2019/08/07LROニュース(6)

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  • 2019.08.08 UP
    2019/08/07LROニュース(6)
    • 【1】(旧)米領西部太平洋島嶼国に政治的影響力拡大を図る中国
      • 【1】米国戦略予算評価センター(The Center for Strategic and Budgetary Assessments:CSBA)の事例研究によれば、中国は、米国が米軍基地や訓練施設を有する(旧)米領西太平洋島嶼国に対して、リゾート開発等の経済活動、資金や教育の援助、インフラ整備等の軍事力に頼らない戦略的な方法で同国に対する依存度を高めることにより、その存在感を強めている。北マリアナ諸島連邦においては、2014年に財政危機に直面していたサイパンにおいて中国企業がカジノの経営を開始したことを契機に、多くの中国人が不動産の購入や経済活動を行うようになり、中国の存在を肯定的に捉え中国との関係を重視して米軍基地の存在を問題視する市民や政治家が現れるにようになり、また、島の3分の2が米軍基地であるテニアンにおいても、10億ドル以上の投資を伴うリゾート建設の計画があり、米軍訓練施設の建設に反対する動きにつながっている。ミクロネシア連邦では、米国の資金援助と安全保障を内容とする自由連合盟約(Compact of Free Association:CFA)の終了期限を5年早め2018年に終了させる法案が提出されており、米国との関係を完全に絶つ動きはないものの、CFAが終了し又は著しい減額となれば、中国がその影響を急速に増すことになるだろう。歴史的に日本や米国と友好関係にあるパラオにおいても、中国による観光事業の拡大により経済重視による米国離れが起こる可能性が考えられる。米国が西太平洋での活動を弱めれば、島嶼国各政府は中国の影響拡大が不可避であると感じ、中国政府に歩み寄る結果となるだろう。
      • 原文 August 5, 2019, Asia Times(若林健一)
    • 【2】欧州におけるペットボトルのリサイクル率の現状と見通し
      • 【2】西欧におけるペットボトルの回収率は2015年58%から2018年には63%に改善し、2019年には65%に達する見込みである。一方で欧州委員会の「使い捨てプラスチック(Single-Use Plastics: SUP)」指令では、回収率を2025年までに77%、2029年までに90%にまで高めることが求められており、この目標回収率に達するためには、今後年間7%の率で回収率を高める必要があるが、2019年から2020年にかけての回収率の増加率は実際には4%を下回り、このままでは指令の定める回収率の達成は困難な状況にある。再生PET樹脂に対する需要は伸びているにもかかわらず、供給が追いついておらず、2018年の生産量は210万トンで対前年比2.4%の伸びにとどまった。SUP指令の施行後、ペットボトルのリサイクル施設の処理能力は年間140万トンと17%増加し、食料容器用にも使用できる再生PET樹脂の価格は新PET樹脂より7%割高の水準で受け入れられている。ペットボトルの預託金返金制度(Deposit Return Scheme: DRS)を導入している諸国は、回収率が高い国の上位7か国を占めており、DRSがペットボトルの回収率を高めるだけでなく、再生PET樹脂の品質の向上にも寄与している。
      • 原文 August 1, 2019, Plastic News Europe(長谷部正道)
    • 【3】加:沿岸警備隊の新砕氷船建造計画を発表
      • 【3】カナダ沿岸警備隊は、冬季において国内の各港湾をフェリー等の商船が利用し、夏季においてカナダの北極圏に生活必需品を供給するために、砕氷サービスを提供している。8月2日、カナダ沿岸警備隊を所管するカナダ水産海洋大臣は、老朽化した沿岸警備隊の砕氷船を更新するため砕氷船6隻の建造計画を発表し、事前審査プロセスを経て国家造船戦略(National Shipbuilding Strategy:NSS)に基づく3番目の造船所を指定して、この造船所が砕氷船の建造を行うことになると述べた。沿岸警備隊の砕氷船は、カナダ東岸のセントローレンス海路及び五大湖における通年の海上貿易を可能とし、カナダの商業漁業にも貢献している。また同砕氷船は、カナダ北極圏の住民と産業に年間を通じて必需品を供給するという重要な役割も果たしている。
      • 原文 August 2, 2019, カナダ政府(若林健一)
    • 【4】豪も米国主導有志連合への参加を真剣に検討
      • 【4】8月4日、シドニーで行われた米豪の外務・防衛担当閣僚協議に出席した米国務長官は、記者会見で豪に対して有志連合への参加を求めることを明確にした。同協議に出席した豪国防相は、ホルムズ海峡での緊張の高まりと商船への攻撃を強く非難し、米国からの要請は複雑であり最終決定には至っていないものの、米国主導の有志連合への参加について真剣に検討していると語った。豪首相は、大阪G20サミットに合わせて行われた米大統領との食事会の後、豪は米国政府の如何なる要請に対しても何がメリットなのかも踏まえ真剣に検討すると述べており、9月には米国を訪問する予定である。また、米国務長官は、米豪外務・防衛担当閣僚協議への出席により太平洋地域への米国の関わりをアピールしつつ豪は常に米国を頼ることができると述べ、米国防長官も豪政府の太平洋地域のへの援助と開発に関する積極的な政策を称賛するなど、同地域への影響を強める中国をけん制した。
      • 原文 August 4, 2019, The Guardian(若林健一)
    • 【5】エネルギー購入協定に依存する再生可能エネルギー投資
      • 【5】英国では、再生可能エネルギー開発に対する政府の財政支援を得ることが極めて困難になってきていることから、再生可能エネルギー開発事業者は、環境問題に関心が高く再生可能エネルギーの購入に熱心な特定の企業と再生可能エネルギーを購入することを保証する協定(Power Purchase Agreement: PPA)を締結することによって、資金調達を図る方法に依存してきている。PPAはもともと米国で普及した方式で、環境問題に関心が高いAmazon/Microsoft/Google/Facebook/AT&T/Walmartなど名だたる大企業がPPAを締結している。英国でも米国のように、再生可能エネルギー開発のための長期的・安定的な収入が得られるだけのPPAの規模が確保できるか否かが今後の課題となる。米国のように特定の大企業から長期間にわたって購入保証が得られない場合は、複数の企業とPPAを締結したり、購入期間を短期間としたPPAを締結することも可能だが、こうした方法をとると資金調達のコストは米国型と比べると高くなるという問題が発生する。
      • 原文 July 25, 2019, Slaughter and May(長谷部正道)
    • 【6】米: 太平洋島嶼国との自由連合盟約の改定交渉を開始
      • 【6】8月5日、米国務長官は豪州訪問の途上、ミクロネシア連邦のポナペを訪問し、現在同連邦・マーシャル諸島・パラオと締結している自由連合盟約(Compacts of Free Association: CFA)の改訂交渉を開始したと発表した。1979年から1994年にかけてこれら3か国が米国から正式に独立する過程において、1980年代半ばに現在のCFAが締結され、独立後も米国が島嶼国に経済的な援助を与える見返りに、米軍が当該島嶼国の領海・領空に対して排他的なアクセスをすることを認めているが、2023年・2024年に更新期限を迎える。近年、中国がフィジー・パブアニューギニア・サモアといった島嶼国に、優遇された借款を供与することによる経済的な影響力を強化していることに、米国は懸念を強めているが、同連邦の大統領は米国務長官に対し、中国との関係は経済・技術的な関係であり、米国との関係が最優先であることには変わりはないと釈明した。独立前にはこれらの島嶼国には多くの米軍基地が存在し、特にマーシャル諸島では、1940年代・50年代に核実験が実施され、残存放射能汚染の問題が現在も継続している。
      • 原文 August 5, 2019, Sputnik(長谷部正道)
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