2019/11/13LROニュース(6)

NEWS


※LROニュースの内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、2次使用の際はLROニュースからの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

トップページ > LROニュース > 2019/11/13LROニュース(6)

記事アーカイブ

  • 2019.11.14 UP
    2019/11/13LROニュース(6)
    • 【1】 世界銀行ESMAP報告書:「新興国に拡大する洋上風力発電」
      • 【1】世界銀行エネルギー分野管理支援計画(ESMAP)が「新興国に拡大する洋上風力発電(Expanding Offshore Wind to Emerging Markets)」と題する報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①技術革新や市場規模の拡大により、洋上風力発電のコストは劇的に低減しており、2019年9月の時点で、英国では送電コストも含めて$50/MWhを達成しているが、現状では、洋上風力発電事業の大部分は欧州と中国で行われている。②今後とも発電コストの削減は進み、欧州・中国以外のOECD諸国を中心に洋上風力発電は拡大するが、本報告書ではさらにブラジル・インド等の新興国市場における洋上風力発電拡大について検討を行う。③ほとんどの新興国市場において洋上風力発電により、現状の発電規模の数倍規模の持続可能な発電が可能となり、SDGsやパリ協定の目的に資することになる。④ESMAPは国際金融公社(International Finance Corporation)と協力して、世界銀行グループの支援対象国におけるエネルギー戦略の中に洋上風力発電を取り込む支援を2019年3月から開始している。
      • 原文 October, 2019, 世界銀行(長谷部正道)
    • 【2】 仏議会が「エネルギー気候対策法」を採択
      • 【2】9月26日、仏議会は今後30年間の仏の気候変動対策の枠組み・目標を定める「エネルギー気候対策法」を採択し、化石燃料への依存を減らし、再生可能エネルギーの開発を進めることとした。英国議会が5月に、「環境・気候変動緊急事態」を宣言したことに続き、仏議会は「生態・環境に関する緊急対策」を同国のエネルギー政策の根幹に据えるため仏エネルギー政策大綱を改正した。仏政府は2050年までに炭素中立を実現するために、1990年実績と比べてGHG排出量を1/6以下とすることを目指し、2030年までに、化石燃料消費量を3割削減することを目指していたが、エネルギー気候対策法は、この削減目標をさらに強化して、化石燃料消費量を2030年までに4割削減するために、2022年までに石炭火力発電を中止することを定めている。同法ではこのほかに様々な再生可能エネルギー振興策と、家庭におけるエネルギー消費効率の改善を図る方策が定められている。
      • 原文 October 1, 2019, Jones Day(長谷部正道)
    • 【3】 ギニア湾で2隻の欧州籍船から13人の船員が海賊により誘拐
      • 【3】11月4日午前にトーゴの沖合においてギリシャ籍タンカーに乗込んできた賊が、フィリピン船員2名、ギリシャ人船員1名及びジョージア人船員1名の計4名を誘拐し、その際警備員1名が銃で撃たれ負傷した。また、11月2日には、ベニンの沖合でノルウェー籍貨物船に乗込んできた賊が、船長を含めたフィリピン人船員9名を誘拐した。国際商業会議所の国際海事局(International Maritime Bureau:IMB)によると、今年10月までに世界で発生した船員人質事件は49件で昨年同期の112件と比較して減少傾向にはあるものの、全船員人質事件の86%、全船員誘拐事件の82%がギニア湾で発生しており、同湾は2019年においても引き続き海賊・武装強盗事件の被害にあうリスクが高い地域とされている。また、IMBによると、同湾で発生する事件の犯人は重武装で手慣れており、第一の動機として、犯人にとって稼ぎが良い船員の誘拐を目的に襲撃を行い、第二の動機として、貨物や船の備品及び乗組員の所持品を盗む目的で襲撃を行うといい、発生する事件の全容を正確に把握してエスカレートする前に手段を講じるために、船長と船舶所有者が未遂や疑わしいものも含めてすべての事件を報告することが重要とされている。
      • 原文 November 4, 2019, Euro News(若林健一)
    • 【4】 Mission to Seafarersが「第3四半期船員幸福度指数」を発表
      • 【4】The Mission to Seafarers (MoS)がShipowners P&Iと協力して、2019年第3四半期「船員幸福度指数(Seafarers happiness Index)」を発表したところその概要は以下のとおり。①船員の幸福度は前回調査時に比べて、「船舶勤務中における家族との連絡」以外の項目ですべて上昇した結果、船員幸福度指数は前回調査の6.27から6.59と向上した。②しかし、世界的な政治紛争に巻き込まれて、船員の働いている船舶の旗国や貨物の帰属国によって、突如一方的に制裁対象に指定され、船員にどのような影響が及ぶかについて懸念する声もあった。③また2020年からのSOx規制の強化に伴い、検査が強化され、規制不履行の責任が船員に押し付けられる懸念も表明された。④寄港中に船員に課される任務が多すぎることによって、船員が上陸許可を受ける権利が制限されることについての懸念も引き続き表明されていた。
      • 原文 November 4, 2019, Mission to Seafarers(長谷部正道)
    • 【5】 国連事務総長:アジア諸国に石炭火力発電への依存軽減を促す
      • 【5】11月2日、国連事務総長は、10月29日にClimate Centralによって発表された気候変動による海面上昇がアジア諸国に与える影響に関する報告書を引用しつつ、アジア諸国はこのままでは気候変動の影響を最も受ける地域に存在する以上、気温上昇効果が高く、多くのアジア諸国で主たる発電源となっている石炭火力発電への依存度を世界に率先して速やかに減らすべきであると述べた。同事務局長はアジア諸国においては今後まだ多くの新たな石炭火力発電所の建設が計画されていることを指摘しつつ、気候変動対策として、排出権取引制度の導入・化石燃料への補助の停止・石炭火力発電所の新規建設の停止に取り組む必要があることを強調した。Climate Controlの報告書では、現在2億3700万人の住民が住んでいる地域が海面上昇の結果、2050年までに海抜ゼロ以下になるとし、中国(9400万人)、バングラデシュ(4200万人)、インド(3600万人)、ヴェトナム(3100万人)等が大きな影響を受けると指摘している。
      • 原文 November 2, 2019, BBC(長谷部正道)
    • 【6】 スクラバーを一切採用しないONEが他社との競争上苦境に
      • 【6】コンテナ船社上位10社のうち、スクラバー搭載船が1隻もないのはONEだけで、規制適合燃料油のコストが高騰した場合、スクラバー搭載船を保有する競合他社と比較して競争上苦境に立つ恐れがある。スクラバー搭載に最も積極的なのはMSCで全体の564隻中約半分の250隻にスクラバーを搭載することを決定している。Evergreenもスクラバー搭載に積極的で、全船体の74%に及ぶ150隻にスクラバーの搭載を決定している。マースクはスクラバーの導入に当初否定的であったが、その後方針を転換し、700隻の船隊中約140隻にスクラバーを搭載する。マースク同様、出遅れたHapag-Lloydも駆け込みで10隻の13000teuクラスのコンテナ船にスクラバーの搭載を決定している。コンテナ船各社は、12月1日から重油燃料油と規制適合燃料油の価格差をカバーするためにlow-sulphur surchargeを導入する予定であるが、同サーチャージは用船される船舶がスクラバーを搭載して規制適合燃料油を使用しない場合でも一律適用される予定である。
      • 原文 November 6, 2019, The Loadstar(長谷部正道)
  • 資料閲覧 その他