2019/08/23LROニュース(6)

NEWS


※LROニュースの内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、2次使用の際はLROニュースからの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

トップページ > LROニュース > 2019/08/23LROニュース(6)

記事アーカイブ

  • 2019.08.26 UP
    2019/08/23LROニュース(6)
    • 【1】Ocean Clean Up: 改良した1号機で6週間の試験を終了
      • 【1】Ocean Clean Up(OCU)は昨年10月から太平洋ゴミベルト(Great Pacific Garbage Patch: GPGP)で、第1号機の試験を開始したが、金属疲労で1号機が破損したため、ハワイに曳航し、改良したうえで、6月からGPGPで再度6週間の試験を実施した。改良によって、パラシュートアンカーを装着したため、装置がプラスチックに対して均一の速度で進むようになったが、一度装置の中に集積したプラスチックごみが装置から出てしまうという問題は完全には解決されていない。従って、システムの浮を3つ束ねて、浮の海上からの高さを4インチから20インチに嵩上げする予定で、改善されたcork lineは現在、試験海域に搬送中。改良によって、いったん装置の中に取り込まれたプラスチックごみを数か月はため込んで装置の外に逃がさないことを目指している。
      • 原文 August 20, 2019, World Maritime News(長谷部正道)
    • 【2】IMO2020: MARPOL Annex VIの非締約国・非履行国内でも遵守が必要
      • 【2】MARPOL Annex VIの締約国のうち数か国が内航海運についてIMO 2020規制を適用しないとの情報があるが、MARPOL Annex VIの締約国が自国領海内でIMO 2020規制を実施しなければ、国連海洋法・条約法に関するウィーン条約等の国際法に基づき、責任を問われることとなる。MARPOL Annex VIの他の締約国は、条約を遵守しない国のAnnex VIからの脱退を求めることや、条約を遵守しない国に対し、違反行為をやめ条約上の義務を履行することを求めることができる。一方で、MARPOL Annex VI非締約国や締約国でも条約を完全に実施しない国の領海内を航行するMARPOL Annex VI加盟国の船舶のIMO 2020規制実施義務は全く変わらないことに留意する必要があり、これらの規制が実施されていない国で規制不適合燃料油を使用することは、Fuel Oil Non-Availability Reportingの適正自由とはみなされず、旗国によって罰せられるほか、上記非実施国の間の公海上で規制不適合油を使用した場合には、全ての寄港地国から罰せられる可能性がある。
      • 原文 August 16, 2019, Trident Alliance(長谷部正道)
    • 【3】インドネシアがIMO2020規制の内航不適用を撤回
      • 【3】インドネシア運輸省は7月に現在の重油燃料の在庫を費消するために、2020年1月以降も内航船はこれまでとおり重油を燃料油として使用できると発表したが、この決定を撤回し、2020年1月1日から内航船にも同規制を適用すると8月20日発表した。併せて、国営のエネルギー企業であるプルタミナが年間38万klの規制適合油を生産し、ジャカルタ港と東カリマンタンのバリクパバンの浮体式給油所で供給すると発表した。
      • 原文 August 20, 2019, Reuters(長谷部正道)
    • 【4】イラン:米国の制裁により重油の国内消費を増やさざるを得ない状況に
      • 【4】米国による対イラン制裁が開始されて以来、イラン産重油の輸出が止まり、国内でだぶついている。重油をガソリンのようなよりクリーンな油に精製するのに必要なプラントも制裁で輸入できない状態にある。重油の主な利用者は海運業界と電力業界だが、IMO2020規制により、海運業向けの重油の需要も激減するため、イランとしてはだぶついた重油を国内で発電等のために使用せざるを得ない状況に追い込まれている。イランではこれまで国内の発電に必要なエネルギーの転換を進めてきており、重油の使用は2013年をピークに減少に転じクリーンな天然ガスへの転換が進んでいたが、重油のだぶつき解消のために2020年には2018年の実績の倍となる日量20万バレルの重油を発電のために使用せざるをえない状況に追い込まれている。同様な理由で、イラン籍船舶も、2020年以降でも規制適合油を使用できずに重油を使い続けるのではないかと懸念されている。イラン政府は新たな製油所の建設を希望しているが、操業開始までに少なくても4年間はかかると見込まれる。
      • 原文 August 20, 2019, gCaptain(長谷部正道)
    • 【5】豪が米主導の有志連合へ参加を表明
      • 【5】豪首相は8月21日、豪が輸入する原油の15%及び精製油の30%がホルムズ海峡を経由しており同海峡の不安定化を招く行為は豪の国益に対する脅威であると述べ、英国及びバーレーンに続き米国主導の有志連合への参加を正式に表明した。豪国防相は、年末までに空軍からP-8Aポセイドン哨戒機を一ヶ月派遣し、来年1月以降にフリゲート艦を6カ月派遣することになるだろうと述べた。豪国内では、野党労働党も米国主導の有志連合への参加を支持しているが、国会での議論を経るべきであるとの反対意見もある。
      • 原文 August 21, 2019, The Guardian(若林健一)
    • 【6】気候変動に中立な経済実現のための欧州長期戦略(交通分野)
      • 【6】9月20日に欧州理事会交通大臣会合が開催され、交通分野における気候変動に中立な経済実現のための欧州長期戦略について議論を行うにあたっての議長が用意した文書がEU加盟国に配布されたところ海運に関する部分の概要は以下のとおり。①海運からのGHG排出量は世界全体の排出量の2.5%を占め、2050年までにさらに50%から250%排出量が増加することがIMOの調査で判明している。②IMOにおいては2008年比で2050年までに海運からのGHG排出量を最低でも半減することが合意され、現在2023年までの短期的対策と2023年に合意される長期的対策について検討されている。③EU/MRVの調査結果では2018年にEU域内で1億3千万トンのGHGが海運から排出された。④IMOにおけるGHG削減策が不十分な場合には、EU独自の対策を検討する必要があるかもしれない。⑤以上を踏まえて、各国大臣に海運からのGHG削減策としてどのような手段が最も有効と考えるか?今後5年間にEU独自の削減策を追加する場合に、代替燃料・欧州の港湾の岸壁において地上電源を提供できる施設整備の強制化・エネルギー効率の改善・排出権取引制度などを含むどのような対策をとることがEUとして可能か?について事前に検討して、会議に出席するよう求めている。
      • 原文 August 20, 2019, 欧州理事会(長谷部正道)
  • 資料閲覧 その他