2019/10/09LROニュース(6)

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  • 2019.10.10 UP
    2019/10/09LROニュース(6)
    • 【1】Ocean Cleanup: 改良型の装置で初めて実際のプラスチックごみの回収に成功
      • 【1】オランダのNPO団体Ocean Cleanupは、海洋のプラスチックごみの回収技術開発を促進しており、試作品System 001/Bが太平洋ごみベルトにおいてのプラスチックごみの捕獲と回収に成功したと発表した。この試作品は、大小のプラスチックを受動的に捕獲し集中的に集めることが可能で、サイズ1㎜以下のプラスチックごみも回収に成功している。昨年の試験で失敗した1号機では、装置とプラスチックごみが海上を動く速度の差が不安定で、一度装置内に入ったごみが装置の外に出てしまう問題点があったが、装置にパラシュート型のsea anchorを付けることによって、装置が海上を動く速度を落とし、またごみをとらえる浮の高さを上げて、ごみが浮を超えて流れ出さないようにして問題を解決した。Ocean Cleanupは現在プラスチックを長期的に海上でため込むことができる試作品System 002を開発しており、完成すると、海洋のプラスチックごみを陸上まで運送することができ、リサイクルをすることが可能となる。
      • 原文 October 2, 2019, Ocean Cleanup(蘭潔美)
    • 【2】米で小型無人遠隔操縦船の販売を開始
      • 【2】米国の造船所のMetal Shark社とボストンに本社を多く自律運航技術開発会社のSea Machinesは、協力して全長8.8mの自律操縦船を開発し販売を開始した。当該船舶はアルミ製のシングルハルの2人乗りのパイロットハウスが付いた小型船で、従来からの有人運航にも使用できるが、アクティブコントロール機能・衝突回避機能を持ち、視認できない位置にあるところからでも人間参加型(human-in-the-loop)の遠隔無人操船ができる。両社は発注を受ければ、すぐにも無人運航できる完成船を、政府や民間会社に直ちに納入できる在庫を整えている。遠隔操船にはSea Machine社のSM300自律管制・監視システムを利用して、船上の全てのシステムをワイヤレスで2km以内の範囲から遠隔管理することができ、自律運航を行わないときは、ジョイスティックを使用して遠隔マニュアル操船もできる。
      • 原文 September 24, 2019, Sea Machines(長谷部正道)
    • 【3】Hapag-Lloydが北極海航路の使用を否定
      • 【3】コンテナ船社のCMA CGMは既に北極海の環境保全の観点から、将来にわたって北極海航路を利用する意思がないことを表明しているが、Hapag-Lloydも同様の見解を示した。北極海北航路はアジアと欧州を結ぶ航路としては、既存のスエズ運河経由よりははるかに短いという利点がある一方で、商業海運が大規模に実施されることに伴う北極海の環境に与える影響についてはまだ明らかにされていない。「化石燃料を船舶燃料として使用することによる黒煙微粒子やGHGの排出は、北極海の温暖化を促し、地球全体の生態系に悪影響を及ぼす可能性がある。こうした環境への悪影響がないとの保証がない限り、北極海航路の商業利用は考えられない。環境問題以外でも、夏季の同航路運航可能期間は依然限られていること、水深が浅く大型コンテナ船の運航ができず効率が悪いこと、就航するコンテナ船をアイスクラスの船級にするコストを考慮すると、航海距離を短縮できたとしても総合的な経済合理性があるかは疑問である。」とHapag-Lloydの担当役員はコメントしている。
      • 原文 October 2, 2019, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
    • 【4】高級プラスチック製ティーバックから大量のマイクロプラスチックが放出
      • 【4】最近の高級ティーバッグは、茶葉が広がるような空間を与えるために、ピラミッド型で、絹のような袋を使用していている。モントリオールのMcGill大学が主導した研究によると、このようなティーバッグはカナダ政府が商品包装用に承認しているPETやナイロンでできており、カップ1杯の紅茶から116億個のマイクロプラスチックと31億個のナノプラスチック(重量にして16マイクログラム)が検出され、水道水・ミネラル水・ビール等の他の飲料に含まれるマイクロプラスチックの数より多いことが分かった。カナダ紅茶協会は、マイクロプラスチックによる人体への悪影響を及ぼすという科学的証拠はないとコメントしており、WHOも飲料水に含まれるマイクロプラスチックが健康に及ぼす影響は低いと認定している。しかし、健康問題以外にも、プラスチック製のティーバックは使い捨てされており、プラスチックごみ削減の観点からも使用は好ましくない。
      • 原文 September 26, 2019. CBC(蘭潔美)
    • 【5】ロシアが北極海北航路を利用してロシア産原油を中国に輸出
      • 【5】ロシアは世界で2番目の石油生産国だが、今後ますます需要が伸びることが予想されるアジア諸国向けの輸出を増やすため、ロシア西部で生産された石油をアジア諸国向けに輸出する手段の拡大を図っている。ロシアは中国から見ても、原油の輸入先として2番目に大きく、2019年1月から8月までに4940万トンの原油をロシアから輸入している。今年初めての北極海北航路を利用した原油輸出は、Sovcomflot社のAframaxクラスとしては初めてのLNGを燃料とするタンカーによって実施され、8月23日にムルマンスク港を出港して6437海里の航海を経て、9月16日に中国の山東省のDongjiakou港に到着した。従来からのスエズ運河経由の航海距離は12506海里なので、距離的には約半分に短縮したことになる。
      • 原文 October 2, 2019, Reuters(長谷部正道)
    • 【6】独がコペルニクス衛星監視システムを利用してEU域外での違法船舶解体を取締
      • 【6】欧州海上保安庁(EMSA)が運用するコペルニクス海事監視(Copernicus Maritime Surveillance: CMS)サービスは、EU加盟国の法執行当局が適正に海事関係の規制を実施・適用するため、合成開口レーダ(synthetic aperture radar)を利用して地球観測衛星から撮影された画像情報を加盟国に無料で提供するサービスである。観測情報は観測衛星が上空を通過してから30分後に、EMSAが運用するEU海事情報の情報と一緒に加盟国に提供されている。例えば独水路警察(German Waterways Police)が参加した国際刑事警察機構が2018年10月に実施した海上犯罪集中取り締まりのための“30 Days at Sea”作戦では、船主や船社に対する違法な船舶解体に関する基礎捜査を踏まえて、具体的にOECD非加盟国で違法に船舶が解体されていることを特定するため、CMSによって提供されたOECD非加盟国の船舶解体場の高解析度衛星画像が活用された。
      • 原文 October 3, 2019, Copernicus(長谷部正道)
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