2019/09/04LROニュース(6)

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  • 2019.09.05 UP
    2019/09/04LROニュース(6)
    • 【1】スイス政府:2050年までの炭素中立化を目指すことを決定
      • 【1】2018年に発表された政府間気候変動パネル(IPCC)の報告書に従い、8月28日スイス政府は2050年までの炭素中立化を目指し、気温上昇を1.5℃以内に抑え込むというパリ協定の野心的な目標に貢献すると、9月の国連環境サミットで発表する。スイスは電力発電の6割を水力に、1/3を原子力に、残りの約5%程度を火力発電に依存しているにすぎないが、エネルギー消費全体でみると、依然63%を化石燃料に依存している。スイスは2017年に国民投票を行い、急速に老朽化しつつある原子力発電所の更新を行わないと決定しているが、2050年までに炭素中立を目指すためには、こうした既存の原子力発電政策を見直す必要性があるかもしれない。また、世界的に民間航空から排出されるGHGは全体の2-3%に過ぎないにもかかわらず、スイスは同国の総GHG排出量の1割が民間航空から排出されており、既にスイスでは民間航空も排出権取引制度に含まれているが、更なる取り組みが必要となる。
      • 原文 August 29, 2019, Euractiv(長谷部正道)
    • 【2】スクラバー投資の優位性がより明確に
      • 【2】Alphaliner社の分析によれば、シンガポール港とロッテルダム港における7月の実績ベースでIMO2020規制適合燃料油と従来からの重油燃料(IFO 380)の間の価格差は、トン当たり、100-150ドルあったが、その後重油価格が引き続き低迷したため、現在では上記価格差がトン当たり200ドルを超えている。同社の情報によれば、既にスクラバーの設置を終えた既存のコンテナ船は57隻で、現在改装工事中のコンテナ船が38隻で、これにスクラバーを設置した新造船が44隻加わる見通し。上記価格差を踏まえると、スクラバー搭載船は、アジアと北部欧州の間の往復1航海当たり、燃料費を約200万ドル節約できることとなり、もしこの価格差が2020年中も継続すれば、スクラバーを既存船に設置するための改装コスト(500万から1000万ドル)や新造船にスクラバーを設置するための割増コストなどはすぐに回収できることになる。
      • 原文 August 29, 2019, The Loadstar(長谷部正道)
    • 【3】カリブ海諸国が有害廃棄物管理のためのISLANDS事業を始動
      • 【3】世界環境ファシリティ(GEF)・国連環境計画(UNEP)等が4億5千万ドルの資金をかけて、カリブ海・太平洋・インド洋の小開発途上国(SIDS)における化学物質・廃棄物の管理を支援する事業であるImplementing Sustainable Low And Non-chemical Development in SIDS (ISLANDS)事業が、8月27日、カリブ海諸国9か国がトリニダード・トバゴに集まり、開始された。廃棄物管理は、人口が増加し、経済が発展し、外国からの物資の輸入が増えているSIDSにとって、急速に重要な課題になってきているが、現状ではSIDSにおいて有害汚染廃棄物を安全に管理できる能力は限られている。2019年の段階でSIDSにおける人口1人当たり1日の平均ごみ排出量は2.3kgでOECD加盟国の平均量より48%も多いが、多くは急速に増える観光客が排出するものと考えられ、国土面積の狭いSIDSにとって廃棄物処理のための適切かつ持続可能な手法の確立が急務となっている。
      • 原文 August 27, 2019, UNEP(長谷部正道)
    • 【4】英・仏・独が共同で南シナ海関係国に国連海洋法の遵守等を求める
      • 【4】8月29日、英仏独が南シナ海情勢に関し共同声明を発表したところその概要は以下のとおり。①英仏独は地域の安全保障の悪化と不安定化につながりかねない南シナ海の現状について懸念を有している。②英仏独は沿岸国が自国領海・EEZ内において有する権利や南シナ海における航行の自由・上空飛行の自由などを巡る現在の緊張を緩和し、地域の平和・安全保障・安定・安全を維持・推進するためにすべての南シナ海沿岸国が必要な手段を段階的に進めることを求める。③英仏独は国連海洋法条約の加盟国として、南シナ海において包括的な法的枠組みとしての国連海洋法が適用されることを求め、特に2016年7月12日に国連海洋法の下で出された仲裁裁判の尊重を求める。④英仏独は、ASEAN加盟国と中国との間で、法の支配を達成するために、国連海洋法と整合性が取れた協調的で有効な行動規範の作成について現在交渉が進められていることを歓迎する。
      • 原文 August 29, 2019, 英国政府(若林健一)
    • 【5】EUが南シナ海情勢について懸念を表明
      • 【5】EUの報道官は8月28日、南シナ海における近況について声明を発表したが、その概要は以下のとおり。①ここ数週間における南シナ海での一方的な行動が、緊張感を高め、安全保障環境の低下を招き、地域の経済発展に対して重大な脅威となっている。②すべての関係国が自制し、南シナ海を元の状態に戻すための明確な措置を講じ、軍事拠点化を止め、国連海洋法条約に従って平和的に争いを解決する必要がある。③関係国は、必要があれば第三者機関に調停や仲裁という形での支援を求めることも可能である。④EUは、第三者機関との緊密な連携に加え、さらに法に基づく秩序を推進し、多国間による協力体制を強化するために、ASEAN主導の地域枠組みの支援を継続する。⑤EUは、南シナ海における行動規範(Code of Conduct)が効果的、実質的そして規則に基づくものとなるよう、透明性を確保しつつ議論が進展することを期待する。⑥EUは、すべての国にとって重要な、国際法に基づく法的秩序、安全保障と協力体制の確保、そして航行・飛行の自由に対して尽力していく。
      • 原文 August 28, 2019, EU(若林健一)
    • 【6】アントワープ港でプラごみを回収する試験装置を設置
      • 【6】アントワープ港は、8月末にドックの浮遊プラごみを回収する概念実証(proof of concept)試験装置を設置する。試験装置はOcean Clean Upの装置と同様に、浮体式の100mのアームの下にごみを集める1.5mのガイドを付け、風力・波力・重力を利用して、8㎥のゴミ集積装置の中に浮いているごみを誘導し貯める構造となっており、回収されたごみが一杯になれば岸壁のクレーンで集積装置ごと吊り上げて、ごみを回収する。装置自体75%が再生原料で作成されている。アントワープ港では基本的に南西の風が吹くため、港内の特定の場所に浮遊ゴミが集まるスポットがあるはずで、今回の実験場所となるドックも同港の北方に位置し、自然にごみが集まりやすい場所となっている。回収されたプラごみは再生利用される予定。
      • 原文 August 21, 2019, アントワープ港(長谷部正道)
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