論されており、2021年から2027年を対象期間とする欧州海事・漁業基金(EMFF)の次期予算案の審議にあたり、漁船建造費補助の再導入を図る欧州理事会・欧州議会と、再導入に反対する欧州委員会の間で激しい3者協議(trialogue)が行われることが予想される。具体的には、スペイン・ギリシャ・ポルトガル・ポーランド・仏・伊の諸国が漁船建造補助金の再導入に向けて積極的なキャンペーンを張っている一方で、いくつかの加盟国は再導入に強く反対している。
      • 原文 March 10, 2020, Seas At Risk(長谷部正道)
    • 【4】 EU及び国際的なギニア湾における海賊防止対策について
      • 【4】ギニア湾は、漁業資源も豊富で、海上運送における重要な航路の一部をなし、エネルギー資源の貿易活動の戦略的拠点にもなっている。しかし、失業や貧困、脆弱な法執行体制、汚職などにより、ギニア湾における海賊・武装強盗事件は過去10年間絶えず増加し、2018年には112件の海賊・武装強盗事件が発生するなど世界で最も影響を受けている海域となり、西アフリカでは2017年の経済的損失は7億5千万ユーロ以上に達している。これに対してアフリカ地域では、2013年に海賊、テロ、違法漁業などの国際的な海上組織犯罪に対抗するため、中部アフリカ経済共同体(ECCAS)や西アフリカ経済共同体(ECOWAS)などがヤウンデ行動指針(Yaounde Code of Conduct)を策定、2016年にはアフリカ地域の海上保安の強化を図るためロメ憲章がアフリカ連合により採択された。国際的な取り組みとしては、国連海洋法条約第105条が海賊行為に対する司法管轄権の行使をいずれの国にも認めているほか、国連安全保障理事会も海賊・武装強盗を非難し地域連携を促す決議などを採択している。また、G7や欧州諸国はヤウンデ行動指針の実施を支援するためG7++ギニア湾フレンズ・グループ(G7++Friends of the Gulf of Guinea)を創設している。EUは、2014年の海洋安全保障戦略(EU maritime security strategy:EUMSS)において海洋安全保障を優先課題とし、ギニア湾など重要な海域での地域的な対応を含め、情報共有、能力開発、調査研究などの行動計画を策定・更新しているほか、地域諸国の海上保安戦略の実施や必要な装備・施設の確保を支援するために、5千5百万ユーロ以上の財政支援も行っている。
      • 原文 March 12, 2020, 欧州議会(若林健一)
    • 【5】 船員電話相談にコロナウィルスに関する問い合わせが殺到
      • 【5】iCall(initiating concern for All)は無料の電話・emailによる悩み事相談サービスだが、船員むけのiCall for Seafarersはシンガポールの船舶管理会社のSynergy Groupが、インドのムンバイにあるTata Institute for Social Science: TISS)と連携して、2018年10月から開始したサービスであるが、2月に入ってから相談件数が4割増加し、そのほとんどがコロナウィルスに関する相談であり、こうした状況に適切に対応するためカウンセラーの数を15人に増員して対応している。iCall for Seafarersは10か国語に対応し、24時間365日、電話・email・チャット(nULTA)による相談を受け付けている。船員はこうしたパンデミックの状況下で消費者が必要な日用品を含む国際貿易の最前線で働いており、必要な支援があたえられるべきである。15人のカウンセラーは全員臨床心理学またはカウンセリング心理学の修士号を取得しており、メンタルヘルス・今後のキャリアの関する不安・船員間の人間関係・自殺/自傷問題・ワークライフバランスの問題を含む20の分野の健康問題の相談に対応することが出来る。
      • 原文 March 12, 2020, American Journal of Transport(長谷部正道)
    • 【6】 2050年までに世界的にGHG中立を目指すための道筋
      • 【6】米戦略国際問題研究所(CSIS)のエネルギー安全保障・気候変動プログラムは、今後シリーズで「2050年までに世界的なGHG中立を目指すための道筋」というテーマに取り組んでいくが、第1回目として発表された論文の概要は以下のとおり。①最新の科学的な統一見解では、気候変動を安定化し、気候変動による壊滅的な効果を回避するためには2050年までにGHG中立を実現する必要がある。②この目標を実現するには多くの方法があり、例えば大気からの二酸化炭素回収貯留(CCS)などの新技術に過度に頼ることなく、化石燃料の利用を大幅に削減し、我々の消費行動も大幅に変更するといった選択肢から、全く逆にCCSなどの新技術に依存して、エネルギー消費や消費行動をあまり変えないという選択肢もありうる。③GHG中立に取り組む各国の経済環境はそれぞれに異なるため、GHG削減の手法もまた様々であるということを認識し、各国が抱える課題を克服するために、効率的かつ公平な方法による国家間での協力が必要である。
      • 原文 March 10, 2020, CSIS(植木エミリ)
    • 【7】 英国内のコロナウィルスに対する動向(3月18日現在)
      • 【7】3月18日、IMOはコロナウィルスの影響により、以下の会議の延期を決定した。
        1.the 44th session of the Facilitation Committee(FAL), (4/20-4/24)
        2.the 2nd meeting of the IMO Expert Group on Data Harmonization (IMO EG (EGDH)), (4/27-5/1)
        3.the Port symposium “A Holistic approach to standards for port operational data in maritime supply chains"", (4/30)
        4.the 102nd session of the Maritime Safety Committee(MSC), (5/13-5/22)
        英国政府の発表によると、3月18日時点でのイギリス国内においてコロナウィルス検査で陽性となった人数は2,626名、死者71名で、前日比では感染者676名増加、死者は16名増加となったが、実際の感染者数は3万5千人から5万人に上るものと予測されている。
      • 原文 March 18, 2020 IMO
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