2020/01/09LROニュース(6)

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  • 2020.01.14 UP
    2020/01/09LROニュース(6)
    • 【1】 IMO 2020規制は地球温暖化に悪影響
      • 【1】Nature Communication誌に発表された研究によれば、船舶から排出される硫黄酸化物は、それ自体が太陽光を反射するだけでなく、雲の色をより明るくして、雲が太陽光を反射するのを促進する地球冷却効果を持っている。具体的には、より細かく多くの水滴で出来ている雲の方が、より大きく少ない水滴で出来ている雲に比べて、色がより白く太陽光を反射しやすい。硫黄酸化物のような微細粒子は、水分をひきつけやすく細かい水滴となって、白い雲を作るが、硫黄酸化物の削減によって、雲の中の微細粒子が減り、水滴がより大きく少なくなって、太陽光をあまり反射しない暗い色の雲となる。船舶の排気ガスによる大気の冷却効果の92%は以上の雲の色に関する2次的な影響によってもたらされている。新研究によれば、IMO 2020規制の導入によって、船舶の排気による大気の冷却効果の81%が消滅し、この結果、人類の活動によってもたらされる地球温暖化効果が全体で3.8%増加するほどの地球温暖化効果を生むこととなる。
      • 原文 December 26, 2019, gCaptain(長谷部正道)
    • 【2】 EU Green Deal: ギリシャがJust Transition Mechanism の優先対象に名乗り
      • 【2】ポーランドはEU加盟国の中で最後までEU Green Deal(EGD)に反対し、唯一の適用除外国となったが、この結果EGDにより大きな影響を受ける産業に対する救済メカニズムであるJust Transition Mechanism (JTM)の恩恵を受けることはない。一方、ポーランドと同様に石炭に大きく依存する西マケドニアを有するギリシャ政府は、EGDに従い2030年までにすべての石炭火力発電所の操業を停止することを約束しており、欧州委員会の地域・都市政策局長は、「GDPの1/3を石炭(採掘と石炭火力発電)に依存する西マケドニアはJTMの支援により褐炭からよりクリーンなエネルギー源に転換するモデルケースにふさわしい。」とコメントしている。西マケドニアの褐炭を使用した火力発電所は老朽化し、時代遅れの技術に依拠しているので環境面だけなく、経済的にも今や競争力を失っている。
      • 原文 December 20, 2019, Euractiv(長谷部正道)
    • 【3】 ノルウェーが国境近くの旧ソ連海軍の放射性廃棄物の移送を支援
      • 【3】1980年代に、旧ソ連海軍は、原子力潜水艦の100個の原子炉から取り出した2万2千の使用済み核燃料等大量の放射性廃棄物をノルウェー国境からわずかに65kmしか離れていないAndreeva Bay の貯蔵施設に廃棄した。この放射性廃棄物の処理を巡って、1990年代からノルウェー政府はロシア政府と協力し、初めの20年間は老朽化した貯蔵施設を風雨から守るために新たな建物で覆う作業をしていたが、2017年から放射性廃棄物をコンテナに詰めて安全に移送することにも取り組んできた。これまでの3回の輸送はロシア政府の費用負担で実施されたが、放射性物質がバレンツ海に流出して漁業に影響が出ることを懸念するノルウェー政府自らが初めて費用を負担して、放射性廃棄物が詰まった14個のコンテナをムルマンスク港まで移送することとなった。放射性物質を取り出して安全にコンテナに積み込む作業費として500万クローネ、ムルマンスクまでの海上輸送費として250万クローネをノルウェー政府が負担する。
      • 原文 December 20, 2019, The Barents Observer(長谷部正道)
    • 【4】 中国を巡る2020年東シナ海の安全保障問題の展望
      • 【4】中国は、米国やその同盟国との紛争を想定し、台湾、日本の南西諸島や本州等及び朝鮮半島により東シナ海を囲んでいる第一列島線を突破することを長く戦略の最終目的としている。台湾に対しては、軍事力で圧倒的に優勢に立つものの民主的な国々からの批判を懸念して当面は軍事力に頼った侵略は行わないと考えらえるが、台湾を包囲すべく比に頼りつつ南シナ海での覇権争いに力を入れている。日本に対しては、尖閣諸島に焦点を絞り、日本の自衛隊が対応できる数を凌ぐ艦船や航空機を展開し、最終的には尖閣諸島を吸収すべく圧力をかけると考えられる。2020年に中国が第一列島線突破の目標を果たす見込みは略ないが、中国は12月に初の自国で建造した空母を就役させ、過去10年で米海軍の4倍となる猛烈な勢いで高性能の艦船や航空機を建造し、米海軍の第七艦隊の10倍の艦船を保有していると見られるなど、その戦略は首尾一貫し、忍耐強い。2020年中国は東シナ海を巡り引き続き台湾、日本及び韓国に対して長期的な戦略を仕掛けてくるとみられ、2030年には東シナ海を巡る戦略的構図はかなり異なったものとなっているかもしれない。
      • 原文 December 26, 2019, Asia Times(若林健一)
    • 【5】 ISWAN: ギニア湾を通航する船員の福祉と安全に対して懸念を表明
      • 【5】国際船員福祉支援ネットワーク(ISWAN)と国際基督教海事協会(ICMA)はギニア湾を通航する船員の福祉と安全に対して懸念を共同で表明したところその概要は以下のとおり。①国際海事局(IMB)の最新の四半期報告書によれば、報告された119件の海賊事件の38%が、船員誘拐事件に限って言えば世界全体の82%の事件がギニア湾で発生している。②こうした船員誘拐事件には多くの場合は船員に対する暴力が振るわれることが多く、この海域を運航する船員のストレスやトラウマが高まっていることを注意喚起したい。③ナイジェリア政府によって、反海賊法が施行されるなど様々な関係者による海賊対策に関する努力は評価するが、両協会はギニア湾に面する全ての政府に対して、洋上石油掘削リグも含むギニア湾を通航する全ての商船に乗務する船員が安全に航海できるよう、関係国が協力して海賊を逮捕し刑事訴追することを要請する。
      • 原文 December 20, 2019, ISWAN(長谷部正道)
    • 【6】 豪首相:石炭産業・火力発電規制を改めて拒否
      • 【6】オーストラリアは2019年9月以来、山火事の被害が継続し、既に9人が死亡し、多数の住宅が消失しているが、12月中旬に山火事被害が拡大する中で、豪首相がハワイで休暇を予定とおり取ることを決断したことに対して社会的非難が強まっている。こうした批判に対し、12月23日に、同首相はマスコミの取材に対して、山火事被害にパニックになって、「無責任で、国民の雇用と経済を破壊する」気候変動対策を石炭火力発電に対してとるつもりはないと改めて語った。豪政府の統計局によれば、同国の石炭産業により3万8千人が雇用されており、気候変動対策として石炭発電の削減が勧告されているにもかかわらず、同国政府は経済的に安価な石炭火力発電の支援を続けてきた。豪全土にわたる記録的な猛暑と悪化する山火事に対して、政府が何ら気候変動対策を取らないことに多くの豪国民が不満を募らせている。
      • 原文 December 23, 2019, BBC(長谷部正道)
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