2019/08/14LROニュース(6)

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  • 2019.08.15 UP
    2019/08/14LROニュース(6)
    • 【1】北極圏の豊富な持続可能なエネルギーにひかれて多くの企業が立地
      • 【1】北極圏を構成する北部スウェーデン・ノルウェー・フィンランドにおいては多くの水力発電施設を持つほか、風力発電にも積極的に投資をしており、持続可能なエネルギーの発電量から消費量を引いた余剰電力は2014年から2017年にかけて、21.6TWhから30.7TWhへと42%増加した。2017年におけるフィンランド全土の国民が使用した電力の合計が60TWhなのでその半分を賄うことができたこととなる。最近は、企業が資金調達するにあたって、金融機関から気候変動への取り組み状況を審査されるようになっており、多くの企業が持続可能なエネルギーの調達に関心を強めている。エネルギーを多く使用する鉄鋼業においても、製鉄事業者・鉄鉱石生産事業者・発電事業者が共同で、コークスなどの化石燃料を使用せずに、持続可能エネルギーによってつくられる水素に依存した新たな製鉄所を2035年までに実現することを目指して、スウェーデンのルーレオーで試験プラントが既に建造され、2020年から発電が開始される予定である。
      • 原文 August 7, 2019, High North News(長谷部正道)
    • 【2】独環境大臣がプラスチック製レジ袋禁止法案の作成に意欲
      • 【2】独環境大臣は、具体的な日程を示さずに、現在環境省でプラスチック製レジ袋を禁止する法案の作成を検討中であると述べた。独では政府と関係業界の間で2016年に自主的な協定が締結され、レジ袋が有料化された結果、2015年比で既に64%のプラスチック製レジ袋が削減されている。しかし、レジ袋はプラスチック製の包装材全体のわずかに1%にしか過ぎないため、環境大臣は果実や野菜の包装に使用されるプラスチックの削減についても関係業界と協定を締結したいとしている。与党第1党であるキリスト教民主同盟の党首でメルケル首相の後継者になる可能性が高いクランプ=カレンバウアー党首は、レジ袋を直ちに法律で禁止するのではなく業界の自主的な取り組みに期待したいとしている一方で、地球温暖化対策については、化石燃料による暖房からの転換のためのインセンティブを導入し、持続可能な経済発展を憲法に盛り込みたいと表明している。
      • 原文 August 12, 2019, DW(長谷部正道)
    • 【3】ReCAAP ISC: 7月月間海賊報告書
      • 【3】アジア海賊対策地域協力協定情報共有センター(ReCAAP ISC)が発表した7月の月間海賊報告書によれば、重要度2(賊は武装し乗組員も負傷)の海賊事件1件及び最も軽微な重要度4(賊が非武装で乗組員にけが人なし)の窃盗事件5件の計6件が、7月に同センターに通報されており、前年同月と比較して33%の減少となっている。本年1月からの7か月間の合計は、対前年比で未遂事件を含めて32%の減少、既遂事件だけで18%の減少となり、2007年以降最低の件数を記録した。事件数の減少は主に、バングラディッシュやインドネシアにおける停泊中の事件の減少によるものだが、シンガポール海峡を艀を曳航して航行するタグボートに対する襲撃が6か月で11件発生していることから、同海峡を通航するタグボートは警戒を強化するとともに、同海域を担当する沿岸警備隊も哨戒活動の強化を図る必要がある。
      • 原文 August, 2019, ReCAAP ISC(若林健一)
    • 【4】比大統領が今月の訪中時に仲裁裁判の件を提起すると国内的に約束
      • 【4】比国防大臣や比国家安全保障会議議長らが同国の主権的権利を脅かす中国に対する懸念を示すなか、比大統領は今月、就任後の3年間で5度目となる中国訪問で習主席と会談し、南シナ海における比の立場を支持した2016年の常設国際仲裁裁判所の判決について正式に話題に取り上げると述べ、中国に対してより強い態度で臨む姿勢を見せている。しかし、比大統領は、自国が権利を主張するスカボロー礁付近での中国漁船による操業を認めたことに対して、7月に実施した演説の中で「伝統的に認められてきた権利」と述べ、自身の判断を正当化しており、今回の強気の姿勢も、東シナ海を巡る争いに関して中国に強気の対応を取らない比大統領に対する国内の批判を抑え、また、前回は違憲であるとの批判から立ち消えとなった中国との係争海域における共同資源開発の計画を国際法のもと正当化させるための地ならしが目的であるとみられている。
      • 原文 August 12, 2019, Asia Times(若林健一)
    • 【5】ホルムズ海峡情勢:英国籍船の船主にとって転籍は浅慮早計か?
      • 【5】(論説)現状のホルムズ海峡の状況を勘案して、多くの船主・船社は湾岸地域への新たな用船契約には応じていないが、既存の用船契約に基づきどうしても当該海域に配船しなくてはいけない英国籍船の船主や船社は裸用船契約を利用して一時的な船舶の転籍を検討しているものも多い。しかし、転籍には以下のデメリットもあり慎重に検討する必要がある。①英国籍船の登録要件に加えて、転籍先の登録要件も満たす必要があること。さらには船舶債権者がある場合は、転籍について債権者の同意をとる必要があること。②(転籍期間中)英国トン数標準税制の税制上の恩恵も停止されること。③転籍しても転籍国に料金を支払えば、原籍国が英国であることがばれること。④英国海軍による護衛を受けられなくなる可能性があること。
      • 原文 August 1, 2019, Haynesboone(若林健一)
    • 【6】環境NGOがCOSCOに対し北極海の船舶運航に重油を使用しないことを要請
      • 【6】ロシア政府の許可を得れば中国のCOSCOは7月から10月にかけて、北極海北航路を最大14回通過運航する予定であると、本年6月に報道されたため、環境NGOのClean Arctic Alliance(CAC)はCOSCOに対し、北極海北航路を航行するにあたりどういう種類の船舶燃料を使用するか公開することを求める質問書簡を送っていた。COSCOから何の返事もなかったので、CACはCOSCOに対してさらに書簡を送り、重油を燃料として使用することによる油濁汚染リスクと地球温暖化に与える影響を考慮して、北極海北航路を運航する船舶の燃料として重油ではなく、蒸留油をはじめよりクリーンな燃料油を使用するように求めた。中国から北極海北航路を通航して、第1船が8月18日にスウェーデンのイェブレ港に入港する予定であることを踏まえ、COSCOのような世界的な海運企業が北極海北航路の商業利用を図るなら、率先して環境にやさしい燃料を使用して範を示すべきであるとCACはコメントしている。
      • 原文 August 12, 2019, Clean Arctic Alliance(長谷部正道)
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