2019/09/24LROニュース(6)

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  • 2019.09.25 UP
    2019/09/24LROニュース(6)
    • 【1】中国で最初の無人運航船の研究開発基地が建設
      • 【1】広東省の珠海市のXiangshan技術港に、珠海Yun Zhou Intelligent Technology社によって、1億元を投資して中国で最初の無人運航船と海事インテリジェント装備設計のための開発センターが創設されることが発表された。同港は珠海ハイテクゾーンの中に立地し、大湾区における大規模事業のひとつである。開発センターには、研究所・岸壁・試験水槽・海上試験海域などが整備され、2019年にも開発が開始される予定となっている。同センターは複数の大学・科学技術企業と連携し、いくつかの研究所と科学者たちが開発事業に参加する予定。
      • 原文 September 16, 2019, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
    • 【2】USCGの新たな大型砕氷巡視船:航海中の保守管理を重視した設計に
      • 【2】現在、米国沿岸警備隊(US Coast Guard:USCG)はPolar SeaとPolar Starの2隻の大型砕氷巡視船を保有しているが、2010年にPolar Seaの主機に重大な故障が発生して以降、修理に莫大な費用を要することから同船を岸壁に係留し転用可能な同船の部品を使用してPolar Starの運用を維持している状況が続いている。USCGは今年4月に造船会社と新たな大型砕氷巡視船の建造契約を結び、2024年に引き渡しが予定されている。新たに建造される大型砕氷巡視船は、航海中でも修理が可能となるように主機を高い場所に設置し、作業場所を確保するとともに、必要な場合には煙突部分を通して主機を引き上げることを可能とするほか、船体後部に設置されるヘリ甲板を船橋から見通せるように煙突を2本に分割している。また、米国産の鋼材を使用して鍛造や鋳造の工程を制限することで建造費用を抑えている。さらに、他の砕氷船に比べ全長を長くすることで、約9千海里の航続距離、快適な居住環境、十分な燃料搭載量、科学調査などで使用可能なスペースなどを確保している。
      • 原文 September 16, 2019, USNI News(若林健一)
    • 【3】OECD/ITF: 加盟国の海運助成制度を非難する報告書を発表
      • 【3】OECD国際交通フォーラム(International Transport Forum)が加盟国の海運助成制度を批判する報告書を発表したところ勧告の概要は以下のとおり。①各国の海運助成制度の整合性の確保が必要であり、EUの「海事国家助成ガイドライン」についても見直しが必要で、特にトン数標準税制については、最近できたポーランド・クロアチア・マルタのトン数標準税制は、その前に導入された同税より有利であり、OECDとG20で議論を進めている「税源浸食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting)」の観点から、同税の世界的な整合性を図る必要がある。②個々の助成制度の効果の検証を可能とするため、個々の助成制度の政策目的を明確にすべきで、トン数標準税制のような政策目的が明らかでない一般的な助成は好ましくない。③海運助成を認めるとしてもより厳しい条件のもとに認めるべきで、トン数標準税制についてみれば、英国は船員の訓練を条件とし、ノルウェーやポルトガルが船舶の環境性能を適用条件としているのは良い例である。報告書本文は以下のリンクを参照。
      • 原文 September 17, 2019, OECD/ITF(長谷部正道)
    • 【4】“The Blob”の再現か?太平洋で新たな海洋温暖化の危機
      • 【4】2014年の秋、オレゴン州立大学の研究者は米国北部太平洋岸のオレゴン州の沖で、より暖かい海域で本来採取されるべきクラゲや微小な甲殻類がたくさん網にかかったのに驚いたが、これがその後3年間継続し、海洋生態系や漁業に大きな影響を与えた大規模な海洋温暖化である “The Blob” の始まりであった。米海洋大気庁(NOAA)は、8月にハワイ諸島からアラスカ沿岸に渡る海水温上昇を把握しており、新たな温水の塊が発生したとみて、これにより環境への様々な影響が発生することを懸念している。今回の海水温上昇は、3年間にわたって海水温が平均よりも最大3℃上昇し、太平洋沿岸の生態系と漁業を劇的に破壊した5年前のThe Blobと似ているが、今回の海水温上昇がThe Blobと断定するには海水温度の上昇域や深さ、期間を考慮する必要があり、まだ今回の現象が条件に該当するかは判明していない。しかし、太平洋沿岸での有害藻類ブルームの発生、平均の5倍に及ぶアザラシの大量死、アラスカでのタラの漁獲量の減少などが今年になって確認されており、これらがThe Blobの兆候を表しているとしている。
      • 原文 September 17, 2019, Sciencemag(蘭潔美)
    • 【5】EU理事会:炭素中立化に向けた革新的なエネルギー技術開発について
      • 【5】9月24日に非公式に開催されるEU理事会エネルギー担当大臣会合のたたき台となる議長国(フィンランド)作成文書を入手したところその概要は以下のとおり。①長期的なエネルギーと気候政策の目標達成の為にはエネルギー技術開発への大規模な投資が必要。②電気・暖房・交通・産業分野のスマート技術を通じた統合が、経済横断的なクリーンエネルギーの開発を促進するために必要。③欧州委員会は「全ての人々にとってクリーンな地球/豊かで近代的で競争力のある炭素中立経済を目指して」という戦略的長期計画の中で提示され、欧州を大規模に非炭素化するための選択肢を既に分析。④2020年代にエネルギー技術開発に投資を行うことは、2030年以降の本格的な非炭素化を実現するための経済効率の高い技術を幅広く開発するために不可欠。⑤炭素中立化を促進するエネルギー技術の開発・普及を行うことがEUやその加盟国にとっての主要な役割。
      • 原文 September 16, 2019, 欧州理事会(蘭潔美)
    • 【6】IMO2020: 海運会社がコストの転嫁に失敗すれば多くの欠航が発生する可能性
      • 【6】スクラバーを装備していない船舶については、海運会社は2019年第4四半期から、燃料タンクの清掃などIMO2020規制実施に伴う一過性の費用を計上することとなるが、コンテナ船の船腹過剰状態が継続しており、海運会社が運賃にこうした一過性の費用を転嫁することは容易でない。定期船分野で海運会社は2019年上半期にすでに合計で5億ドルの赤字を出しているとされ、もし規制強化に伴う経費の転嫁ができなければ、海運会社は運航船舶の削減に伴う運休の増加という形で対応せざるを得なくなる。もし、こうした一過性の費用だけではなく、来年以降の規制適合燃料油と重油燃料との価格差の転嫁すら困難となれば、海運業界は更なる船腹量の削減をせざるを得ないことになる。サウジアラビアの製油所の攻撃によって重油価格は上昇したが、それ以上に規制適合油価格が上昇しており、両燃料油の間の価格差は重油価格の高騰にかかわらずむしろ拡大している。
      • 原文 September 17, 2019, gCaptain(長谷部正道)
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