2020/01/07LROニュース(6)

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  • 2020.01.08 UP
    2020/01/07LROニュース(6)
    • 【1】 インドで船舶リサイクル法が成立
      • 【1】12月13日、インド大統領の署名により、「船舶リサイクル法案2019」が正式に法律となった。インド政府は11月28日に、船舶再資源化香港条約(シップ・リサイクル条約)を批准しており、同法において同条約に沿った船舶解体の基準と基準の実施方法について国内法化されている。同法では、船舶がリサイクルされるか否かにかかわらず、船舶の建造にあたって有害物質を使用・装備することを制約・禁止している。新造船については、同法施行と同時に適用され、既存船については、5年間の経過措置が認められる。同法は軍艦と官庁船には適用されない。船舶は船舶に使用されている有害物質の一覧表について審査・証明を受ける必要がある。同法の下では、船舶の解撤場についても認証を受けなければならず、船舶は認証船舶解撤上でのみ解体できる。
      • 原文 December 17, 2019, インド政府(長谷部正道)
    • 【2】 蘭最高裁:政府にGHGを20年末までに対90年比25%削減することを命ずる
      • 【2】オランダ最高裁は同国政府にGHGを2020年末までに対1990年実績比25%削減することを命ずる判決を言い渡した。訴訟は環境団体のUrgendaが政府に対して、EUの目標以上のGHG削減を求めて提起したもの。2018年末の段階で同国内のGHG排出量は対90年実績比で15%しか減少しておらず、環境問題の研究者によれば、2020年末までの削減可能範囲は19%から23%で、25%削減を達成するのはかなり困難なものと想定される。政府は最高裁に対し、6月末に、2030年までにGHG排出量を49%削減するとともに、石炭火力発電所の廃止を2020年から始めると報告していた。1990年以来、同国内ではメタンや窒素酸化物の削減は進んだが、GHGの排出量は小幅の削減にとどまっている。11月にはさらなる窒素酸化物削減を進めるために、昼間の自動車の運転速度上限を100km/hに強化することを政府は決定している。
      • 原文 December 20, 2019, BBC(長谷部正道)
    • 【3】 再生可能エネルギーの発電割合を増やすためには送電網の改善が必要
      • 【3】EUは全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの比率を2030年までに32%まで引き上げる目標を2018年に立てたが、この目標達成のためには、現在全発電量の約30%を占める太陽光発電と風力発電の比率を53-54%に引き上げる必要がある。しかし、5月に実施された欧州議会選挙で環境派が躍進したことにより、新欧州委員会委員長は2050年までに炭素中立化を実現することを宣言しており、この新たな目標を実現するためには、太陽光発電や風力発電の全発電量に占める比率を8割程度に引き上げる必要がある。しかし、太陽光や風力による発電は、他の発電方法に比べて、発電量の安定性に欠けるという弱点があり、この弱点に対応しながら再生可能エネルギーの発電比率を増やすためには、現在の送電ネットワークを改善する必要がある。
      • 原文 December 20, 2019, Euractiv(長谷部正道)
    • 【4】 米議会報告書:中国海軍の近代化について
      • 【4】中国海軍は1990年代から着実に近代化を進め、対艦弾道ミサイル等の武器や潜水艦等の艦船、航空機、無人機等の保有、C4ISR(指揮、統制、通信、コンピューター、情報、監視・偵察)システムの強化、さらには、保守・整備、兵站、養育・訓練等の改善を図かり、今や中国近海において強大な軍事力となった。また、西太平洋、インド洋、さらには欧州近海など遠方海域での活動回数も増加させており、中国海軍の近代化は米国の国防計画や国防予算の一番の関心事項となっている。中国海軍の近代化には、必要とあれば台湾を巡る情勢を軍事的に解決し、南シナ海など中国の周辺海域での覇権を握り、排他的経済水域内での外国艦船の活動を規制し、中国の中東とのシーレーンなどを確保し、西太平洋における米海軍の影響力を排除し、地域や世界の超大国としての中国の地位を主張するといった狙いがあると見られる。これに対し米海軍は、保有する艦隊の多くを太平洋地域に移し、最も優れた最新の艦船や航空機、優秀な人材を太平洋地域に配置し、プレゼンスを高めるための巡回や太平洋地域の同盟国等との合同訓練の機会を増やし、新たな軍事技術の開発のためのプログラムを導入するなど多くの対応策をとっているが、米国議会はこれらの対応策の適格性を判断していくことが課題となる。
      • 原文 December 20, 2019, 米国議会調査局(若林健一)
    • 【5】 IMO 2020: ICS事務局長のメッセージ
      • 【5】12月20日、国際海運会議所事務局長がIMO 2020規制の実施についてメッセージを発表したところその概要は以下のとおり。①IMO 2020規制は世界の海運業界にとって、前例のないほど大きな変化なので、規制開始当初は初期的な問題が発生する可能性がある。②PSC当局は、国際的に整合性が取れた方式で規制実施の確認を行い、船主が規制遵守のために取りうる対応をすべて行ったことを示せば、規制開始当初は常識的な取り締まりを実施するべきである。③海運業界は規制実施の準備作業を精力的に行ってきたが、世界の全ての港湾で安全な規制適合油の給油を受けることができるかいまだに不安である。④ブレンドされた異なる規制適合油の間で、不適合が生じて事故が発生しないよう燃料油供給事業者や石油精製事業者は円滑な燃料油の変更に尽力してほしい。⑤まじめに規制を遵守しようとしている船主にとって重要なのは競争条件の均衡化であり、世界的に同一水準で規制が履行されず、規制をきちんと実施しない国が存在し、それを不公正に利用するような船主があってはならない。
      • 原文 December 20, 2019, ICS(長谷部正道)
    • 【6】 海上保安2.0: 船舶自動化時代の海賊対策
      • 【6】海賊は身代金目的で船員を人質とし逃走の際に人の盾として利用することから、自動化又は無人化により船員が少ない又は乗船していない船舶は海賊の襲撃対象となるリスクが軽減され、また、遠隔操作などにより、海賊が船舶を奪って逃走することを防ぐため直ちに出力、推進力及び航海に必要なシステムを停止し、貨物の窃盗を防ぐための措置がとられ、遠隔による安全確認が実施された後に再び安全な海域に向けて航行を開始させることができるようになると考えられている。しかし、武装した海賊による船舶の襲撃は海運業界にとって脅威ではなくなる一方で、船舶はネット環境で制御され陸上局や他船とも繋がることから、サイバー攻撃やハッキングが海運業界にとって主たる脅威となると考えられ、既にサイバー犯罪の領域で暗躍する犯罪組織が新たに海運業界を標的とすることが予想される。サイバー攻撃による危険性を軽減するための唯一の方法は、船舶を遠隔操作するオペレーターにサイバー攻撃に対抗するためのベストプラクティスを理解させ、ハッキングに対抗できるシステムを構築することだが、これは「言うは易く行うは難し」である。英国の国家サイバーセキュリティーセンターが、船舶に関するサイバーセキュリティーのベストプラクティス集を定期的に発行している。
      • 原文 December, 2019, ARX Maritime(若林健一)
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