2019/11/11LROニュース(6)

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  • 2019.11.12 UP
    2019/11/11LROニュース(6)
    • 【1】 フィリピンと中国が南シナ海の資源開発のための政府間共同運営委員会を設立
      • 【1】比外務省政策担当次官と中国外交部副部長が10月28日に北京で会合し、南シナ海の資源開発を共同で進めるための政府間共同運営委員会を正式に設置し、年明けに次回会合を行う予定であることを、10月30日比政府が明らかにした。2ヶ月前には、比デュテルテ大統領が、習主席から南シナ海での中国の主張を退けた仲裁裁判所の決定を無視することを条件に共同開発による利益の60%をフィリピンに譲ることを提案されたことを明らかにしたが、比副大統領など一部からは、共同開発を進める海域について中国がフィリピンの主権を認めることが必要であるとの批判の声もあがっている。
      • 原文 October 30, 2019, Radio Free Asia(若林健一)
    • 【2】 HELCOM: 海洋ごみ・海中騒音・化学物質による海洋汚染を議論
      • 【2】10月22日からブラッセルで開催された第11回バルト海環境保護委員会(HELCOM)Pressure Group会合では、海洋ごみ・海中騒音・海洋の化学汚染が主要議題となった。海洋ごみについては、HELCOMの海洋ごみ地域行動計画の実施状況が説明され、遺棄された漁具の処理の問題・洪水によってマイクロプラスチックがバルト海に流出する問題・発泡スチロール処理の問題などについてさらに対策を進めるため河川流域管理機関間の協力をさらに進めることが合意された。海中騒音については、騒音削減についての草案が提出されたが、将来的には、海洋哺乳類等の海洋生物保護のために、人工的な海中騒音の強制的削減について合意される可能性がある。企業や家庭で使用されている化学物質の種類は増え続けているが、それぞれが海洋環境に与える影響は明らかにされていないので、有害物質に関するHELCOMの既存の枠組みについて大幅な見直しをすることが合意された。
      • 原文 October 29, 2019, HELCOM(長谷部正道)
    • 【3】 Nike等の企業グループが北極海航路利用反対キャンペーンを開始
      • 【3】NikeはCMA CGM等の海運会社やGAP等の衣料品メーカー等と連携して、自社の製品の輸送に北極海航路を利用しない「北極海海運に関する企業誓約(Arctic Shipping Cooperate Pledge)」を設立し、環境団体のOcean Conservancyとともに、他の主要荷主企業等の参加を呼び掛けている。過去3か月間に、独のHapag-Lloyd・仏のCMA CGM・スイスのMSC等のコンテナ海運企業大手が北極海の環境保護の観点から北極海北航路の利用をしないと表明しているが、世界最大のスポーツ衣料品メーカーであるナイキは世界的なマーケティング戦略の一環としてこのキャンペーンを開始した。既にH&MやGAPなどの20社を超える大手荷主が参加を表明している。環境団体は、北極海航路の利用拡大による甚大な環境被害を避けるために、北極海における重油燃料の使用を禁止することをIMOにおいて長年主張しているが、IMOによって当該規制が実施されるのは少なくてもあと3年は必要。COSCO等北極海北航路の利用に積極的な海運会社もあり、今後このまま北極海航路の利用反対が主流となるかは現時点では不透明だが、海運会社があと数社北極海北航路使用の自粛を打ち出せば、他の海運会社等が北極海北航路の環境的影響に目をつぶるのは大変難しくなるだろう。
      • 原文 October, 2019, High North News(長谷部正道)
    • 【4】 なぜ中国は東南アジア諸国の反発を買うのか?
      • 【4】(論説)ベトナムでは2018年に、中国による土地の買い占めに繋がるとの理由から全国的な反対運動が起こり、経済特区法案が廃止され、カンボジアでは中国による巨額の投資に対する批判が強まっており、マレーシアでは2018年5月の政権交代以降中国側との取り決めの停止や再交渉の動きを見せており、さらにラオスでは近年中国人に対する襲撃事件により死者も発生するなど、東南アジア諸国において、1兆ドル規模の一帯一路政策などについての中国の最終的な意図に関する疑問が広がりを見せている。一帯一路政策などで行われる中国による投資プロジェクトは、土地利用の権利を得るために地方組織と癒着するなどしばしば透明性を欠き、土地の権利や環境保護に関する問題が東南アジア地域で大きな関心事になっているが、中国による投資はこれらの問題を悪化させていると受け止められている。また、中国による投資で地元の人々が恩恵を受けることができる期間は僅かであるとの批判の声や、中国の支援による事業では地元住民ではなく中国の労働者が雇われるとの批判の声も高まってきている。中国は、それぞれの国の国内政治や地元の住民がどのように感じるのかについて敏感になる必要がある。
      • 原文 November 1, 2019, Asia Times(若林健一)
    • 【5】 海面上昇で2050年までに全世界の1億5千万人が住む土地が海抜ゼロ以下に
      • 【5】10月29日、気候変動問題に関する研究者たちの組織であるClimate Centralが、衛星写真による標準標高測定と人工知能を用いた最新の報告書によれば、既存の研究と比べて3倍以上の土地が、2050年までに気候変動に伴う海面上昇の結果、高潮位線以下となり、約1億5千万人の住民が影響を受けることが判明した。例えば、ベトナムでは、全人口の約2千万人の国民が住む地域が海抜ゼロ以下となる結果、経済的中心地であるホーチミン市のほぼ全域が浸水する。タイでも国民の1割が居住する地域が海抜ゼロとなる。この結果、水没した農作地を放棄した農民が都市に流入するなど新たな社会問題も発生することが予想される。一方で、全世界で1億1千万人の人々が既に海抜ゼロメートル以下の地域に居住しており、防潮堤の整備などにより、高潮位線より低くなった地域でも引き続き住民が居住することは可能であるが、そのためには莫大な公共投資が必要となる。また、海抜ゼロ地帯のニューオリンズが2005年にハリケーンカトリーナの猛威を防ぐことができなかったように、防潮堤の整備により平時は居住できても、自然災害に対する脆弱性が増すことだけは確かである。
      • 原文 October 29, 2019, NY Times(長谷部正道)
    • 【6】 IRENA: 「海運脱炭素化の処方箋」を発表
      • 【6】国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が「海運脱炭素化の処方箋」と題する報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①IMOによれば、海運分野のGHG削減対策をこのまま何も講じなければ、海運分野からのGHG排出量は、2050年までに50%から250%増加する。②2000年から2017年にかけて、海運分野におけるCO₂の排出量は年平均1.87%増加し、2017年には677メガトンのCO₂を排出した。③海運分野からのCO₂排出のための具体策としては、燃費の良い船舶の設計・化石燃料から代替燃料への変更・岸壁停泊中の陸上電源の活用などが考えられる。④代替燃料はそれぞれ長所・短所があり、燃料価格・代替燃料導入のためのインフラ整備コスト・技術的完成度・燃料供給の持続可能性・割高なコストを負担する意欲などの要因が代替燃料選択の鍵となる。⑤代替燃料は現段階では経済的に競争力がないが、中長期的には、導入量の拡大と技術改善によって価格競争力も向上する。
      • 原文 September, 2019, IRENA(長谷部正道)
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