2019/09/13LROニュース(6)

NEWS


※LROニュースの内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、2次使用の際はLROニュースからの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

トップページ > LROニュース > 2019/09/13LROニュース(6)

記事アーカイブ

  • 2019.09.17 UP
    2019/09/13LROニュース(6)
    • 【1】UK P&I: IMO/BWM条約とUSCG/BWM規則に関する解説書を発表
      • 【1】UK P&I がIMO/BWM条約と米国沿岸警備隊 (USCG)/BWM規制 (バラスト水管理=BWM)に関する法的解説書 (legal briefing)を発表し、内容は以下のとおり。①2004年に採択されたIMOのバラスト水管理条約は2017年9月8日に発効して以来、定められたバラスト水交換規制(D-1基準) を条約適用船舶に求めている。②2019年9月8日以降はD-2基準 に従ったバラスト水の排水基準に従ったバラスト水処理設置(Ballast Water Treatment Systems: BWTS)を2024年9月までの最初の国際海水汚濁防止証書(International Oil Pollution Prevention Certificate)の更新時までにすべての条約適用船舶に設備することが義務付けられる。③米国は2012年6月21日にUSCG のバラスト管理規制が発効して以来、20を超えるBWTSが型式承認を得たため、これまで代替管理装置(Alternative Management System) として使用を認められてきたシステムの許可延長が難しくなっている。解説書本文は以下のリンクを参照。
      • 原文 September 6, 2019, Safety4Sea(蘭潔美)
    • 【2】EUと中国が第1回Blue Partnership Forumを開催
      • 【2】EUと中国は、長い間海洋に関する協力関係を発展してきており、2017年には、EU/中国Blue Yearを開催し、2018年7月16日には、EU/中国首脳会合の際に「海洋に関するBlue Partnership: より良い海洋管理・持続可能な漁業・海洋経済の繁栄を目指して」という共同文書に署名している。これを受けて、9月5日にはブラッセルで第1回Blue Partnership Forumが開催され以下の3点について合意がなされた。①持続可能な海洋分野と生態系の修復により多くの直接投資をするため、金融機関はBlue Economy Finance Initiative and Principlesを活用して投資の促進を図る。②両国は世界的な主要漁業国として、違法漁業防止寄港国措置協定(Port State Measures Agreement)の批准・地域漁業管理機関(RFMO)の能力強化・IUU漁業取締強化・漁業統計の透明化など既存の法的枠組みの実施強化に取り組む。③両国は海洋保護区設定の計画や世界的な海洋空間計画の策定の促進のために協力を強化する。本年10月に開催される南極海洋生物資源保存委員会でEUと加盟国は2つの海洋保護区の新設を提案する予定だが、EUから中国に対して支持要請が行われた。
      • 原文 September 10, 2019, 欧州委員会(長谷部正道)
    • 【3】北極海北西航路の現状
      • 【3】米国立雪氷情報センター(National Snow and Ice Data Center)によれば、北極海の海氷は依然まだとけ続けており、8月31日の時点では、海氷面積は178万平方マイルで、衛星観測が始まって以来3番目に狭くなっているため、カナダ北極海沿岸を通過する北極海北西航路上の海氷の集積状況も過去30年間の平均に比べて、少ない状況となっており、少なくとも一部の航路は航行可能な状況になっている。北極海北西航路といってもいくつかのルートがあり、喫水が深い大型船舶はバンクス島の北側を通る航路を選択しなければいけないがこの北寄りの航路上にはまだ多くの海氷が存在しており、この夏は航行可能な状況にはなりそうもない。ノルウェーの探検家のアムンセンも利用した南寄りの航路上にはほとんど海氷がない状況となっている。カナダ沿岸警備隊によると、この夏には15隻以上の国際クルーズ船が北極海北西航路の一部を航海することを計画している。
      • 原文 September 6, 2019, Knom(長谷部正道)
    • 【4】米海軍:中・大型無人艦艇の調達を加速
      • 【4】米海軍は数年のうちに大型及び中型の自律無人海上船を12隻以上購入する計画を明らかにしているが、開発を担当するMoton准将は、初期段階の開発は順調に進んでいるとして、艦隊としての運用を実現させるために必要な残りの作業を進めるためのプロトタイプ購入の必要性に理解を求めた。大型自律無人海上船に関しては、米国防長官府の戦略構築室(Strategic Capability Office:SCO)が現在2隻保有して自律航行の試験運航を行っている段階であるが、海上において保守や修繕を行う乗組員がいない状況での運航可能時間を検証するため、信頼性や自動操船の精度を高めるための船体や機器類の改良が行われている。この初期のテスト段階は間もなく終了し、ミサイル巡洋艦として実戦配備可能となる最終段階に向けたC4I(指令(Command)、制御(Control)、通信(Communications)、コンピューター(Computers)及び知能(Intelligence)の統合システム)の開発に取り掛かる段階にあり、2021年度には1番船の完成が期待されている。中型自律無人海上船に関しては、国防高等研究計画局(the Defense Advanced Research Projects Agency:DARPA)が開発したSea Hunterが、既にサンディエゴとハワイ間の自律運航による往復航海を成功させており、今年度中にもう1隻の調達が計画されている。自律無人海上船の導入に対しては技術面や戦術面で批判もあるが、Moton准将は、技術面については、商業ベースやSCOによる試験運航を通じて、海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約(Colregs)の順守能力も含めた自律航行の技術について既に多くの成果が上がっており、戦術面については、5月に創設した海上展開第一小艦隊(Surface Development Squadron 1)において、艦隊に編入するための検証が進められると述べている。
      • 原文 September 9, USNI News(若林健一)
    • 【5】Trade 2.0: デジタル化・非炭素化された30年後の海運業の姿
      • 【5】新技術を持った企業と政府等の公共部門の連携の在り方を探るNGOのPUBLICがインマルサットの支援を受けて、30年後のデジタル化・非炭素化された海運業界について報告書(Trade 2.0)を、ロンドン国際海運週間で発表したところその概要は以下のとおり。①海運業界は根本的な変革の入り口に立っている。②接続性とデジタル化の進展・伝統的な化石燃料の転換の必要性を踏まえると、海運業界の現在の業態モデルがあらゆる面で今後30年間の間に変革される。③海運ビジネスの接続性の向上・ビックデータ・人工知能・ブロックチェーン・クラウドコンピューティングといった新たな技術力をもった起業家たちがどのように新たな海運・海事技術(ShipTech)市場を創造していくか本報告書は検討を行った。④世界的なShipTech市場の規模は、既に1000億ドルを超えており、2030年には2780億ドルまで成長するものと考えられ、起業家や投資家は、海事分野が今後10年間にわたって大きく発展する大きな将来性のある市場ととらえるべきである。報告書本文は以下のリンクを参照。
      • 原文 September 10, 2019. PUBLIC(長谷部正道)
    • 【6】バーゼル条約1995年改正(有害廃棄物の輸出禁止)が発効要件満たす
      • 【6】バーゼル条約締約国は、1995年にEU及びOECD加盟国とリヒテンシュタインからすべての国への有機廃棄物の輸出を禁止する条約改正 (Basel Ban Amendment) を採択したが、9月6日にクロアチアが本改正を批准したことにより、批准した国の合計が97となり同改正の発効要件を満たし、12月5日より本改正が発効することとなった。本改正案は当時、欧州諸国と途上国により提案・主導されたが、現在でも北米・欧州諸国から不要な廃棄物がアジア・アフリカ諸国に輸出されている。また、海運会社が廃船を南アジア諸国に輸出し続け、船内に残存したまま未処理の鉛・有害アスベスト・PCB・可燃性ガス・油などが輸入国の環境汚染・労働衛生の悪化・火災と爆発による死亡率に繋ぐ悪影響を与えていることが重視されている。一方で、米・加・日・豪・NZ・韓・露・印・ブラジルとメキシコはまだ批准を終えてなく、特に一人当たり最も廃棄物を排出する米国はバーゼル条約自体批准を締結していなく、この条約改正にも大反対している。環境保護団体などは米国がリサイクルと言いながらも、実際は有害廃棄物の輸出をしていること指摘し、批判をしている。
      • 原文 September 8, 2019, BAN(蘭潔美)
  • 資料閲覧 その他