2019/11/21LROニュース(6)

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  • 2019.11.22 UP
    2019/11/21LROニュース(6)
    • 【1】 中国政府が中長期港湾開発綱領を発表
      • 【1】 11月13日、中国政府の交通部や国家開発発展委員会など関係9機関は共同で、中国国内の港湾を世界レベルの水準に引き上げるために、今後の港湾開発の課題や行動計画を定めたガイドラインを発表した。具体的には、2025年までに、主要港については環境・新技術・安全に配慮した革新的な整備を行うとともに、その他の地域港湾でも港湾機能の強化を図る。2035年までには、主要港は世界的水準まで引き上げ、2050年までに主要港の中でもいくつかの港湾については、世界レベルでの海事クラスターを形成する。ガイドラインでは、サービス能力の改善・低炭素エネルギーの振興・物流のデジタル化の促進・事業環境の最適化など19の課題を掲げている。この計画を実行するために中央政府は地方政府に対して、港湾開発を地域経済社会計画の中できちんと位置付け、港湾関連事業への地方政府の支援を強化することを求めている。中国の港湾における今年第1四半期から第3四半期までの貨物取扱量の合計は、103億トンと対前年同期比5.2%増加している。
      • 原文 November 13, 2019, 新華社(長谷部正道)
    • 【2】 IEA:World Energy Outlook 2019を発表
      • 【2】 11月13日、世界エネルギー機関(IEA)はWorld Energy Outlook 2019を発表したところその概要は以下のとおり。①世界の政府がエネルギー政策について現状の政策を維持すると仮定すると(current policies scenario)、エネルギー需要は2040年まで年間1.3%上昇し、エネルギー需給はひっ迫し、エネルギー関連のGHG排出量も増加を続ける。②現状の政策に加えて既に表明されているエネルギー政策が採用された場合(stated policies scenario)には、エネルギー需要は2040年までに年間1%上昇し、太陽光発電や天然ガス利用が拡大し、石油の需要は2030年代に平準化するが、CO₂排出量の増加ペースは減少するものの、2040年までに減少に転じることはない。③パリ協定に従った持続可能な成長(sustainable development scenario)を実現するためにはエネルギー効率を年間3%向上させる必要があるが、2018年にはわずかに1.2%しか達成されておらず、2010年以来の改善ペースと比べても改善が鈍化している。このシナリオを達成するためには、風力発電・太陽光発電の拡大によって、最終消費段階におけるエネルギー分担比率において、2040年までに電力が石油を逆転する必要がある。
      • 原文 November 13, 2019, IEA(長谷部正道)
    • 【3】 欧州投資銀行が従来型の化石燃料に依存した事業への投融資中止を決定
      • 【3】 11月14日、EU財務大臣会合で欧州投資銀行(European Investment Bank: EIB)の新融資基準が承認されたところ新基準概要は以下のとおり。①EIBは加盟国のエネルギー政策と気候変動対策の支援のため、特にエネルギー分野ではパリ協定の目的に整合した投融資活動を行っていく。②特に住宅のエネルギー効率の強化・再生可能エネルギーによる発電の促進・低炭素ガス/燃料の製造の促進・炭素排出削減技術への投資等を行っていく。③EIBは従来型の化石燃料に依存した事業への投融資を2021年から中止する。具体的な対象事業としては、石油・天然ガス生産事業、天然ガスの輸送・貯蔵・精製に関する事業、1kwh発電するのに250g以上CO₂を排出する発電技術、石油・天然ガス・石炭等を原料とした大規模熱生産事業に対する投融資事業を中止する。④加盟国のエネルギー転換を支援するためにEnergy Transition Packageを創設する。
      • 原文 November 15, 2019, EIB(長谷部正道)
    • 【4】 IMOGHG中間作業部会:GHG削減の具体的方策はMEPCに持ち越し
      • 【4】 11月11日から開催されていたIMOGHG中間作業部会(ISWG)においては、GHG削減の具体的手段について様々な提案がなされたが、具体的には、技術的な手法に基づく提案(推進機関の出力を制限するBIMCO・ギリシャ提案、既存船エネルギー効率化指標(Energy Efficiency Existing Ship Index: EEXI)を利用するノルウェー・日本提案)と運航面での手法に基づく提案(運航速度を制限する仏・環境団体(Clean Shipping Coalition: CSC)の提案、SEEMP(船舶エネルギー効率化管理計画)の要件を強化するデンマーク提案)等について検討が行われた。エンジン出力の制限と運航速度の制限の提案それぞれの提案について、問題点も提起されたため、今次会合においては、GHG削減方策として、goal-based approachが好ましいということだけ合意し、具体的な方策については来年3月のMEPCでさらに議論されることとなった。
      • 原文 November 18, 2019, Ship and Bunker(長谷部正道)
    • 【5】 独の閣僚がCOP25においてEUがより積極的な役割を果たすことを求める
      • 【5】 ベルリンで開催されたCOP25の準備会合で独の外務大臣と環境大臣はEUの現在のCO₂削減目標をさらに引き上げて、COP25でリーダーシップを発揮すべきだと発言した。さらにCOP25では、抜け道がなく、また二重にカウントされることない排出権証明書に関する国際的信用制度(International Credit System) について合意ができることを期待していると語った。京都議定書の下では、加盟国は途上国を支援して途上国において削減できたCO₂排出量に見合ったCO₂の排出権を自国内で行使することができたが、2020年に京都議定書が失効して、パリ協定に置き換わると、排出権取引にどの規則が適用されるのか、途上国支援により削減したCO₂排出量を、自国の削減量に置き換えることが可能か?など不明な点が残っている。さらに、京都議定書の下で既に達成したCO₂排出削減実績をパリ協定の下での削減実績として繰り越せるかなどについて、ブラジル・中国・インドなどは肯定的だが、環境保護団体はこのような行為はgreenwashingだといって批判している。
      • 原文 November 15, 2019, Euractiv(長谷部正道)
    • 【6】 北極海北航路の輸送量が対前年比63%増
      • 【6】 北極海北航路(NSR)の管理を任されている露国営原子力企業のロスアトムの発表によれば、NSRを利用した今年の貨物輸送量は、11月15日までに2600万トンに達し、対前年同期比63%の増加となった。年末までに3千万トンに達する見込み。貨物輸送量の大部分は、ノヴァテクのヤマルLNG事業とガスプロムネフチのNovy Port石油事業に依存しており、NSRの通過貨物輸送量は20万5千トンと低迷しているが、その大部分をCOSCOが輸送した。プーチン大統領は2024年までに同航路の輸送量を8千万トンまで引き上げるよう命じているが、ロスアトムは同年末までに輸送量を9260万トンまで引き上げることが可能としている。
      • 原文 November 15, 2019, The Barents Observer(長谷部正道)
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