2020/01/10LROニュース(6)

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  • 2020.01.14 UP
    2020/01/10LROニュース(6)
    • 【1】 サントメ沖でLNG運搬船が海賊から銃撃を受ける
      • 【1】12月28日、サントメから北西約65海里の海上をナイジェリアのボニーに向け航行していたLNGタンカーが、10人の武装した賊が乗込んだ高速艇に襲撃され発砲を受けたが、同タンカーは回避動作をとったことにより難を逃れ、その後ナイジェリアの巡視船とポルトガル海軍の艦船による護衛を受けた。今回の襲撃は2019年に入りナイジェリアの排他的経済水域の東側境界線の外側で発生した8件目の事例であり、海賊はナイジェリア当局による同水域での取締りに限界があることを認識したうえで、犯行に及んでいることは明らかである。また、海賊による沖合での活動を支援するための母船と見られる船の目撃情報もあり、付近を航行するすべての船舶は厳重な警戒態勢をとるとともに、母船と見られる船舶を目撃した場合には、MDAT-GoG(Maritime Domain Awareness for Trade-Gulf of Guinea)などへの通報が求められる。
      • 原文 December 28, 2019, Dryad Global(若林健一)
    • 【2】 グリーンランドの氷河が大規模に融解する不可逆点がそう遠くない可能性
      • 【2】12月17日に学術誌のPNASに発表されたベルゲン大学等の研究者による新たな地質学的な研究によれば、過去においてグリーンランドの氷河がほとんど融解した時代の気温は現在と比べてほんのわずかしか高くなかったことが判明し、このままグリーンランドの気温が上昇を続ければ、20-30年以内に、グリーンランドの氷河が大規模に融解する不可逆点を超えてしまう可能性があることが分かった。研究者達はグリーンランド沖の海底の化石となった貝を分析して、40万年前までのグリーンランドの気温を詳細に分析した。さらに研究者達は、海底の堆積物の層を分析して、いつグリーンランドの地表から様々な物質が海に流れ込んでいるか?(=いつグリーンランドの地表に氷河がなかったか)を分析した。この結果、温暖化の期間が長ければ、気温の上昇自体は今まで考えられていたほど高くなくても、大部分の氷河が融解していたことが判明した。
      • 原文 December 17, 2019, PNAS(長谷部正道)
    • 【3】 ReCAAP ISC: マラッカシンガポール海峡通航船舶へ警報
      • 【3】12月25日、アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センター(ISC)は、シンガポール海峡を通航する船舶に対して警報を発表したが、その概要は以下のとおり。①ReCAAP ISCは2019年に4回にわたり、シンガポール海峡の東航レーンを航行中の船舶で発生した事例に関して警報を発表している。②12月25日に同海峡の東航レーンを航行中のタンカーの機関室内において6人の賊が目撃されが、賊は警報が作動したことにより何も盗らずに小型艇に乗込み逃走し、乗組員が賊と直接対峙することはなかった。③本件を含め2019年にシンガポール海峡で発生した事例の報告件数は30件に達し、東航レーン及び西航レーンそれぞれで発生した件数は15件ずつとなった。④ReCAAP ISCは事件発生件数の増加を懸念しており、犯人は捕まっていないことからさらに犯行が行われる可能性がある。⑤すべての船舶は厳重な警戒態勢をとり、追加的な予防措置を講じるとともに、すべての事象について直ちに最寄りの沿岸国に報告することが求められる。⑥沿岸国の法執行機関が事案発生時に迅速に対応できるよう監視体制や協力体制を強化することを求める。
      • 原文 December 25, 2019, ReCAAP(若林健一)
    • 【4】 インド政府: 船舶リサイクルの世界シェア60%獲得を期待
      • 【4】12月13日にインドで船舶リサイクル法が成立したのを契機に、インドが全世界の船舶リサイクル市場シェアの60%を握り、同国のGDPに対する船舶解体業の貢献も倍増して22億ドルになることを期待すると同国の海運大臣は語った。現状では全世界で年間に解体される1000隻の船舶のうち約300隻がインドで解体されているが、今まで同国は香港シップリサイクル条約を批准していなかったので、日本・欧州・米国の船主はインドで船舶を解体するのに躊躇していたが、同条約の批准により、世界最大の船舶解体都市であるアランの131の船舶解体施設のうち95の施設が条約に準拠した環境に配慮した船舶の解体が行えるようになるため、上記諸国の船主から多くの船舶の解体を引き受けられると期待している。
      • 原文 December 28, 2019, Hellenic Shipping News(長谷部正道)
    • 【5】 EMSA: 船舶交通密度地図を発表
      • 【5】12月20日、欧州海上保安機関(European Maritime Safety Agency:EMSA)は、船舶の通航量の密度を色を使い分かりやすく表示した船舶交通密度地図(Traffic Density Maps:TDM)を発表した。TDMは、海上交通監視及び情報システムの構築を目的としたSafeSeaNetの枠組みを活用し、EMSAが加盟国や商業船舶などから得た自動船舶識別装置(Automation Identification System:AIS)のデータを基に作成しており、AISデータを活用することで船舶の位置情報、速力、船型等の情報を収集、活用することができ、どのような種類の船舶がどの時期にどの様な海域を多く航行しているのかを把握することができ、関係当局によるリスクアセスメント、交通計画の改善、船舶の安全対策の強化等に役立つ。また、洋上風力発電事業の成長に伴い、利用可能な海域の需要が高まっているとともに、洋上風力発電を計画する場合はブルーエコノミの観点から各海域利用者がどのような海域を利用しているのかを把握する必要があり、TDMはこうした場面でも活用が期待できる。
      • 原文 December 20, 2019, EMSA(若林健一)
    • 【6】 IMO 2020: 給油された燃料油が規制不適合である可能性がある場合の行動
      • 【6】North of England P&I clubが給油された燃料油が規制基準に合致しない可能性がある場合に、船主がとるべき行動について解説しているところその概要は以下のとおり。①燃料油供給事業者から規制適合油であることを示す燃料油供給記録(BDN)の交付を受けて、供給された燃料油の商業サンプルを独立した試験場に送ったところ、後日供給された燃料油の硫黄含有分が規制値を超えることが判明した。②このような場合、IMOのガイダンス(MEPC. 321(74))に従えば、船長は直ちに当該事実を、次に寄港する予定の港湾のPSC当局・船舶の旗国・燃料供給事業者・燃料が供給地の当局に通報しなくてはならない。③通知を受けて当局がどういう対応をとるかは、当局の裁量に委ねられており、何事もなくそのまま当該燃料の使用が許される場合もあるし、規制に従った強制措置が取られることもある。④商業サンプルの計測値が規制値を超えるからといって直ちに規制違反にはならないが、商業サンプルがMARPOLサンプルと同様の方法で採集された場合には、供給を受けた燃料油が規制不適合であると判断される可能性が高まる。
      • 原文 December 16, 2019, North of England P&I(長谷部正道)
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