2019/10/03LROニュース(6)

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  • 2019.10.04 UP
    2019/10/03LROニュース(6)
    • 【1】北極海におけるプラスチック汚染問題
      • 【1】北極海で増加しているゴミは問題化されており、特にプラスチック汚染が懸念されていることから、2019年前半、北極評議会はプラスチック汚染を今後2年間の最優先課題とすることを表明した。北極海におけるプラスチックはそもそも海流により、大西洋や太平洋から流れ込んでいるとされ、北極海の地表水には検出されてはいないが、グリーンランド海とバレンツ海ではプラスチックの欠片が蓄積されている。また、北極氷には高濃度でマイクロプラスチックが検出されており、プラスチックは生物体の破壊や人間への悪影響を及ぼすことも考えられ、生態系の破壊や地域経済への影響を伴うとされる。
      • 原文 September 27, 2019, 世界経済フォーラム(蘭潔美)
    • 【2】沖縄トラフ海底下に大きなメタン・CO₂のガス層を発見
      • 【2】九州大学の研究者が8月に発表した研究によれば、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む沖縄トラフの海底で行った地震波調査によって、少なくても4km以上の幅があり、1億トン以上のCO₂またはメタンまたはその混合体が含まれる大きなガス層を海底下に発見した。ガスがメタンであれば天然ガス資源として利用できるが、単なるCO₂であれば、GHG放出の時限爆弾にもなりうる。もしガス全部がCO₂であるとするならば、日本全体の自動車が1年間に排出するGHGの量と同規模になる。メタンは量的にはCO₂に次ぐ2番目の規模のGHGで、GHG全体の15%を占め、NASAによれば過去250年間で大気中のメタン濃度は約150%も急増している。今回発見された深海のガス層がここだけではなく、より一般的に深海底に存在するとするならば、気候変動への影響はより大きなものとなる。
      • 原文 September 26, 2019, Live Science(長谷部正道)
    • 【3】国連気候変動サミット:大国が新たな目標を示さず失敗に終わる。
      • 【3】国連気候行動サミットの開催を機に、グテーレス国連事務総長は各国政府により意欲的なGHG削減計画の発表を求めていたが、今回のサミットではそうならず、失敗に終わった。特に大国の不作為が目立ち、英・仏は2050年までに炭素中立化を目指すと宣言をしているが、具体的にどのように達成するかは明らかではなく、さらに独の環境大臣もどう炭素中立化を確実に実現するのかは解明していないと認めた。更にGHG排出量世界第2位の中国は、気候行動に対しての支援を誓約しているものの、どのように国内の排出量を削減するのかを明らかにせず、インドも再生可能エネルギーの普及を表明したものの、国内の石炭使用率がいずれも高く、今後とも脱石炭への方向性は明らかではない。
      • 原文 September 24, 2019, Climate Change News(蘭潔美)
    • 【4】気候変動によって世界の漁業資源が受ける影響
      • 【4】9月25日に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)から発表された報告書の中で、漁業に関する章を執筆したBritish Columbia大学の教授によれば、世界のGHG排出量がこのままの傾向で進めば、海洋の温暖化を通じて、今世紀末までに世界の漁獲量は1/4減少するとされている。化石燃料の燃焼と人間の活動から発生する余分な熱量の9割とGHGの1/4を海洋が吸収する結果、海水温度が上昇し、海洋の酸性化と低酸素化が進行するため、海洋性生物の生態に大きな影響を及ぼす。例えば、貝類の貝殻が適正に成長せず、有害な藻類が多く発生し、魚類はより海水温が低い海域に移動するため、長年にわたり沿岸漁業に依存してきた漁民たちに大きな影響を与える。世界の人口が2050年までに90億人まで増加する中で、蛋白源としての漁獲量が減ることにより、森林の過剰伐採による穀物栽培地の増加など副次的な影響も及ぼす。
      • 原文 September 29, 2019, Inside Climate News(長谷部正道)
    • 【5】サムスン重工業がLNGを燃料とした燃料電池を使用するタンカーを開発
      • 【5】9月26日、サムスン重工業(SHI)は、IMOによるGHG削減目標に対応する燃料電池を利用した世界で最初のAframax原油タンカー(A-max COTs)を建造することについて、DNV GLから基本承認(AiP)を得たと発表した。従来からの石油を燃料とした動力を、LNGを燃料とする個体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell: SOFC)に置き換えることによって、エネルギー効率が改善するだけではなく、GHGの排出も大幅に削減することができる。A-max COTに従来使用されていた3MW発動エンジンを、燃料電池に置き換えた場合、GHGの排出量を45%削減することができる。今回採用するSOFCは米国のBloom Energy社と共同開発した初めての商業化SOFCで、従来の3MWエンジンに比べると場所をとるが、SOFCを搭載するために船舶の設計自体を変えることなく搭載するよう工夫する。
      • 原文 September 26, 2019, SHI(長谷部正道)
    • 【6】オイルメジャーが炭素回収使用貯蔵技術開発を支援
      • 【6】Oil and Gas Climate Initiative (OGCI)は9月23日にGHG排出量を削減するために、以下の取り組みを表明した。①炭素回収使用貯蔵技術開発の大規模な投資をし、世界の産業中心都市で、2030年までに現在の2倍の炭素回収を目指す。②OGCI会員企業のガス・石油産業による炭素排出係数を2025年までに減らす。③会員企業は今後、各国政府による炭素の価格化による削減努力を全面的に支援をする。
      • 原文 September 23, 2019, OGCI(蘭潔美)
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