2019/09/03LROニュース(6)

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  • 2019.09.04 UP
    2019/09/03LROニュース(6)
    • 【1】ITFがイラン産原油を輸送するタンカー船員に対する米国の査証停止に抗議
      • 【1】国際運輸労連(International Transport worker’s Federation: ITF)は米国がイラン産原油を輸送する船舶の船員に対し入国査証を発給しないという制裁措置を発表したことに関連して、米国の措置は船員労働の実態を踏まえないものであると抗議する声明を8月27日出したところ、その概要は以下のとおり。①船舶の乗組員は、職員であろうが部員であろうが、自分の乗船する船舶の最終目的地を把握するのは難しい。②船舶は通常船舶管理会社から指示されたルートを航行するが、最終目的地は航海の途中で知らされることが多い。③特にイランに向かうような場合は、船長だけが、入港1日前か2日前に知りうるだけであろう。④部員や下級職員は最終目的地など知りえないし、知ったとしても乗務を拒否したり、航海中に下船することなど不可能である。⑤さらに船員は自分が乗船している船舶を実際に誰が所有しているか、積載している貨物が誰の所有物なのかなど知る由もない。⑥以上のような船員が置かれている実情も理解せず、イラン制裁違反として、イラン産原油を輸送していた船舶にたまたま乗務していた船員に対し、一律に査証発給を停止するような制裁を科すのは船員に対する不公正な措置といえる。
      • 原文 August 27, 2019, ITF(長谷部正道)
    • 【2】英国のスーパー等における脱プラ包装の取り組み
      • 【2】ロンドンの調査会社によれば、英国の消費者は商品の購入にあたって、商品の包装材に影響されることも多く、例えば、リサイクルされたプラスチックを包装材とした商品より、プラスチックを包装材として全く使用していない商品の方を選択する消費者が35%もいることが分かった。こうした消費者の要請に応じて、スーパーのMorrisonsでは、127種類の野菜や果物を包装無しで売る売り場を導入することにより、毎週3トンのプラスチック包装材を節約し、他の節約策を含めて同社は年間9000トンのプラスチックの削減を目指している。また、スーパーのWaitroseは消費者が瓶などの入れ物を持参し、その入れ物に商品を補充して販売するサービス(unpacked refill)を一部の店舗で試行的に始めたが、あらゆる世代にわたる消費者の71.3%がこのrefillサービスの利用を喜んで受け入れると表明している。一方で、英国政府は使い捨てプラスチックの削減の手段として生分解性の包装材の開発に6千万ポンドを投資することとしている。
      • 原文 August 23, 2019, Plastic News Europe(長谷部正道)
    • 【3】船舶速度制限に関するマクロン提案にこぞって反対する業界団体
      • 【3】G7サミットで仏マクロン大統領は船舶の運航速度制限を有効なGHG削減対策として提案したが、国際的な船主団体はこぞって反対している。国際海運会議所(ICS)の事務局長は、「強制的な船舶の運航速度制限は、機関の効率的な運転に悪影響をもたらし最悪の場合、むしろGHGの排出量が増える。」とし、BIMCOの事務次長は、「運航速度の制限によりGHGの排出が削減できるのは認めるが、機関出力の制限の方がより効率的なGHGの削減につながる。」とし、欧州船主協会(ECSA)の事務局長は「海運業界と一口に言っても様々な業態があり、強制的な速度制限は慎重に検討する必要がある。」とコメントしている。一方、仏政府がIMOに船舶の速度制限案を提出するのに協力した仏船主協会の会長は「現段階で、管理が簡単ですぐにできる海運業界としてのGHG削減策は、ばら積み船の速度制限である。」とコメントし、こうした見解をOECDの国際交通フォーラム(ITF)やNGOの「交通と環境」が支持している。
      • 原文 August 28, 2019, Splash 247(長谷部正道)
    • 【4】米国防長官が海軍大学校でインド・太平洋戦略について講演
      • 【4】米国防長官は8月27日に米海軍大学校で講演を行い、何十年もかけて西側諸国が築いてきた世界秩序を乱そうとするロシアや中国に対抗するためには、新たな基地の確保や航行の自由作戦を継続することでインド・太平洋地域におけるプレゼンスを高め、軍・商業双方の活動における航行の自由を保障していく必要があると述べた。軍米国防長官は、その重要性から最初の外遊先にインド・太平洋地域を選んでおり、6月に発表したインド太平洋戦略報告書においても、既存の同盟関係や協力関係で果たす責任を強化するとともに、法による支配や公平で互恵的な貿易関係などの価値観を共有できる新たな同盟国との関係を構築して強化していくとしている。
      • 原文 August 27, 2019, USNI News(若林健一)
    • 【5】MM&Pが事故原因としての経営上のプレッシャーについて報告書を発表
      • 【5】国際船長・航海士・水先人協会(International Organization of Masters, Mates & Pilots: MM&P)がダルハウジー大学と共同で「どうして事故はしばしば偶発的でないのか?(Why accidents are often not accidental ?)」という報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①最も有効な捜索救難は事故を起こさないことである。IMOと国際海事救難連盟(International Maritime Rescue Federation: IMRF)は事故予防が救難機関の大事な任務の一つと認識している。②IMOやILOの国際基準や国内的・民間レベルでの安全規制が順守されれば海難事故のリスクは大幅に減るはずだが、実際の海運業界では、営業の必要性がこれらの安全基準の順守を脅かすことがある。③一般海事法では、経営者は、知らなかったことにすれば簡単に規制の不履行に関する責任を免れることができる。国際安全管理(ISM)コードによれば、安全上の問題は陸上の管理者に報告されることになっているが、実際には管理者の責任を逃れるため、こうした報告が奨励されないこともある。
      • 原文 June, 2019, MM&P(長谷部正道)
    • 【6】USCGがOPA油濁賠償責任限度額を物価上昇に対応して引き上げ
      • 【6】米国沿岸警備隊(USCG)は、米国消費者物価指数(US Consumer Price Index: CPI)の上昇(6.1%)に応じて、OPA 90に定める油濁賠償責任限度額を見直す最終規則(Final Rule)を発表した。新限度額は11月21日から適用される。油濁事故抑止効果と「原因者負担(polluter pay)」の原則を維持するため、CPI上昇に合わせた定期的な責任限度額の見直しが行われてきている。今回の最終規則では、今後3年以内毎に定期的に限度額を見直す手続きの簡素化に関する規定も含まれている。具体的な改定後の責任限度額については以下のリンクを参照。
      • 原文 August 19, 2019, Insurance Marine News(長谷部正道)
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