2020/02/17LROニュース(6)

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  • 2020.02.18 UP
    2020/02/17LROニュース(6)
    • 【1】USCG: 2021年度予算案に2隻目の大型砕氷巡視船が盛り込まれる
      • 【1】2月10日に発表された米連邦政府の2021年度予算案によると、米国沿岸警備隊(US Coast Guard:USCG)の年間予算は約123億ドルで、2020年度予算と比べ0.06%の増額となった。2020年度予算では2隻目となる大型砕氷巡視船(Polar Security Cutter:PSC)の建造に必要な物資の購入を開始するため約1億ドルを計上しているが、2021年度予算案では建造に必要な残りの5億5千5百万ドルを計上している。USCGは昨年4月に1隻目のPSCの設計及び建造について、約7億4千5百万ドルでミシシッピ州にある造船企業と契約を結んだが、同契約はさらに2隻のPSCを建造計画が含まれるれ、USCGは今後数年のうちに6隻のPSCを就役させたい考えを表明している。同造船企業は、1隻目のPSCの完成は2024年となり、2隻目及び3隻目の建造が実施されればそれぞれ2025年及び2027年の完成となると述べているが、米連邦議会行政監査局(Government Accountability Office)は予定どおりの完成は困難との見方を示している。現在USCGが運用する大型砕氷巡視船は1隻で、その船齢は44年を迎え解役の時期が迫っており、大幅な建造計画の遅れはUSCGの極地域での砕氷能力に空白を生じさせることになる。
      • 原文 February 12, 2020, High North News(若林健一)
    • 【2】米:地位協定の破棄は中国を利するだけと比に説得
      • 【2】2月11日、比外務大臣は在比米国大使館に対して米国との訪問軍に関する地位協定(The Visiting Forces Agreement:VFA)の破棄を通知したことを発表したが、同通知は180日後に発効することから、この間に米国や比政府又は比軍の協定破棄に反対する勢力による猛烈な抵抗が予想される。米国防長官は同日、米比両国は他の同盟国とともに中国に対して国際規則を遵守することを迫り、大国である中国と渡り合うためには米のプレゼンスを強化する必要があることを理由に、比のVFA破棄の決定の動きは誤った方向に向かっていると述べた。VFAは1998年に結ばれ、比国内にある米軍や米沿岸警備隊に所属する個人や装備に関する条件の大枠や、米兵等に対する司法管轄権や司法手続などについて規定しており、VFAの破棄は、米艦船による寄港や合同訓練など比国内で行われる多くの米軍の活動に支障をきたすことになる。今年3月には、2014年の米比拡大防衛協力協定(Enhanced Dfence Cooperation Agreement)など両国間の取組みについて話し合われる米比戦略対話(US-Philippines Strategic Dialogue)が予定されており、VFA破棄を巡る問題が議題の多くを占めると見られている。
      • 原文 February 12, 2020, USNI News(若林健一)
    • 【3】洋上風力発電の世界的な進展状況
      • 【3】洋上風力発電の世界的な進捗状況についてDNV GLが取りまとめたところその概要は以下のとおり。①現在稼働している洋上風力発電場(wind farms)の数では、依然として北西部の欧州諸国が世界全体の3/4を占める92施設と圧倒しているが、今後建設が検討されている事業数では、中国の沿岸部で多くの事業が計画されているため、アジア市場が欧州市場を追い越す。②素材と技術の進化と経験の蓄積によって、タービンの大型化が着実に進み、2022年には最大直径が220mで、1基で最大12MWの発電が可能となる。③大型の発電場は英国を中心として北西部欧州に集中しており、英国は2020年までに英国全土の年間使用電力量の1割を風力で賄う予定。④風力発電全体でみると、依然として陸上風力発電が圧倒的だが、人口が過密な欧州では洋上風力発電への依存度が高まっている。⑤全世界で50隻の洋上風力発電タービンを設置する船舶(WTIVs)と21隻の運用管理・サービス船舶(SOVs)と多くの作業員輸送・宿泊のための船舶が存在する。タービンの大きさが12-15MWと巨大化すれば、数年後にはWTIVsもさらに大型化することが予想される。
      • 原文 February 11, 2020, DNV GL(長谷部正道)
    • 【4】中国の国営造船所は操業を再開したが、民営造船所はまだ再開できず
      • 【4】中国船舶工業行業協会(CANSI)の発表によれば、国内の造船所における操業再開率は、福建省と遼寧省が75%、浙江省が67%、上海が62.5%に達したが、広東省・山東省・江蘇省においては今後徐々に操業が再開されていく見込み。中国船舶集団(CSSC)傘下の上海にある3大造船所では全面的に操業が再開された。その他のCSSC傘下の造船所や他の国営造船所も操業を再開している。一方で、最大の民営造船所である揚子江船業集団公司をはじめとする民営造船所は操業再開にこぎつけていない。こうした操業中止がさらに長引けば、新造船の竣工が遅れるばかりでなく、スクラバーの改装工事などもさらに遅延することになる。
      • 原文 February 13, 2020, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
    • 【5】欧州議会が再生PVCに含まれる鉛分濃度に関する委員会提案を否決
      • 【5】鉛はわずかな量でも複数の臓器に影響を与え、癌を引き起こす恐れや妊婦に流産、死産、未熟児出産のリスクをもたらすなど人体に永続的な健康被害を与える重金属であり、健康や環境の保護のために化学物質を管理する欧州内規則(EU’s REACH)においても特に重要なものとして挙げられている。欧州委員会は、再生ポリ塩化ビニル(PVC)に対して、通常の鉛含有基準値の10-20倍の高濃度の鉛の含有を15年間認めるという例外措置を提案したが、環境団体の反対を受けて、2月12日欧州議会により否決された。この提案は今後再検討され、規制は強化される見通しである。
      • 原文 February 12, 2020, EEB(植木エミリ)
    • 【6】トランプ大統領:比の米軍地位協定破棄について気にしないと発言
      • 【6】2月11日、20年間米・比両国間で続いてきた米軍地位協定(Visiting Forces Agreement: VFA)の破棄を比政府が米政府に通告したのを受けて、米国防長官は、米国とその同盟国がアジア地域において中国が国際法を順守するよう圧力をかけている中で、今回の比政府の決定は不幸な(unfortunate)決定であると批判した。協定の破棄は通告から180日後に発効するが、在比米国大使館は、今回の決定は深刻な影響をもたらす重要な一歩となるとして、決定の見直しや破棄の繰り延べを期待していると表明している。これに対し、トランプ大統領はホワイトハウスの会談で記者から今回の決定について質問されたのを受けて、「私は他の人々と違い今回の比政府の決定を気にしない。米国予算の大幅な節約になる。」と述べた。トランプ大統領は海外に展開する米軍の引き上げをしばしば口にし、いくつかの同盟国に米軍駐留費用の負担の大幅な増加を求めている。同大統領は「米国は比政府がISのテロリストを駆逐するのを支援し、ドゥテルテ大統領とはとても良い関係だ。何が起こるか見てみよう。」と語った。
      • 原文 February 12, 2020, Reuters(長谷部正道)
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